中国 南太平洋で覇権拡大へ-米専門家ら警戒呼び掛け

(2022年7月20日)

新華社通信が公開した写真で、2022年5月10日(火)、北京の人民大会堂で行われた中国共産主義青年団創立100周年記念式典で演説する中国の習近平国家主席。(Yue Yuewei/Xinhua via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Friday, July 15, 2022

 バイデン政権は、太平洋島嶼(とうしょ)国への影響力強化を狙う中国に対抗するための取り組みを強化している。米当局者、外交専門家らは、中国は太平洋での米国の影響力を削(そ)ぎ、新たな軍事基地を設置する機会をうかがっていると警告した。

 ハリス米副大統領は12日、フィジーで行われた地域機構「太平洋諸島フォーラム(PIF、18カ国・地域)」首脳会議でオンラインで演説し、「厄介者がルールに基づく秩序を破壊しようとしている」と中国を非難、「太平洋島嶼国は、もっと外交的関心と支援を受けるべきだった」と関係強化へ方針を転換することを明確にした。

 中国の王毅国務委員兼外相は、5月末から10日間にわたって太平洋島嶼国8カ国を訪問したばかり。安全保障などの多国間合意には失敗したものの、2国間ではさまざまな合意を交わしている。ソロモン諸島との安保合意は、軍事基地建設への布石との見方が出ている。

 ハドソン研究所「中国センター」ディレクターのマイルズ・ユー氏は、「中国は南太平洋島嶼国を支配する必要性に迫られている。世界的な覇権達成のための手段とみているからだ」と指摘、この地域での軍事的プレゼンス拡大によって、米国を中国沿岸からさらに遠ざけようとしているとの見方を示した。

 宇宙開発の拠点としての利用も目指しているとみられ、キリバスでは既にタラワ環礁に衛星追跡基地を運用している。

 21年までフィジー、キリバス、ナウル、トンガ、ツバルの米大使だったジョセフ・セラ氏はワシントン・タイムズ紙に、中国共産党は南太平洋島嶼国に基盤を築こうとしていると指摘、「冷戦末期の1987年ごろ始まり、今も活発に進めている。広く浸透しており、危険で、有害で、悪意に満ちている」と非難した。

 キリバスは、巨大経済圏構想「一帯一路」の一環としてカントン島空港の滑走路延長で合意している。セラ氏は、「(滑走路が延長されれば)偵察中の(中国軍の)航空機が立ち寄るようになることもあり得る」と危険性を指摘した。マーシャル諸島のクエゼリン環礁にある米軍ロナルド・レーガン弾道ミサイル実験場、ホノルルのインド太平洋軍にも近い。

 ユー氏によると、中国は資金を投入し、経済の対中依存を強めさせることで、経済的、政治的影響力を行使するてこにしようとしている。その上で、安保合意を取り付け、軍事基地の建設につなげる意向だという。ユー氏はこれを阻止するために、オーストラリア、ニュージーランドなど域内の同盟国との連携強化をバイデン政権に要求している。

 トランプ前政権の大統領特別補佐官で、米外交評議会上級研究員のアレクサンダー・グレー氏は、中国は南太平洋への影響工作で、軍民両用の施設、基地を獲得しようとしていると警告している。標的となっているのは、パプアニューギニアのマヌス島、フィジーのブラックロック基地、バヌアツのルーガンビル港だ。

 グレー氏は、太平洋島嶼国はインド太平洋全域での米国の戦略にとって重要であり、中国は米国だけでなく、日本からインドにかけての地域の脅威となっていると警告した。

第102戦闘攻撃飛行隊に所属するF/A-18Fスーパーホーネットが、空母USSキティホークから最後の発艦を行う。米国カリフォルニア州サンディエゴ、2008年6月8日。写真:カイル・ガーロー/米国海軍。

中国潜水艦の米空母接近から20年 中国海軍の太平洋進出を象徴する転換点に

(2026年11月01日)
カリフォルニア州選出の共和党下院議員、ヤング・キム氏が2024年4月15日、ワシントンの連邦議会議事堂で演説を行った。(AP通信/J・スコット・アップルホワイト撮影、資料写真)

共和下院議員、「敵対国」中国への渡航警戒レベル引き上げを要請 不当拘束の危険性指摘

(2026年10月30日)
ピート・ヘグセス米国防長官は、2026年10月28日(水)、フィリピン中部セブで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相非公式会合に出席した。(ジャム・スタ・ローザ/AP通信提供プール写真)

米国防長官、イラン紛争でも対中抑止揺らがず 第1列島線防衛で連携強化

(2026年10月29日)
韓国の李在明大統領は、2026年9月18日(金)、ソウルの大統領府(青瓦台)で記者会見を行った。(AP通信/アン・ヨンジュン撮影、プール提供)

韓国の対露接近に疑問の声 ウクライナとの対立深まる

(2026年10月28日)
ピート・ヘグセス国防長官は、2026年10月21日水曜日、ワシントンD.C.のホワイトハウス東室で行われたドナルド・トランプ大統領との円卓会議で発言した。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

中国「孔子学院」、名称変え活動継続 米国防長官「すべて解体」

(2026年10月27日)
北朝鮮政府が2026年10月21日(水)に提供したこの写真には、北朝鮮の指導者である金正恩の妹、金与正(中央左)が、2026年10月20日(火)に北朝鮮の軍関係者とともに前線地域を視察する様子が写っている。北朝鮮政府が配布したこの写真に写っている出来事を、独立系ジャーナリストは取材できなかった。この写真の内容は提供されたものであり、独自に検証することはできない。(朝鮮中央通信/AP通信経由)

北朝鮮が強硬措置、拡声器を再稼働へ 韓国の対話路線に打撃

(2026年10月26日)

欧州での戦争に備える米陸軍 ロシアのミサイル・ドローン攻撃を想定

(2026年10月24日)
ドナルド・トランプ大統領(右)と中国の習近平国家主席は、2026年9月24日(木)、ワシントンD.C.のホワイトハウスのブルールームバルコニーから、新設されたヘリポートで行われた無言の小隊閲兵式を観覧した。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

中国、依然フェンタニル原料を輸出 米政権、規制の実効性を疑問視

(2026年10月23日)
2025年1月28日、北京でスマートフォンアプリ「DeepSeek」のページがスマートフォンの画面に表示されている。(AP通信/アンディ・ウォン撮影)

国土安保省、政府機関から中国AI排除を命令 情報の悪用を懸念

(2026年10月22日)
軌道上のロシアの宇宙船。写真提供:Dima Zel(Shutterstock経由)。

ロシア、米レーダー衛星への攻撃中止か 26メートルまで接近、予行演習の見方も

(2026年10月21日)
→その他のニュース