デマゴーグ、バイデン大統領
By Editorial Board – The Washington Times – Wednesday, July 13, 2022
最高裁判所が遅ればせながら、お粗末な1973年のロー対ウェイド判決を覆した翌日から2週間たった先週の金曜日、バイデン大統領は、ホワイトハウスのルーズベルト・ルームでテレビカメラの前を歩き回りながら、妊娠中絶に賛成の過激派に迎合する姿勢を鮮明にした。彼らは今や、この問題に関する民主党の政策をはっきりと文字にしている。
なぜ、ルーズベルト・ルームなのか。おそらく、バイデン氏は、自らを、ラフ・ライダー(注)の再来と妄想したからだ。「選択する権利」の救援に駆け付けたつもりなのだろう。このフレーズを、彼は、発言の中で3回使っている――もっとも、「選択する」という動詞は、「妊娠中絶」という直接目的語に決して結び付いていなかった(それは、以前私たちが述べたように、「選択」は妊娠中絶の婉曲(えんきょく)表現であり、左翼が許容するのは「選択」という言葉だけだからである)。
ワシントン・ポスト紙の描写を借りれば、「燃えるような、時として怒っているような」20分近くのとりとめのない、失言に満ちた発言の後、バイデン氏は、「性と生殖に関する医療サービス」と呼ばれる大統領令に署名した。
おおむね、それは見せ掛けで、大統領令はどうでもいいことをいじくり回すだけで、スピーチはバイデン氏が本当に言った内容よりも、言わなかった内容をより効果的に伝えていた。
発言のホワイトハウスの公式の記録によると、バイデン氏は「女性」という用語を22回使った。そこでは、実際には、性別は二つしかなく、男性は、妊娠も中絶もできないという暗黙の了解がなされていたが、それは、過激なLBGTQの左翼を苛(いら)立たせずにはおかなかった。
LBGTQのロビー――そしてポスト紙その他の報道機関の速記者ら――は、「出産者」「妊娠中の人たち」、さらに「膣(ちつ)のある体」など、より包括的な言葉を支持して、「女性」という言葉を「消滅」させた。例えば、スピーチに関するポスト紙のリポートによると、バイデン氏は「薬剤による中絶、または、中絶薬へのアクセスを保護し、居住州が中絶を禁止していても、緊急事態に陥っている妊娠中の人たちが必要なケアにアクセスできるようにするという彼の意図を示した」という。
バイデン氏のスピーチでも、「妊娠者」または「妊娠状態」という言葉が6回、「出産」という言葉が3回使われた。繰り返しになるが、参照例はいずれもLBGTQの左翼による染色体科学の意味的否定論に同調するものではない。
ロー判決の現状の回復だけとは大いに違って、女性の健康保護法は、妊娠9カ月すべてを通して中絶を合法化することになろう。それは、事実上、すべての既存の連邦および州の中絶制限を一掃し、中絶に対する連邦納税者の資金提供に対する45年の歴史を持つハイド修正条項を終わらせ、未成年者の中絶を管理する親の通知や同意を無効にしさえする。
大統領は「真実は、今日の最高裁判所の過半数が、事を急ぎ、事実にルーズであるということ」と熱弁を振るった。
大統領は再度、いかに真実を捉えていないかを示した。中絶のアジェンダを推し進めるために、事を急ぎ、事実にルーズに取り組んでいるのは彼自身なのである。実にみっともない。
注:米西戦争時にセオドル・ルーズベルトが派遣した第1次騎兵隊に付けられた名称