サメの襲撃増加はいい兆候
By Jacob Calvin Meyer – The Washington Times – Thursday, August 18, 2022
この夏、ロングアイランド沖からフロリダ州のビーチにかけて、人がサメに襲われる事例が何件も発生し、動揺が生じている。しかし、海洋生物学者らは、これらの生物が海岸近くで増えていることは、環境保護活動が奏功している証拠だと指摘している。
きれいな湾、入り江、ビーチは、人にとって魅力的だが、サメなど肉食生物の主要な食料となる魚などの生物にとってもすみやすい。エサがビーチの近くにあれば、サメもついていき、そのため、統計的に見ればごくまれだが、遭遇する危険性も高まる。
サメの専門家、クリス・ロー氏は、「サメがビーチ近くに来ることはいいことだ。これらの生物にとって何が生態学的に重要かは分かっている。それらは、海洋の健全性を示す格好の指標となる」と述べた。
20世紀の間、サメの数は乱獲と汚染で減少した。1990年代以降、漁獲制限や厳しい環境基準によって、サメと、そのエサとなる魚が増えた。サメの目撃事例が増加しているのはそのためだとロー氏ら専門家は指摘する。
遊泳客やサーファーにとってはよくないことかもしれないが、海にとっては恐らくいい兆候だ。ホホジロザメ、シュモクザメ、オナガザメ、イタチザメは、生態系を維持するには欠かせない。
この夏が特異なのは、数十人がかまれたことではなく、サメに遭遇した場所だ。
米国のほとんどのサメは、フロリダ沿岸に生息している。この夏は、ニューヨーク州ロングアイランドで、前例のない数のサメ被害が出ている。
先月はロングアイランドのビーチで6件の報告があった。重傷者は出ていないものの、不可解なサメによる襲撃は遊泳客を困惑させている。ロングアイランドの住人やそのほかの地域の遊泳客は、今後も続くのかどうか不安を抱いている。
ロングアイランドにあるストーニーブルック大学の海洋科学センターの責任者、クリストファー・パパロ氏は解説動画で、ニューヨーク市の環境保護の取り組みが、サメに襲われる事例の増加の主要な原因と指摘している。
「近年、ロングアイランド近海でサメの目撃例が急増している。サメが多く目撃されるようになったのは、環境が改善され、保護活動によって数が増えたからだ」
サメに襲われる事例は毎年発生しており、そのたびに海に行くことが危険とみられるようになる。ところが、専門家らは、サメは人を食べないという見方で一致している。人を食べれば、厄介なことになる。
サメの専門家、ギャビン・ネイラー氏は、「サメが人を襲おうと思えば、1日に1万件ぐらいはかみつかれるはずだ。たくさんの人が死ぬ。襲われる事例が少ないのは、サメの方が全力で人を避けているからだ」と指摘した。
海洋生物学教授で、ロングビーチのカリフォルニア州立大学サメ研究所の所長でもあるロー氏は、サメが遊泳者を襲うのは、恐怖を感じたか、人をエサと間違ったかのどちらかだと指摘、でなければ、人はサメにとって「水面の浮遊物」でしかないと述べた。