機密文書問題の悪化で、民主党に高まるバイデン批判の声

(2023年1月25日)

2023年1月13日、報道陣のバンから見えるデル・ウィルミントンのジョー・バイデン大統領宅へのアクセス道路。FBI がバイデン大統領の自宅で機密扱いの物品を新たに発見したことを受け、民主党の上級議員たちは、ジョー・バイデン大統領の機密文書の取り扱いについて、日曜日になって急激に批判を強めた。(AP Photo/Carolyn Kaster, File)

By Jeff Mordock and Ramsey Touchberry – The Washington Times – Sunday, January 22, 2023

 ホワイトハウスの危機対応が難しくなっている。バイデン大統領が機密文書を違法に扱った疑惑への危機対応が進められる一方で、捜査当局はこの週末、バイデン氏の邸宅から新たな資料を押収した。民主党内では大統領への批判が高まっている。

 民主党内の批判は、今回のスキャンダルがバイデン氏の大統領職に重い影を落とし始め、予想される2024年の再選キャンペーンにも影響するのではないか、との懸念を浮き彫りにしている。

 上院の多数派・民主党の院内総務リチャード・J・ダービン議員(イリノイ州)は、バイデン氏の機密文書の扱い方について、「考えられない」と手厳しい。

 「私は心配です。合衆国議会の議員として、機密情報には我々が従うべき規準があります」、上院司法委員会で議長を務めるダービン氏は、CNNの「ステート・オブ・ザ・ユニオン」番組で言明した。「機密書類の内容を問わず、箱に入れて倉庫のどこかに置かれていたなどとは、まったく考えられない話だ。」

 民主党中道派のジョー・マンチン3世(ウェストバージニア州)も今回の事態について、バイデン氏は「深刻に反省するべきだ」と言葉を強めた。

 「こんなことが起きるなんて信じられない。全く無責任極まりない」、マンチン氏もCNN「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で語った。

 クリストファー・A・クーンズ上院議員(デラウェア州、民主党)は少し控えめだ。「私はこの問題が、米国民を夜更かしさせるほどの問題とは思いません。国民はインフレ、ガソリンや調剤薬品の値上げなど、日常的なことで心配しているからです」、クーンズ議員はABCニュースの「この一週間」番組で語った。

 日曜日に公表されたABCニュース/イプソスの共同世論調査によると、回答者の64%がバイデン氏は機密文書の処理が不適切だったと見ているのに対し、34%は適切だったと考えている。

 この世論調査が行われたのは、大統領の個人弁護士ボブ・バウアー氏が土曜日、連邦捜査官がデラウェア州ウィルミントンにある大統領の自宅で新たな機密文書を見つけた、と公表する前だった。同弁護士によると、捜査官らはバイデン宅から六件の機密文書を押収し、その中にはバイデン氏が上院議員当時のものまで含まれていたと明らかにした。

 同じ世論調査では米国人の77%が、ドナルド・トランプ前大統領は退任後に機密文書を不適切に扱った、と回答し、22%は適切だったと回答した。

 トランプ氏とバイデン氏はそれぞれ、機密性の高い政府文書の取り扱いに関して、別々の司法省特別顧問から調査されている。選挙戦を控えた時期に、二人の大統領有力候補が連邦捜査の対象になるというのは今回が初めてのケースだ。トランプ氏は2024年の立候補をすでに宣言し、バイデン氏も来月の一般教書演説で発表すると予想されている。

 土曜日に発表された内容は共和党側を勢いづけた。日曜日のトークショー番組に出演して、もっと新たな機密文書が発見されるかどうか知りたい、と主張する人もいた。

 元下院議長のニュート・ギングリッチ氏は、デラウェア大学のバイデン研究所に、バイデン氏が上院時代からの資料などが1,850箱と、数百件の電子記録があり、その中に多くの機密性の高い文書が保管されている可能性を示唆した。ある裁判官は昨年、同研究所に対して、上院時代の公的記録について要請したことへの対応の不適切さについて、同研究所を叱責したことがある。

 「理屈の上では封印されているはずの保管箱に、誰かが目を通し始めたかどうか分からないが・・」、ギングリッチ氏はフォックスニュースで語った、「機密文書類がその中にあるか否か調べてみる必要はある。」

 共和党主導の下院・監視説明責任委員会は、機密文書がバイデン宅と、かつての事務所に保管された経緯について調査を開始した。

 連邦法規では機密指定された文書・資料を、安全が確保された場所以外に、権限なしに持ち出し保管することを厳重に禁じている。バイデン氏がオバマ政権の副大統領在任中、そのような権限は持っていなかったはずだ。

 大統領の個人弁護士バウアー氏が土曜日夜の声明で明らかにしたところでは、司法省の捜査官らが金曜日、バイデン氏のウィルミントンの自宅のすべての生活・仕事・倉庫エリアを捜索した。

 その際に捜査官らは、未発見の六件の機密文書を押収したが、それらはバイデン氏の上院時代と副大統領時代にさかのぼる。バイデン氏は1973年から2009年まで上院議員としてデラウェア州から選出されていた。

 当時バイデン氏は、上院で外交委員会の議長を務めたこともある。同委員会は外国への武器売却の資金提供や、同盟国のための訓練を含む外交政策立法を監督した。

 捜査官らは、副大統領時代のバイデン氏の「個人的な手書きメモ」も確保した。バウアー氏の声明では、捜索は午前9時45分に始まり、午後10時30分頃に終了した。

 「司法省は大統領の私邸の全てを確認でき、中には個人的な手書きメモ、ファイル、論文、バインダー、記念品、行動予定、日程表、数十年前の催促状などもあった」、大統領の個人弁護士バウアー氏は説明した。

 問題になっている文書類は、今月バイデン宅で発見された政府機密の記録だ。これで同氏のウィルミントン邸宅で見つかった機密文書は少なくとも12件になる。

 さかのぼって11月には、一束の機密文書が、オバマ政権後にバイデン氏がワシントンで運営していたシンクタンク内の個人事務所で発見された。

 その発見が引き金になり、追加の文書が必死に捜索され始め、バイデン氏の法律顧問らがデラウェア州ウィルミントンとレホボス・ビーチにある自宅を探すことになった。

 これまでの調査はバイデン氏の弁護士らによって行われた。しかし金曜日は司法省が、バイデン氏の法務チーム立ち合いの下で同氏宅を捜査した。

 これは連邦の法執行機関がバイデン氏の私的な住所で、政府機密文書を捜査する最初のケースとなった。またこの調査は、政府文書に関して違法性のある取り扱いミスを、司法省が踏み込んで調査をする一歩となった。

 バウアー氏は声明の中で、大統領の法務チームが、捜査官らに住居内での「迅速なアクセス」を申し出て、司法省が「副大統領時代の記録や機密資料もありうる住居全体の探査」を可能にした、と述べた。

 この申し出は「関連作業を可能な限り迅速に進めるために」なされた、とバウアー氏は説明した。しかしバイデン氏の法律顧問らがバイデン宅で行った二度の調査が、どこまで徹底していたか疑問を投げかけた。

 ホワイトハウスの顧問事務所のメンバーの一人、リチャード・ザウバー氏が出した別の声明では、バイデン大統領もジル・バイデン大統領夫人も、捜索時には住居にいなかったことを明らかにした。

 「大統領の弁護士とホワイトハウスの顧問事務所は、一連の調査が迅速かつ効率的に実施されるよう、司法省と同省特別顧問に対して引き続き協力する」、ザウバー氏は述べている。

 バイデン夫妻は週末をレホボス・ビーチの自宅で過ごした。真冬にビーチリゾートを訪れるという一風変わった旅行なので、海沿いの自宅で週末を過ごすというバイデン家の選択は、機密文書問題の展開に関連しているかもしれないという憶測を煽った。

 ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官は金曜日、バイデン氏がいつも休息しているウィルミントンの住まいでなく、レホボスビーチで週末を過ごしていた理由を問われ、回答を控えた。

 「目下の調査に関連している話なので、司法省に尋ねてください、こちらからその件でコメントするつもりはありません」、ジャン=ピエール報道官は語った。

 「大統領の旅行に関連して言えば、ご存知のように週末はデラウェアに行かれることが多いです」が、「それ以外にお話しできることはありません。」

 法執行機関がバイデン宅を捜索したことは必然的に、フロリダにあるトランプ氏のマー・ア・ラゴ邸宅が八月に捜索されたことと対比される。

 元大統領は保管していた機密文書について、国立公文書記録管理局から召喚状を受けた後もすべてを手渡さなかったことを示す証拠がある、として連邦捜査局(FBI)はトランプ邸の捜索令状を取得した。

 トランプ氏の機密文書に対する扱いには違法性がありうるとして、司法省特別顧問による調査対象になっている。

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