コロナ巡る政治的陰謀
By Editorial Board – The Washington Times – Wednesday, March 1, 2023
米国人は一般的に、善意の人々の間で暮らしていると思い込んでいるが、そうでもないことが明らかになった。米政府が新型コロナウイルス行動指針「拡大を遅らせるための15日」を表明してから間もなく3年、新型コロナの感染爆発からまだそれほど時間はたっていないが、主だった意思決定者や顔役的存在に、最高の善意を期待するのは間違いだということがはっきりしている。悲しいことに、この病気は、科学に携わる人たちのいたずらの産物であり、それを克服するための闘いは、人間の恐怖を政治的利益のための道具と見なす陰謀家によってつくられたと結論付ける理由に事欠かない。
米エネルギー省の調査官を含む一部の情報当局者が、今になって、この命に関わる病原体が中国の研究所から流出したという。以前は「信用されていなかった」説を、今はしぶしぶ信じられると発表した。皮肉としか言いようがない。ウォール・ストリート・ジャーナル紙が日曜日に最初に報じたエネルギー省の「爆弾」は、教師が後ろを向いている間に、中学生が出し遅れた宿題を書類の山に滑り込ませるようなものだ。倫理感を欠く連邦捜査局(FBI)でさえ、2年近く前に同様の見方にどうにか行き着いた。
2020年3月16日、当時のトランプ大統領は、感染性の高いウイルスが頂点に達してから鎮まるのに十分な期間、市民が隔離されたままになるように、事実上、すべてのオフィス、学校、店舗の全国的な閉鎖を発表した。
この戦略は、保健当局が彼に請け合ったようには機能せず、15日が15カ月になり、さらに長くなった。その間ずっと、米国人はマスクを着用し、勧告された「社会的距離」を取っていたにもかかわらず、互いに疑問を感じながら息を吸ったり、吐いたりし、そして、大規模なパラノイア(妄想症)が発生した。それでも、多くの米国民が死んでいった。
その間、この命取りの病原体の発生源として、中国の武漢ウイルス研究所で危険な「機能獲得」研究が行われていたことを指摘する報告が表面化した。この考えの信憑(しんぴょう)性を傷つけるために多大な労力が費やされ、米政府が首席医療顧問のアンソニー・ファウチ氏の指揮により、命に関わる実験に資金を提供したという証拠が明らかになった時、その取り組みは強化された。
全国の選挙関係者らが感染拡大の恐怖に乗じて、有権者の身分証明書提示という当たり前の規則を避けて、郵送による投票手続きを実行に移すようになると、科学に携わる人たちのいたずら心は、政治的陰謀を招いた。
投票の透明性に関する疑念によって、米国人は2020年の大統領選挙の結果に疑問を抱くようになり、それは、1月6日の米議会議事堂襲撃や、バイデン大統領の暗い評価につながった。
そして、バイデン政権の民主党員や、彼らを支持するメディアは、感染拡大によって引き起こされた選挙制度改変に関する当然の懸念を、共和党を打倒するためのキャンペーンの最前線に仕立て上げた。しかし、議会の調査は、100万人以上の米国民を殺し、民主党に米政府の完全な支配権を手渡したこの疫病についてありのままの真実を、根こそぎ明らかにすることを目指していただろうか。そうではなかった。
ありがたいことに共和党は、これまで触れられなかったこれらのデリケートな問題を掘り下げる計画を立てている。ケンタッキー州のランド・ポール上院議員は月曜日、政権に対し――3年もたってから――新型コロナが中国の研究所から漏洩(ろうえい)した可能性が高いと結論付けるに至ったエネルギー省による新しい情報を機密解除するよう求めた。
コロナ時代の科学と政治が人間の恐怖から利益を得る方法が明らかになるにつれ、幻滅した米国民の多くは、ミュージシャンのボブ・シーガーが「奔馬のごとくに」の中で歌った「その時私が知らなかったことを、今も、知らずにいられたら良かったのに」という歌詞をかみしめているかもしれない。