亡命の技師がプーチン氏を偏執症の戦争犯罪人と酷評
By Bill Gertz – The Washington Times – Sunday, April 9, 2023
ロシアのプーチン大統領は情報機関報告書から情報を得ており、コミュニケーションに携帯端末を使用していないと、最近ロシアから亡命した連邦警護局(FSO)の元技師が証言した。
グレブ・カラクロフ氏は、プーチン氏が2022年2月に始めたウクライナ戦争に反対してFSOを辞めたと、ロシアの反体制派団体に語った。
「ロシア大統領は戦争犯罪人だ」。カラクロフ氏は亡命した反プーチン派のミハイル・ホドルコフスキー氏の関連団体「ドシエ・センター」とのインタビューで述べた。
カラクロフ氏は昨年10月中旬まで、FSOの大統領通信局の大尉として働いていた。プーチン氏とミハイル・ミシュスチン首相が使用する通信回線の設定と暗号化が任務だった。
ドシエ・センターのアナリストは10時間にわたってカラクロフ氏と対談し、同センターのウェブサイトに1時間のインタビューを掲載した。インタビューの大半は、カラクロフ氏がロシアのウクライナ侵攻に幻滅し任務を離脱したことに焦点が当てられていた。
またカラクロフ氏は、プーチン氏が側近や支持者とどのように連絡を取り合っているかや、移動や警備、さらに私生活についても洞察を示している。
06年に亡命者のアレクサンドル・リトビネンコ氏を毒殺し、その12年後にロシア軍の情報員だったセルゲイ・スクリパリ氏を殺害しようとしたとされるロシアの情報機関は、西側に離反した者を狙ってきた歴史がある。
カラクロフ氏は自身の身の安全を心配しており、ロシア情報機関による同様の報復を恐れていると語った。
カラクロフ氏はまた、プーチン氏のテレビ会議担当技術者や同氏の食事を作る特別料理人、食品の安全を担当するセンターを統括する検査官など、プーチン氏を守るために用いられるFSOの手法の機密事項を公開した。
プーチン氏はまた、クレムリン(大統領府)の壁を越えて移動した時は、「爆弾シェルター」(公邸やロシア大使館にある地下壕〈ごう〉)を利用する。
「一種のパラノイアだ」とカラクロフ氏は言う。「爆弾シェルターは他に何のためにあるのか。そう、彼は単に恐れているだけなのだ」。プーチン氏の公邸はすべて同じ家具と設備で整えられており、モスクワの北東約250マイルにあるバルダイの公邸を好んで使っている。モスクワ近郊の大統領公邸は他に、ノボオガリョボ、サンクトペテルブルク、ソチにもある。
プーチン氏は、公式に見える車列や航空機を送ることで、自身の移動を隠すことで知られている。
「これは第一に、外国情報機関を混乱させるための策略であり、第二に、プーチン氏の命が狙われるのを防ぐためだ」と、カラクロフ氏は語った。
カラクロフ氏は、プーチン氏が秘密裏に移動するために使うジェット機やヘリコプター、ヨット、特別列車に安全な通信のための電話ブースを設置する任務に携わっていたと話した。
カラクロフ氏によると、航空機は外国のスパイ組織に追跡されやすく、列車の移動の方が目立ちにくいという。プーチン氏はウクライナ戦争が始まって以来、列車での移動を増やしている。
プーチン氏には一緒に移動するアシスタントがおり、インターネットの監視、ノートパソコン、通信ネットワークへのアクセスなどを監督しているという。ここからプーチン氏はテクノロジー恐怖症のようなものであることが分かる。
「(プーチン氏は)インターネットも携帯電話も使っていない。彼は側近グループからしか情報を受け取らず、つまり、情報の真空地帯で生きているのだ」とカラクロフ氏は言う。戦争や外部世界に関する情報のほとんどは、情報機関の秘密報告書から得ている。