バイデン氏の無策と中国の悪意

(2023年8月12日)

2022年11月14日、インドネシア・バリ島で開催されたG20首脳会議の傍ら、握手を交わすバイデン米大統領(右)と習近平中国国家主席。先進7カ国(G7)の首脳は、中国への懸念を表明することで一致している。問題は、その懸念をどのように行動に移すかである。(APフォト/アレックス・ブランドン、ファイル)

By Editorial Board – The Washington Times – Tuesday, August 8, 2023

 中国の米国に対する影に隠れた敵意は見逃せない。しかしバイデン大統領は、あたかもこのアジアの巨人が、『アメリカン・ニンジャ・ウォリアー』(日本のテレビ番組『SASUKE』の米国版)に出てくる俊敏なライバルの地政学版にすぎないかのように振る舞っている。

 バイデン氏が中国の意図をより明確に把握しない限り、米国は後れを取ることになりかねない。

 最近の出来事は、中国共産党の企みの重大さを物語っている。司法省は3日、2人の現役の米水兵がカリフォルニア州で逮捕され、米軍艦船と作戦に関する機密情報を中国の情報将校に送った容疑で起訴されたと発表した。

 検察によれば、2人は中国に船舶や兵器システムの写真やビデオなどの機密資料を提供し、数千㌦を受け取ったという。中国生まれのある船員は、昨年米国籍を取得したばかりで、誓って間もない星条旗への忠誠の誠実さに疑問を投げ掛けている。

 今回の逮捕は、中国製マルウェアという「時限爆弾」が国内外の米軍基地への電力や通信、水道の供給を制御するネットワークに感染したとするニューヨーク・タイムズ紙の最近の報道に続くものだ。

 中国の習近平国家主席が台湾侵攻の可能性に備えて中国の軍事力を集結させる中、米国の情報専門家は、中国が米国の軍事力、水道、通信を混乱させ、中国本土による台湾に対する行動への対応を不能にすることを恐れている。

 この報道に危機感を抱いたミズーリ州選出のマーク・アルフォード議員を筆頭とする11人の共和党下院議員は、ロイド・オースティン国防長官と国家安全保障局(NSA)のサイバーセキュリティー責任者ロブ・ジョイス氏に書簡を送り、セキュリティー上の欠陥の疑いについて説明するよう迫った。「中国共産党の攻撃性を野放しにしておくことは、中国共産党の好戦的な行動の拡大を招くだけだ」

 この脅威にもかかわらず、バイデン氏は中国への新たな経済制裁の発動を延期し、ドナルド・トランプ大統領(当時)が2018~19年にかけて命じた関税の撤廃を検討していると伝えられている。習近平政権は制裁緩和を米国との軍事交流再開の条件としている。

 さらに議員たちは、中国が米軍基地周辺の何千エーカーもの農地を買いあさっていることに警鐘を鳴らしている。これに対し、ワシントン州選出のダン・ニューハウス下院議員(共和党)は、「中華人民共和国政府に関係する外国人による」米国農地の購入を禁止する法案を提出した。

 中国の浸透に対する米国の憤りの高まりを「中国恐怖症」と解釈してはならない。ピュー・リサーチ・センターが7月に実施した調査によれば、アジアの巨人を最も軽蔑しているのはアジア系米国人自身である。 中国以外のアジア7カ国から移住してきた帰化米国人のうち、中国に対して肯定的な見方を示したのはわずか14%だった。興味深いことに、ほとんどの中国系米国人でさえ、祖先の母国を好意的に見ているのはわずか41%である。

 彼らは何よりも、母国の悪意を肌で感じているのだ。もしバイデン氏が中国の影に隠れた悪巧みに無頓着なままであれば、米国は地政学的な一大競争において落後者に終わる運命にある。

1989年5月17日、中国・北京の天安門広場は、民主化を求める集会で数千人の群衆で埋め尽くされた。(AP通信/Sadayuki Mikami)

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