中国がAI規制、共産主義体制への奉仕義務付け

(2023年8月21日)

2023年6月19日月曜日、中国・北京の人民大会堂でアントニー・ブリンケン米国務長官と会談する中国の習近平国家主席。(リア・ミリス/プール・フォト via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, August 15, 2023

 中国は15日、人工知能(AI)サービス企業に対し、共産主義体制を支持し、技術が国家権力を破壊することを防止するよう求める新たな暫定規則を施行した。

 この規則は、中国の習近平国家主席の下で、安全保障の強化が重視されていることを示すもので、技術や情報が共産党の支配に対する脅威にならないよう規制するものだ。

 中国では現在、米オープンAIの対話型AI「チャットGPT」と同様のサービスを提供できるAI企業100社以上が上場しており、この技術で世界のリーダーになると宣言している。

 AIとは、高度なソフトウエアと高性能のコンピューターを使い、人間の脳機能の一部を模倣したテキスト、画像、音声、動画を作成する新しい技術だ。

 この新しい規則は7月13日に発表され、15日に施行された。これは中国のサイバースペース管理局によって承認され、警察と治安を管轄する主要機関の公安省など7つの機関が支持している。

 規則の中心部分には、AIサービスを提供する者は「社会主義の核心的価値観に従い、国家権力や社会主義体制の転覆を扇動するコンテンツを生成してはならない」と記されている。

 社会主義の核心的価値観は、中国憲法に概説されており、中国の共産主義イデオロギーを「中国の特色あるマルクス・レーニン主義」と表現している。

 また、中国のAIプロバイダーは、「世論にかかわる性質や社会的動員能力を持つ」場合、安全審査を受ける必要があると規定されている。

 その他の制限としては、「国家安全保障を危険にさらす」「国家イメージを損なう」「体制の転換を扇動する」「国家の団結と社会の安定を損なう」AIは禁止されると曖昧な表現が使われている。また、党が禁止する「虚偽で有害な情報」を宣伝するためにAIを使用することも禁止されている。

 カーネギー国際平和財団の中国専門家、マット・シーハンは報告書の中で、アルゴリズムへの規制など、中国のAIに関する規制は細部にまでわたり、世界でも類を見ないと指摘している。

 中国は2021年に、AIのアルゴリズムを制限し、当局への登録を義務付け、2022年には生成されたコンテンツに関する規則を追加、7月13日に今回の規則を発表した。

 シーハン氏は「情報統制がこの3つの措置の中心的な目標だが、他にも注目すべき規定が多く含まれている」と指摘した。

 規則では、過度な価格差別を禁止し、労働者の権利を保護し、「違法」な目的のために個人データやAIを使用することを禁止している。

 シューマー米上院院内総務は今年に入って、米国によるAI規制の計画を発表し、中国に最先端技術の「ルールを書かせる」ことは許されないと述べた。

 AIは、軍、情報機関でさまざまな目的に利用されており、国防総省と中国軍が開発に取り組んでいる。高度なAIは、情報収集、サイバースパイ、自律型兵器システムの操作に使用することができる。

 中国の新しい規則は、習氏の政治的盟友である王小洪公安相を含む、中国の主要な情報・技術関連省庁の幹部らが署名している。

 シーハン氏によれば、今回の暫定規則は、今年末か2024年に施行されるより包括的な規則を作成するプロセスの一環だという。新しい規則の主な目的は、「(中国共産党の)政治課題、特に情報統制と、そこから生まれる政治的・社会的安定に役立つように」テクノロジーを形成していくことだとシーハン氏は述べた。

 シーハン氏によると、習氏はAIルールの規制にそれほど直接的には関与していないようだ。習氏は2019年の演説で、中国はAIを安全、安心で、信頼でき、制御可能にすると述べていた。

 2023年3月に発表された2つの新しい党組織、中央科学技術委員会と国家データ管理局は、AIに関する政府の政策策定で大きな役割を果たすとみられている。

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