「ハバナ症候群」にロシア関与か 米高官らが脳に損傷

(2024年4月9日)

2023年1月4日、キューバ・ハバナのアメリカ大使館。2024年3月18日(月)、かつて「ハバナ症候群」と呼ばれた謎の健康問題に苦しむ米外交官やその他の政府職員について、高度な検査の結果、脳の損傷や変性は見られなかったと研究者らが報告した。(AP Photo/Ismael Francisco, File)。

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, April 3, 2024

 ロシアが新型のビーム兵器を秘密裏に使用し、多数の米外交官や情報機関関係者に脳損傷を負わせたと報じられたことを受けて、米情報機関はこれらを深刻にとらえなかったと非難されている。

 国家情報長官室(ODNI)は先月の年次脅威評価報告で、ほとんどの米情報機関は、米政府関係者が脳損傷を負うなどした「ハバナ症候群」と呼ばれる不可解な症状について、「外国の敵が原因である可能性は極めて低い」と結論づけた。

 国防情報局(DIA)の要請を受けてこのシンドロームを調査した退役陸軍中佐のグレッグ・エドグリーン氏は、3月31日に放送された報告書の中で、音響またはマイクロ波によるとみられているこの攻撃の背後にはロシアがいると考えていると述べた。政府調査団はこの被害を「異常健康事例」と呼んでいる。これは、敵の攻撃によるものなのかという質問にエドグリーン氏は「私の個人的な意見はイエスだ」、その敵は「ロシアだ」と語った。

 エドグリーン氏は、事件の背後には外国の敵はいないという米情報機関の公式結論を否定する新情報を提供した。この発言は、CBSのニュース番組「60ミニッツ」が3月31日に放送した。番組は、ドイツのシュピーゲル、ロシアの反政府系メディア、インサイダーと協力してこの調査報道を行った。

 エドグリーン氏によれば、国防総省はこの脳への攻撃について、シギント(通信傍受などによる情報)、ヒューミント(人的情報)、インターネット、移動、金融取引記録から得た公開されているデータなど大量の情報を収集したという。

 「残念ながら極秘であり、具体的なことは言えない。しかし、まず言えることはかなり早い段階から、ロシアに焦点を当て始めたということだ」

 標的とされたのはDIA当局者の上位5%であり、エドグリーン氏はこれらの当局者について一つの重要な指標があると述べた。全員がロシアとつながりがあり、攻撃で障害を負ったり、職務を遂行できなくなったりした。

 この放送では、最も可能性が高い攻撃手段は、指向性パルス無線周波数(RF)エネルギー、マイクロ波、または超音波だと述べた。

 これとは対照的に、米情報分析官らは、攻撃は環境要因か個人的な健康状態によるものだとしているが、この主張に被害者の多くは反発している。

 CBSは、「キャリー」と名乗るFBIの女性捜査官へのインタビューを報じた。それによると、キャリーが受けた2回の脳への攻撃は、フロリダ州でロシアのスパイとみられる人物の捜査に関与した後に起こったという。

 退役した国家安全保障専門家で元陸軍特殊部隊将校のロバート・マクライト氏は、60ミニッツの報道は適切な第一歩であり、ハバナ症候群は敵対勢力からのものではないという公式見解への反証を提供したと述べた。

 一方でマクライト氏は、この報道は、ロシア以外からの攻撃の可能性を検証していないと述べた。注目すべきは、中国軍が音波兵器や脳に影響を与える電子ビーム兵器の開発を推進していることを公にしていることだという。

 マクライト氏は、脳への攻撃に関する広範な調査の結果、中国も事件に関与している可能性が高いとみていることを明らかにした。

 ハバナ症候群は2016年にキューバの米大使館で初めて発見された。また、中国の広州でも、米政府当局者らが同様の脳損傷を負った。

 マクライト氏は、どちらの攻撃も「ニューロストライク」兵器によるものだと主張した。

 調査によれば、ロシアと中国は、ナノパルスRF、超音波、埋め込み型吸収ナノテクノロジー、サイバープラットフォームなど「いくつもの技術を一つにまとめ上げて」脳への攻撃に使っている。

 また、マイクロ波兵器が使われた可能性は低いが、完全には否定できないと、ワシントン・タイムズに語った。

 ロシアは今週、60ミニッツの報道を、確かな証拠のない昔ながらの陰謀論として一蹴した。

 ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は記者団に対し、「このような根拠のない批判について、説得力のある証拠を発表したり、表明したりした者はどこにもいない。したがって、これらはすべてメディアによる根拠のない言いがかりに過ぎない」と述べた。

 国防総省は、「従来とは異なる脳損傷」をもたらす攻撃を検知できるセンサーの開発に取り組んでいる。ODNIの報道官は、米国の情報機関は調査を続けているが、外国の敵の関与の「可能性は極めて低い」という脅威評価報告の結果を改めて主張した。

 ハバナ症候群に関するホワイトハウスの方針に詳しい政府筋によると、1人の人物がこの事件への外国の関与に関する調査を妨げているとみられており、それは国家安全保障会議(NSC)の情報責任者マハー・ビター氏だという。

 ある政府当局者は、敵国の行動がこの事件を引き起こした可能性に関する調査をビター氏が妨害しているとの見方を強く否定した。

 この高官は「それは事実ではない」と指摘、ホワイトハウスはこの問題についての独自の調査を行うことを情報機関に任せていると付け加えた。

 ホワイトハウスは、60ミニッツの報道に関する声明で、連邦政府機関は、脳損傷事例の「潜在的原因」についての調査を「優先する」よう政権から指示されたと述べた。

バイデン大統領、退任控え米中技術協定を延長 議会は破棄を要求

(2024年12月19日)

アジアの米空軍基地は中国のミサイル攻撃に極めて脆弱-調査

(2024年12月16日)

中国ロケット軍、極超音速技術でミサイル戦力増強

(2024年12月15日)

尹大統領失脚なら左派政権復活も 日米との関係に深刻な影響-韓国

(2024年12月11日)

トランプ次期政権の中東戦略の鍵サウジ イランが障害に

(2024年12月08日)

ノートルダム再開式典にトランプ氏招待 バイデン時代の終わり

(2024年12月06日)

トランプ大統領、北朝鮮の核保有容認も 韓国には大きな衝撃

(2024年12月02日)

トランプ関税は自動車部門に深刻な打撃 メキシコが警告

(2024年11月30日)

日韓歴史問題が再燃 佐渡追悼式典巡リ誤報

(2024年11月28日)

トランプ氏再選で日韓に緊張感

(2024年11月23日)
→その他のニュース