戦争に勝てる宇宙軍構築を シンクタンクが提言
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2023年3月14日(火)、ワシントンで開かれた2024会計年度国防授権要求の審査で、米宇宙軍のプログラムを検討するための上院軍事委員会戦略軍小委員会の公聴会で発言する米宇宙軍B・チャンス・サルツマン宇宙作戦部長。(AP Photo/Alex Brandon)
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, February 20, 2025
19日に公開されたシンクタンクの報告書によれば、米宇宙軍は、中国と軍事的に対抗し、将来の宇宙戦争の発生を抑止することを目指しているが、重要な領域での中国の支配に対して脆弱だという。
ミッチェル航空宇宙研究所の報告書によれば、中国など敵対国は宇宙兵器や人工衛星などの開発に意欲的に取り組んでおり、米軍の現行の指導哲学ではそれに十分に対抗できない。
現在の方針は、サルツマン宇宙作戦部長が支持する2023年の軍事コンセプトで概要が説明されており、中国、ロシアとの競争が紛争に発展するのを防ぎながら、宇宙へのアクセスを確保するための「競争的持久力」を追求している。
報告書は、チャールズ・ガルブレス退役宇宙軍大佐とジェニファー・リーブス退役空軍大佐が作成したもので、昨年10月に開催された宇宙戦争専門家会議に基づいている。その結論で、「勝利よりも持久力を優先することは、戦いのメンタリティーとガーディアン(宇宙軍兵士)のアイデンティティーの中核を損なう可能性がある」と指摘している。
ヘグセス国防長官は、軍の殺傷能力の向上と、「多様性、公平性、包括性(DEI)」プログラムの廃止が最優先事項だと述べている。
宇宙軍は、第1次トランプ政権時に創設された比較的新しい軍であり、現在は空軍の傘下にある。海軍傘下の海兵隊と同様の関係にある。
発足から5年余りたつにもかかわらず、バイデン政権時代の宇宙軍はほとんど前進しなかった。配備が公表されているのは、一時的に衛星を妨害することができる電子ジャマーで、その他の兵器開発は公表されていないという。
報告書によれば、それに対し中国はすでに複数の宇宙兵器を配備しており、その中には異なる軌道上の衛星を撃ち落とすことができる衛星破壊ミサイルも含まれている。中国軍は、軌道上の宇宙システムを攻撃できる指向性エネルギー兵器、サイバー兵器、ロボット衛星を製造している。
ロシアもまた、衛星破壊ミサイルを配備し、テストしており、衛星を破壊したり、電子機器を混乱させたりできる宇宙「核爆発」システムの開発に取り組んでいる。
報告書によると、バイデン前、トランプ現政権と議会は、宇宙軍がこのような攻撃的・防衛的宇宙兵器を配備することを制限している。報告書は政府と議会に、規制を緩和し、海上、空中、地上、サイバースペースでの戦闘を想定した宇宙戦闘部隊を標準とする新たな兵器を構築するよう求めている。
宇宙兵器の配備は、宇宙軍の態勢を強化し、米国の衛星システムに対する脅威を抑止することになる。
議会はまた、宇宙軍と部隊のための予算を直ちに増額し、「持続可能性を追求するだけでなく、地上領域における敵の戦争遂行能力を支援する敵の宇宙能力を排除する」新しい戦争遂行コンセプトを支援する必要がある。
「これによって中国は、コスト増を余儀なくされ、無制限の競争に耐えられるだけの軍事的対応を迫られることになる」と報告書は主張している。
宇宙軍の広報担当者は、報告書についてすぐにコメントしなかった。
報告書は「空軍、陸軍、海軍、海兵隊が行う他のすべての領域での戦闘作戦のように、領域の優位性を得るための防衛的・攻撃的な対宇宙作戦を標準化しなければならない」と指摘している。
さらに軍として宇宙軍が成功するには、政策転換を行うかどうかにかかっていると述べている。現在の政策は、敵の宇宙攻撃を複雑にし、攻撃を長期的に遅らせるように計画されており、戦争に勝てる能力や組織の攻勢を追求していない。
宇宙軍の過剰な秘密主義も批判された。情報機関に関する報告書に詳しい専門家によれば、外国の宇宙兵器については、米国の宇宙兵器開発よりも多くのことが明らかにされている。
競争的持久政策は、将来の戦場としての宇宙で標準化されるべきではなく、宇宙軍が宇宙で勝利し、優位を獲得するのを妨げる、と報告書は述べている。
「この落とし穴に対処しなければ、宇宙軍と統合宇宙軍は、支援と予算が減少するという死のスパイラルに陥る可能性があり、最終的には、宇宙における米国の利益を確保するために必要な能力の実戦配備と作戦の遂行を妨げることになる」
この報告書は、55人の軍事宇宙専門家を集めた会議を基に作成され、ロシアの衛星破壊核兵器配備や、ハリケーンでフロリダから衛星打ち上げができなくなっている間に中国が台湾を軍事的に封鎖し、同時に中国の衛星が50基の低軌道衛星を連鎖的に破壊した場合など、多くの危機的シナリオについて検証した。
報告の別のシナリオで宇宙専門家らは、「宇宙封鎖」の中で、中国が「重要な攻撃・機動能力を持つ」軍事衛星数十機を打ち上げるというシナリオに対処しようと試みている。
退役空軍中尉デービッド・デプトゥラ(現ミッチェル研究所)は、宇宙軍幹部のサルツマン氏は部隊に戦争に対する姿勢を教育し、浸透させることに専念していると述べた。
「しかし、このような取り組みは、宇宙を聖域とみなす歴史的な見方と、長年、宇宙戦争についての議論が封じられてきたことによって妨げられている。不足しているのは、宇宙軍内部の強力なリーダーシップではなく、宇宙軍に対するより多くの予算、人員、権限だ」