中国軍、ステルス機探知レーダーを開発へ

(2025年3月18日)

2025年3月5日水曜日、中国・北京の人民大会堂で全国人民代表大会(NPC)開会式に出席するため待機する軍人たち。(AP Photo/Andy Wong)

By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, March 12, 2025

 空軍のシンクタンクの報告によると、中国人民解放軍(PLA)はステルス機を探知できる高度な防空レーダーを配備しようとしている。

 さらに、PLAの新しい防空レーダーは、攻撃用ドローンや低空を飛行するミサイルがもたらす脅威にも対応できるように設計され、気球や無人航空機に配備されていることが、中国航空宇宙研究院(CASI)の報告書で明らかになった。

 「中国の大規模な防空レーダー産業基盤は、あらゆる高度と範囲における包括的な探知能力を生み出しており、その最新システムはレーダー技術の国際的最先端にあるようだ」と報告書は指摘している。

 また、中国の統合防空ネットワークで使用されるレーダー開発の規模は非常に大きい。軍事用レーダーへの投資は過去10年間で3倍になり、2022年だけでも60億ドルが費やされると推定されるという。

 対照的に、国防総省にとって防空レーダーの優先順位は高くないという。2022年に特定された5つの優先産業分野のうち、先進レーダー開発に関わるものはなかった。

 中国の開発の多くは、F35やF22戦闘機/爆撃機、B-2爆撃機など、将来の紛争で主要な役割を果たすであろう米国のステルス機を探知するために設計されている。最近配備されたシステムには、移動式レーダーや「ステルス・ペネトレイティング」レーダーがあり、国中に散らばる性能の低いレーダーとネットワーク化されている。

 「PLAは、少なくとも旅団レベルで、複数の種類と能力を持つ防空レーダー・プラットフォームをネットワーク化することができるようであり、おそらく全国の防空レーダーからの情報を一つの探知ネットワークに集中し、まとめることができる」と報告書は指摘しながらも、PLAがこれらのデータを効果的に利用できているかどうかは明らかではないとしている。

 報告はさらに、先進レーダーは、インド太平洋地域での米軍の活動能力を脅かすものと強調している。このレーダーネットワークを使って、中国領空内での包括的な探知、追跡、照準が可能になり、長距離レーダーは中国国境外で作動することができる。

 「中国の防空レーダーネットワークは、最新鋭のステルス、長距離、極超音速プラットフォームでなければ、米軍が侵入するのは困難である。PLAのより高度なレーダー能力が拡大し続け、他の地域でも同様になる可能性がある」

 地域的な軍事衝突では、防空ネットワークは初期段階での主要な標的となる。例えば、イスラエルは最近のイランへの空爆で、全国の防空網の大部分を破壊、これによってイランは攻撃を受けやすくなった。

 248ページに及ぶCASIの報告書は、防空網の増強を特定するのに役立った中国国内436カ所のレーダーサイトの衛星画像と、中国の軍事文書に基づいている。この報告書は、中国の専門家であり、経営コンサルタント企業「ブルーパス・ラブズ」の研究者、エリック・ハンドマン氏が作成した。

 PLAのネットワーク化されたレーダーは、車両、地上局、船舶、航空機に配備されている。移動システムは400マイル(約640キロ)以上離れた航空機を探知することができ、長距離システムは1800マイル以上に到達することができる。PLAの新型レーダーのひとつは「スパイダーウェブ」と呼ばれ、360度をカバーし、複数のターゲットを追跡できるポータブルフェーズドアレイレーダーを使用し、「UAVターミネーター」とうたわれている。

 PLAが取り組んでいる未来型レーダー技術には、「コグニティブ・レーダー、量子レーダー、インテリジェント・レーダー、マイクロ波光子レーダー」が含まれるという。

 これらの高度なレーダーは、人工知能(AI)を使ってターゲット環境に合わせて送信波と受信処理を調整する。

 コグニティブ・レーダーは、能力の低いアルゴリズムの代わりにAIを使用し、ターゲットの探知、追跡、識別を改善する。

 レーダーはまた、AIを使って干渉に対抗し、高速化し、ネットワークを拡大している。

 ステルス機を探知するためPLAは2つの基地局を使用する「バイスタティック」レーダーを開発中だという。このレーダーはラジオフォトンではなくマイクロ波フォトンを使用しており、どのような天候でもステルス機を探知することが可能になる。

 報告書は、2023年に配備されるとされている中国の合成開口レーダー衛星の開発については触れていない。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が先月報じたところによるとこれは、ルディ・タンス衛星と呼ばれ、上空2万2000マイルの軌道を周回し、地表の3分の1以上を監視し、全天候型の高解像度探知が可能だという。

 中国はまた、エジプト、パキスタン、ベネズエラを含む推定23カ国に高度なレーダーを輸出している。

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