ミサイル防衛で「積極防衛」、宇宙能力の重要性強調-陸軍幹部

ワシントン・タイムズ紙が毎日配信するニュースレター「Threat Status」のビデオ映像。
By Vaughn Cockayne – The Washington Times – Sunday, August 17, 2025
敵国が莫大な資源を投入して米国を凌駕する次世代兵器の開発を進めているが、米軍は、これらの脅威に対処可能なシステムの構築に取り組んでいる――軍幹部がワシントン・タイムズに明らかにした。
陸軍宇宙・ミサイル防衛司令部と統合ミサイル防衛機能部隊司令部を率いるショーン・ゲイニー中将はワシントン・タイムズに対し、陸軍がミサイル防衛の先導役を担っていると述べた。
ゲイニー氏は、イスラエルとウクライナで米国のミサイル防衛の優位性が実証されたと指摘、防空システム「パトリオット」と迎撃ミサイル「高高度防衛ミサイル(THAAD)」がさまざまな標的を無力化したと指摘した。一方で、技術開発の速度が早く、適切なミサイル防衛の確保が困難であることも認めた。
「ドローン戦が急速に進化しており、これらの多様な脅威に対抗する防御環境は複雑化している。彼らは弾道ミサイル、巡航ミサイル、ドローンを同時に使用し、攻撃のタイミングを図ることで、防御する側を圧倒し、混乱させようとする」
6月のイスラエルとイランの12日間の交戦で、米国のミサイル防衛技術は効果的だったとみられている。THAADとパトリオットは、イランから発射されたミサイルとドローンの大部分を撃墜したが、備蓄は急速に枯渇し、米国が装備の整った敵に対して防衛できなくなるのではないかと懸念が生じている。
ゲイニー氏はワシントン・タイムズとの議論で、兵器が発射される前に目標を破壊する「アクティブディフェンス(積極防衛)」の重要性を強調した。この戦略には、従来の運動エネルギー兵器やサイバー戦を通じて、ミサイル生産施設や発射基地を標的とする措置が含まれる。
「現在、私たちはアクティブ(能動)センサーと射手によるアクティブディフェンスに重点を置いているが、ミサイル防衛を総合的に活用し、補給と備蓄を標的とする必要があると考えている。発射前に備蓄を標的とすることで、戦場で迎撃する必要のある迎撃ミサイルの数を減らすことが重要だからだ。ウクライナやイスラエルでの最近の紛争を見れば、長期戦では、敵が発射する大量のミサイルに対して、一つひとつを迎撃する能力を維持し続けることが難しいことは明らかだ」
ゲイニー氏は、陸軍のプロジェクト「空とミサイル防衛戦略2040」の重要性を強調した。これによって軍の防御上の課題を解決できる可能性があるという。この戦略は、既存、新興の技術を統合し、陸軍にとっての脅威を発見、追跡、破壊する能力を向上させることに焦点を当てている。同氏は、統合センサーネットワークの力を兵士に委ねることで、防御の成功確率が向上すると述べた。
「私たちは、おそらく過去40年間で最も意欲的な近代化計画を進めている。指揮統制のための『統合戦闘指揮システム(IBCS)』を強化している。IBCSは、あらゆるセンサーと射撃システムを組織内に統合し、最先端のレーダーや迎撃システムを活用し、操作者がそれらのシステムを組み合わせて適切な脅威に対処する能力を提供する」
ゲイニー氏はまた、防御システムには最後のフロンティアである宇宙のセンサーが含まれる可能性があり、宇宙能力が統合防御の鍵となると述べた。
「陸軍が宇宙での能力を維持できるようにすることは、戦場での機動を可能にし、精密射撃を可能にし、長距離通信を可能にするという点で理にかなっている。したがって、宇宙は陸軍の接近戦に必要だ」
ゲイニー氏は、国防総省が取り組んでいる次世代のミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」には特に言及しなかった。防衛当局はこの構想について口を閉ざしており、陸軍宇宙・ミサイル防衛司令部がその開発にどのような役割を果たしているかは不明だ。トランプ大統領は5月、構想には1750億ドルの費用がかかり、任期中に完成すると発表した。