米情報機関、北朝鮮の極超音速ミサイル能力に疑問

北朝鮮政府が提供したこの写真は、2025年10月28日(火)、北朝鮮の非公開の場所で実施されたとされる海対地巡航ミサイルの試験の様子を示している。北朝鮮政府が配布したこの画像に写る出来事を取材するため、独立系ジャーナリストは現場への立ち入りを許可されなかった。画像の内容は提供されたままのものであり、独立して検証することはできない。画像に付された韓国語の透かしには「KCNA」と記されており、これは朝鮮中央通信(Korean Central News Agency)の略称である。(朝鮮中央通信/韓国ニュースサービス via AP)
By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, October 30, 2025
米情報機関は、北朝鮮が最近主張した極超音速ミサイルの開発に疑問を投げかけている。米国防当局者が明らかにした。
北朝鮮国営メディアは、軍が最近、極超音速滑空体の実験を行ったと発表した。
これに先立ち、米軍は韓国に「間接砲火防御能力システム」と呼ばれる高度な防空システムを配備していた。
このシステムは北朝鮮のミサイルを攻撃することが可能だ。
この当局者は「彼らが極超音速兵器をものにしたという証拠はまだないと思う。技術的には、これまで北朝鮮が発射し、誇示してきたものとは全く異なるものだ」と主張した。
同時に、北朝鮮軍は「極超音速兵器の開発に取り組んでいることも確かだ」と述べた。
北朝鮮は、極超音速技術はこれまでのミサイル発射実験にも取り入れられていると主張しているが「取り組んでいるものの、まだ実現には至っていない」と同当局者は語った。
北朝鮮は、米国に核弾頭を着弾させることが可能な複数の長距離ミサイルの開発を進めている。
同当局者によると、北のミサイル開発プログラムには、すべてのミサイル戦力の有効性、精度、技術を「高める」ための複数年にわたる包括的なプログラムが含まれている。
北朝鮮は、西側諸国が「自分たちを取り押さえようとし、体制転換をしようとしている」という認識に基づいて、この増強に意欲的に取り組んでいるとこの当局者は述べた。
北朝鮮が極超音速ミサイルを開発したという主張についてこの当局者は、「北朝鮮は少し話を誇張することがあり、これはその典型だ。実験自体には少しだが現実味はある」と述べた。
また、核弾頭の再突入技術では改善が見られるという。
「進展があると言っていいと思うが、再突入を含む飛行の全段階を通じてミサイルの完全な性能を実証するには至っておらず、ICBM(大陸間弾道ミサイル)と再突入体が設計通りに機能するという大きな自信を持つには至っていない」
北朝鮮が最近、ロシアとの間で交わした相互防衛協定には、北朝鮮がロシアから宇宙ロケット発射技術を取得することも含まれている。ロケット発射とICBMの技術は似ているため、そのノウハウが北朝鮮のミサイルに使われる可能性が高い。
「北朝鮮がここしばらくICBMも(宇宙ロケット)発射実験も行っていないこともあり、実際どうなのかは分からない」
「そして、次は必ずある。それは避けられない。そして、その実験が以前の取り組みと比較して実質的な改善を示すかどうかを見ることになるだろう」
北朝鮮が近いうちにまた地下核実験を行うかどうかという質問に対し、この当局者は、北朝鮮はすでに6回の核実験を行っており、実用的な核能力を保有するには十分な回数だと述べた。
新たな核実験が実施されるとすれば、地域紛争で使用可能な低出力の戦域核弾頭の研究の一環として実施される可能性が高いとこの当局者は述べた。
最初の6回の核実験は、単純な核分裂爆発から熱核爆発へと、爆発規模が徐々に大きくなっていった。
「おそらく、意図的により小型の兵器に設計を戻すことになる。そうすることで、広域の大規模攻撃ではなく、戦域レベルでの攻撃に使いやすくなり、運用の幅が広がる。これまでは試験を通じて主に大陸間や戦略的な用途の方向に進んできたが、今回はその流れを変えようとしているということだ」
小型の核弾頭の試験を新たに実施すれば、別のタイプの核兵器をどのように設計し、どのような能力を持たせられるかを確かめることが可能になる。
