核融合発電、10年以内の実用化目指す 政府が企業後押し

(2026年2月11日)

作業員(手前)が2023年10月11日(水)、マサチューセッツ州デベンスにあるコモンウェルス・フュージョン・システムズ社で、磁石を用いて核融合を起こす条件を作り出す装置の実物大模型(奥)が設置されたエリアに立っている。同社はトカマクと呼ばれる装置内で核融合の実現を目指している。核融合は新たな炭素フリーエネルギー源となり得る技術で、2つの水素原子を融合させてヘリウム原子と大量のエネルギーを生成する。(AP通信写真/スティーブン・センネ)

By Susan Ferrechio – The Washington Times – Friday, February 6, 2026

 トランプ政権の支援を受けた核融合発電関連企業は、業界関係者が「究極の持続可能エネルギー源」と呼ぶ次世代型発電所の建設を競って進めている。

 世界原子力協会によると、核融合は石炭、石油、ガスに比べ約400万倍、核分裂に比べても4倍のエネルギーを生み出す。

 核融合技術は、実用化できれば、世界のエネルギー需要を容易に満たす手段になるとして、数十年にわたり期待されてきた。

 実用化までの溝を埋める開発は現在急速に進んでおり、推進派は、核融合が送電網に電力を供給できる日はそう遠くないと指摘する。そこには政府の支援と巨額の資金が投入されている。

 現在の原子力発電所は、重い原子を分裂させてエネルギーを取り出す核分裂を用いている。これに対し核融合は軽い原子を結合させてより多くの電力を生み出し、核廃棄物も少ない。

 米国では数十社が、今後10年以内に、送電網に電力供給可能な規模の核融合実現を目指しており、投資家とトランプ政権の後押しを受けている。

 今年初め、クリス・ライト・エネルギー長官は「核融合局」を新設し、2030年代半ばまでに核融合エネルギーの開発と商業化を加速させる包括的な国家戦略を打ち出した。同局は助成金を交付し、民間企業と政府研究者が連携して技術開発を進めている。

 核融合エネルギー開発は超党派の支持を得ている。昨年11月には、議会で核融合局を恒久化する超党派法案が提出された。

 核融合は、供給電力を大幅に増やせる可能性があるだけでなく、二酸化炭素を排出せず、核分裂を用いる原子力発電と異なって、長期間高い放射能を持つ核廃棄物を生まない。

 ライト氏は、国立研究所の研究と、数十億ドル規模の民間投資に支えられた企業活動により、8年から15年以内に世界各地の送電網へ核融合電力が供給されるとの見通しを示した。

 エネルギー省報道官は「ライト長官によると、トランプ大統領が掲げる米国の原子力エネルギー活用の構想を前進させ、数十年にわたって研究が行われてきた商業用核融合電力を送電網に届ける明確な道筋をつけるには、投資と官民連携が不可欠だ」と述べた。

 核融合スタートアップ企業の一つエクシマー・エナジー(本社・コロラド州デンバー)は、強力なレーザーで核融合エネルギーを生み出す実証施設の建設地を米国内で探している。アレクサンダー・バリス最高経営責任者(CEO)はワシントン・タイムズに対し、レーザー方式による商業用核融合発電所を2035年までに完成させることを目指していると語った。

 「核融合は中間業者のいない太陽光発電だ」

 核融合は、2つの原子核が結合して別の原子核を形成する過程であり、太陽や恒星のエネルギー源でもあり、膨大なエネルギーを放出する。

 核融合発電は、太陽を再現するわけではなく、海水から抽出される重水素と、原子炉の炉心で生成される三重水素を融合させる手法を用いる。

 エクシマーによると、レーザーで重水素と三重水素を圧縮・加熱し、消費量を上回るエネルギーを生み出す核融合反応を起こす。

 「核融合の物理はすでに実証されている。課題はレーザーが非常に高価な点だ。焦点は、いかにレーザーを大幅に安くできるかにある。それができれば、すでに証明されている物理をもとに核融合を実現できる」

 レーザーの製造・維持には数千万ドルがかかる。

 サンフランシスコ湾岸地域で核融合発電所を建設中のスタートアップ企業、フォーカスト・エナジーは2024年、世界有数の高出力レーザー2基を約4000万ドルで購入した。

 高温超電導磁石を用いた核融合を計画している企業もある。この方法は、コストは低いが、レーザー技術と異なり、投入したエネルギーを上回るエネルギー(正味のエネルギー増)をまだ生み出せていない。つまり、磁石を使った核融合では、得られるエネルギーよりも、核融合を起こすために必要なエネルギーの方が多いということだ。

 磁場核融合技術も急速に進展している。各社は投資を進め、10年で送電網に電力を供給する計画を打ち出している。

 タイプ・ワン・エナジー(本社・テネシー州ノックスビル)は、高温超電導磁石を用いたモジュール型システムで商業用核融合計画を進める企業の一つだ。

 同社は先月、初期許認可申請を提出した。認可されれば、州初の商業用核融合計画となり、テネシー州環境・保全局、テネシー峡谷開発公社(TVA)と連携する。

 計画では、テネシー州クリントンにあるTVAのブルラン・エネルギー複合施設に、2基の核融合発電所を建設する。追加承認が得られれば、2028年にも着工される見通しだ。

 この発電所は「インフィニティー・ツー」と命名され、核融合出力800メガワット、発電量350メガワットを想定している。

 各企業で商業規模の核融合が実現すれば、他のあらゆる電源をはるかに上回る発電量となる。

 バリス氏は「ピックアップトラックの荷台に積める量の核融合燃料で、コロラド州全体の電力需要を1年間まかなえると考えている」と語った。

 風力・太陽光発電の支持者は核融合発電に否定的で、極めて高コストになり得ると主張する。核廃棄物の処理についても問題視している。核融合でもある程度の量の放射性廃棄物は発生するが、放射線量は低・中レベルであり、従来の原子力発電所の廃棄物に比べ、環境や人体へのリスクははるかに小さい。

 批判派はまた、再生可能エネルギーと異なり、核融合は商業規模での実証がまだないと指摘する。

 環境保護派シンクタンク、ブレークスルー研究所で「原子力エネルギー革新プログラム」を率いるアダム・スタイン氏は、「スタートアップ企業は概念を証明するための実証炉を建設する必要がある。そのための資金調達は容易ではないだろう。初期世代の発電所は高コストで不安定になりがちだが、それはイノベーションの過程の一部にすぎない」と述べた。

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