GM、中国軍需企業とバッテリーで提携 米議会が懸念

ビルに描かれたゼネラルモーターズのロゴ(2024年4月24日、デトロイトにて)。(AP Photo/Paul Sancya, File)
By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, August 12, 2025
ゼネラル・モーターズ(GM)は、中国人民解放軍(PLA)の潜水艦に使用されるバッテリーを供給する中国の軍事企業と提携している――有力下院議員らが明らかにした。
下院中国共産党特別委員会のジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州)は、GMと中国の寧徳時代新能源科技(コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジー・カンパニー・リミテッド、CATL)が提携していると指摘した。
ムーレナー氏は11日、Xに「これは、同社の顧客や従業員だけでなく、経営危機時に同社を支援した米国民にとっても失望すべきことだ。米自動車企業は、わが国最大の敵対国に依存しない安全で強靭なサプライチェーン(供給網)を構築する必要がある」と投稿した。
ムーレナー氏は、CATLが中国潜水艦へのバッテリー供給にどの程度関与しているかについて詳細を明かしていない。
香港を拠点とするサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は2022年11月、中国が通常型潜水艦にリチウムイオンバッテリーを導入する計画だと報じた。この措置は、潜水艦部隊の戦闘能力と生存能力を大幅に強化する可能性がある。
この報道は、PLA海軍の調査報告書に基づいたもので、中国が世界の電気自動車(EV)用バッテリーの75%を製造していると指摘している。リチウムイオンバッテリーは火災のリスクがあるものの、現在60~70隻の通常型潜水艦で使用されている鉛酸バッテリーの代わりとなる見込みだ。
ムーレナー氏は、GMがCATLからEV用バッテリーを輸入するとの報道を受け、同社を批判した。CATLは国防総省の中国軍需企業リストに記載されている。
このリストに記載されることは、その企業を支援しないよう企業に求めることを示唆するものだ。米民間企業と取引することを禁止するものではないが、防衛関連企業はその製品を使用することを禁止される。
軍需企業リストは、商務省のエンティティーリストなど、国家安全保障上の懸念があると判断された個人や企業の事業活動を制限する別のブラックリスト記載にもつながる可能性がある。
GMは声明で、他の米自動車メーカーが数年前から、リン酸鉄リチウムバッテリーの調達とライセンス生産を外国企業に依存してきたと述べた。
GMは「競争力を維持するためGMは、今年後半に生産が予定されている第2世代のシボレーボルトに、同様の企業からこれらのバッテリーを一時的に調達する」としている。
米国は現在、中国との貿易戦争の最中にあり、GMは中国のEV用バッテリーに約80%という高い関税を支払うことになる。
CATLは世界最大のEVバッテリーメーカーで、フォードやテスラもCATLから調達している。
2024年、ムーレナー氏および当時上院議員で、現在は国務長官のマルコ・ルビオ氏は、CATLの軍需関連企業としてのブラックリスト登録を国防総省に要請し、CATLの軍事関連企業としての懸念から、キャンプ・ルジューンの海兵隊基地からCATL製の蓄電池を撤去するよう求めた。
両議員は、「同社は、中国共産党とその軍事部門であるPLAと深い関係にあるEV用バッテリーメーカーだ」と述べている。
また、CATLは高度な技術を用いて中国の軍事力を強化する、中国の軍民融合政策の重要な貢献者だと指摘した。
CATLの蓄電バッテリーは、2024年2月からキャンプ・レジューンで撤去が開始されている。この措置は、特別委が当時の国防長官ロイド・オースティン氏に撤去を要求する書簡を送付したことを受けたものだ。
特別委の調査員は、CATLと中国企業、国軒高科が、中国西部でのウイグル人強制労働に関与していることを突き止めている。
CATLは1月のウェブサイトでの声明で、軍事関連事業や活動には一切関与しておらず、指定は誤りだと主張した。
ムーレナー氏は7月、JPモルガン・チェースCEOのジェイミー・ダイモン氏とバンク・オブ・アメリカCEOのブライアン・モイニハン氏に召喚状を送付し、CATLの新規株式公開(IPO)引き受けにどのように関与しているかについての文書と情報を求めた。
召喚状は「中国政府主導の軍民融合政策が明確に標的としている分野であるバッテリー製造で業界をリードするCATLは、米国の投資家と国家安全保障に重大なリスクを及ぼす」と指摘している。
ムーレナー氏は召喚状について、「議会は、米国資本が中国軍に流入しないようにする義務がある。数カ月前に回答を求めたが、彼らは応じなかった。ウォール街は中国軍関連企業の上場を引き受けるべきではない。米国民は透明性を求める権利がある」と訴えている。
特別委は長年、米国企業に中国との分離を呼び掛けてきた。
2023年6月、当時の委員長マイク・ギャラガー氏(共和党、ウィスコンシン州)と有力委員のラジャ・クリシュナムルティ氏(民主党、イリノイ州)は、GMとフォードのCEOに会い、国家安全保障リスクを伴う中国サプライチェーンへの依存度を引き下げるよう促した。
ギャラガー氏は当時、「長い間、私たちは中国共産党(CCP)の貿易協定の明白な違反、知的財産権の盗用、経済的圧力を無視してきた。この圧力によって、米国の労働者は不利な立場に置かれ、私たちは公平な競争環境で競争することができなくなっている」と述べていた。