インド太平洋軍司令官、戦闘にAIを積極活用 中国視野に優位性確保へ

(2025年12月18日)

米インド太平洋軍司令官のサミュエル・パパロ提督が、インドネシア・ジャカルタで2025年8月25日(月)に開催された「スーパー・ガルーダ・シールド2025」開会式で演説を行う。同演習はインドネシアと米国が毎年実施する大規模な共同軍事訓練で、複数国の部隊が参加する。(AP通信/タタン・シュフラナ撮影)

By Bill Gertz – The Washington Times – Saturday, December 6, 2025

 【シミバレー(米カリフォルニア州)】インド太平洋軍司令官は6日、人工知能(AI)によって情報戦、ドローン攻撃、先進兵器の破壊力が強まり、中国などの敵対勢力との将来の戦争で大きな優位性をもたらすと述べた。

 ハワイを拠点とするインド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官(海軍大将)は防衛フォーラムで、AIが戦争の性質をどのように変えているかを詳細に説明した。

 戦争は政治とは違う手段を使うが、政治の延長線上にあることに変わりはない。しかし、先進的な戦争は3つの潮流によって強化されており、その流れの全体を牽引しているのがAIだ。

 パパロ氏は、情報戦、敵の意思決定を標的とする認知戦、サイバー戦は、15世紀半ばの印刷機の出現と同様に、世界を変える上で非常に重要な役割を果たしている。

 第2の新たな軍事的潮流は、ドローンによる攻撃力の増大だ。ウクライナ戦争ではドローンによる攻撃が戦果を挙げている。

 パパロ氏は「レーガン国防フォーラム」のパネル討論で「ドローン戦争が広範囲で行われるようになり、一方の勢力が他勢力の領土を奪い、その土地と住民を支配する攻撃的な戦闘のコストは上昇した。この領域を支配し、優位に立つ者が、戦闘で優位性を獲得する」と語った。

 ドローンは、従来「防衛側1人に対して攻撃側3人」だった攻撃戦闘に必要な武力を飛躍的に増加させる。

 「従来の3対1の攻撃の比率が、20対1、100対1になっているように見え、攻撃のコストが増えた。攻撃意欲を喪失させるものではないが、これを制する者が勝利する」と述べた。

 3つ目の新たな潮流は「浸透攻撃」。この新たな攻撃形態では、ドローン、ステルス兵器、電子戦など、低コストで実行可能な先進兵器が組み合わされる。

 「重大な弱点や痛点に対する精密な貫通攻撃を取り入れた戦略が、政治的結果に影響を与える有効な手段となった」とパパロ氏は述べた。

 AIは、大量の高品質データ、計算能力、特殊アルゴリズムを統合することで、これら3つの軍事的進歩の基盤となるメガトレンドを提供している。

 それによって攻撃ドローン群を使用できるようになり、精密な標的指定と部隊移動に役立つ高度なデータ分析が可能になるとパパロ氏は述べた。

 戦略レベルでは、AIが「意思決定の優位性」をもたらすという。パパロ氏はこれについて「紛争の本質を最も深く理解し、最善の判断を下し、観察、理解、判断、行動、学習、評価を効果的に遂行できるかどうかにかかっている」と指摘した。

 「米インド太平洋軍は、この優位性を最大限活用し、戦場での優位性を確保する」

 パパロ氏は中国を名指しすることはなかったが、専門家、当局者らが登壇したパネルディスカッションのテーマは「抑止計画―中国に対する競争優位のためのAI推進」だった。

 パパロ氏によると、米軍は戦闘行動にAIツールを導入する取り組みを進めている。

 「現状には満足しているが、導入に向けて懸命に取り組んでいる」

 「紛争で勝利する能力には自信があるが、そのためにいくらかの代償を支払うことになる可能性があり、懸念される。先を見据えた分野への投資を継続することで、その代償を最小限に抑えたい」

 エミル・マイケル米国防次官(研究・工学担当)は、積極的な調達改革に加え、AI推進に向けた同様の取り組みを近く発表すると述べた。

 マイケル氏は「われわれは迅速に動いている」と強調した上で、国防総省が小型・大型攻撃ドローンに焦点を当てた「ドローン優位性」構想を開始したことを明らかにした。

 「ウクライナ・ロシア戦争から学んだのは、領土をめぐる紛争の最前線が今やロボット同士の戦いであるということだ」

 マイケル氏は、インド太平洋軍が米軍の戦闘行動へのAI導入を主導していると述べた。

 パパロ氏はまた、先週公表された新たな「国家安全保障戦略」について満足感を示し、本土防衛を米軍の最優先課題と位置付けた。

 「戦略はその点を明確に示した。インド太平洋が優先的な戦域であることを明確にした。インド太平洋軍の管轄区域であり、米国の安全保障、自由、繁栄に対する重大な脅威がそこにあることを明確にしている」

 戦略は、西太平洋の島嶼線に沿って中国に対峙することの重要性を強調しており、パパロ氏はこれを「拒否防衛戦略」と呼んだ。

 また戦略は、脅威の抑止に積極的に取り組むことも求めているとパパロ氏は述べた。

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