中国共産党 巧妙な覇権工作-前大統領副補佐官が警告
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, March 1, 2023
トランプ前米政権で大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務めたマット・ポッティンジャー氏は、新設された米下院中国特別委員会で証言し、中国共産党(CCP)は、自国の覇権主義を巧妙なプロパガンダで覆い隠していると警戒を呼び掛けた。
ポッティンジャー氏は2月28日、同委の初めての公聴会で、習氏の過去の演説などをまとめた動画を公表。その中で習氏は2021年6月18日のCCPの新党員の宣誓式で、「党の秘密を守り、生涯、共産主義のために戦う」ことを誓わせている。また、13年1月の党中央委員会でのスピーチでは、「資本主義は必ず滅び、社会主義は必ず勝利する」と述べている。
18年のカール・マルクス生誕200周年を記念する式典では、「マルクス主義は本の中だけのものではない」と主張、「人類史を変えるために生まれた」ものであり、「マルクスのような共産主義者の考え方、思想に従うために、生涯を懸けて共産主義のために戦わなければならない」とマルクス主義の推進への意欲を改めて示していた。
マルクス・レーニン主義は、「習近平思想」に関する最新の中国の公式文書でも触れられており、世界の新秩序はCCPによって建設中であり、共産主義は、現在世界を支配しているウェストファリア体制下の国民国家を超越すると訴えている。
またポッティンジャー氏は、中国が民主主義国家との「ゼロサム競争」、新冷戦を拒否するという中国の主張に疑問を呈している。
動画は、中国の国営テレビが、共産主義型の近代化によって、国家の近代化のためには欧米型の民主主義、価値観を取り入れなければならないという「神話を打ち破る」必要があると訴える一場面を取り上げている。
習氏は18年に国防大学で、中国の共産主義思想、社会制度は「根本的に西側とは相いれない」「つまり、西側との戦い、競合で互いに一致することはなく、必然的に長く、複雑で、時には非常に険しいものになる」と、民主主義国との戦いは不可避との見方を明確にしている。
動画はまた、CCPの「偉大な中国復活への戦略的支援」とした文書を引用。文書は、国益を守るための戦争は平和的進展とは矛盾せず、「これこそがマルクスの戦争観」と戦争を正当化している。
動画はさらに、21年に西側に対して習氏が放った露骨な警告について触れている。習氏は、外国軍が中国を「脅し、抑圧し、屈服させよう」とすれば、「14億人の中国人民の血と肉でつくられた鋼の長城に頭をぶつけ血を流すことになる」と西側を牽制(けんせい)していた。
ポッティンジャー氏は証言で、動画の一部は初めて公開されたものもあると指摘、「習氏の発言に驚いた人は多くいるはずだ。中国の最高指導者は真の意図を隠すことに長(た)けているからだ。外に向かって錯覚を起こさせることに長け、背後ではさまざまな方法で話し、計画し、行動している」と中国の国外向けの隠蔽(いんぺい)工作に警告を発した。
その上で、真の目的を隠し、普通の国であり、脅威ではないと見せ掛けるCCPの活動は「近代の巨大な隠蔽」であり、中国の宣伝機関は「マジック兵器」だと指摘、警鐘を鳴らした。