中国、認知戦に音響兵器 超低周波で敵の思考に影響も-米報告書
By Bill Gertz – The Washington Times – Wednesday, October 16, 2024
最新の報告によると、中国軍は、新たな認知戦を行うために、音響兵器を含むハイテク兵器の開発を進めている。これは、音響によって敵の思考や意思決定を変えることを狙ったものだ。
元情報・軍事専門家からなるシンクタンク「中国共産党生物脅威イニシアチブ」の報告書によると、人民解放軍(PLA)は、目に見える傷害を残すことなく、人間の神経機能を混乱させることによって敵軍を無力化できる音響兵器などの非致死性兵器を製造している。
「認知戦争の進化―ニューロストライクの能力と超低周波音兵器の戦略的役割」と題され、このシンクタンクが中国の「ニューロストライク」兵器を取り上げた研究を発表するのはこれで3回目だという。
この報告書は、「(人間の可聴域以下の)超低周波音兵器と認知(機能に影響を及ぼす)兵器は、現代戦争の進化の中で重要な飛躍であり、探知や防御が困難な方法で精神と身体を標的にするように設計された新しい能力が取り入れられている」と指摘、「中国共産党とPLAなどの軍隊がこれらの技術を軍備に取り入れ続けている中、米国とその同盟国は警戒を怠らず、積極的に対抗策を開発しなければならない」と訴えている。
現代の戦争は、音によって脳や身体の機能を混乱させることができるこれらの兵器によって、物理的な戦闘を越えて急速に進化している。中国軍の文献を調査したところ、2種類の高度な音響技術を開発していることが明らかになった。脳の活動に影響を与える
「ニューロタイプ」と、さまざまな周波数によって内臓にダメージを与える「オルガノタイプ」がある。
「人間の耳では検知できない周波数を使ったこれらの兵器は、神経学的、生理学的な混乱を引き起こす能力を持っており、目に見える身体的被害を与えることなく敵対勢力を無力化するために(中国にとって)不可欠なツールとなっている」
この兵器には、物理的痕跡を最小限に抑え、非対称戦争を行う上で戦略的な利点がある。
報告によると、中国軍は、音響兵器の正確な照準を可能にするフェーズドアレイ技術を使用している。この技術によって、巻き添えによる二次被害を最小限に抑えながら、最大の効率で稼働させることができるようになる。
中国の音響兵器は、他の非キネティック(物理的な破壊を伴わない)な手段とも併用され、それには、心理的操作で人間の意思決定や認識を形成するソーシャルメディア上のデータ駆動型アルゴリズムなどがある。
しかし、中国軍のニューロストライク兵器は、個人を直接標的にするためのもので、他の手段に依存することはない。
「ニューロストライクは、高度な非致死性指向性エネルギー兵器と超低周波音兵器を用いて、物理的にも認知的にも個人を無力化する」と報告書は述べている。
音響兵器は脳内の周波数や内臓を混乱させ、認知機能障害、見当識障害、身体的損傷をもたらす。中国軍の音響兵器に関する研究報告は、認知機能で検出される周波数を使って脳のアルファ波を混乱させることができることを明らかにしている。
2024年のある報告書を書いた2人の中国軍研究者によれば、この兵器は精神的混乱、感情的苦痛、意識喪失を引き起こす可能性があり、戦争に不可欠な認知能力を直接損なう可能性があるという。
臓器に影響を与えるように設計された音響兵器は、3~17ヘルツの周波数を用いて人体組織に影響を与え、吐き気やめまいから極端な場合には臓器損傷に至るまで、さまざまな身体的影響を引き起こす。
報告書には、軍のダイバーに対する水中作戦で使用される中国の高出力低周波発生装置の写真が掲載されている。
「超低周波発生装置は、電源や制御システムとともに、恒久的な損傷を与えることなく人員を無力化するように設計された非致死性兵器の基幹を形成する。一方、低周波フェーズドアレイシステムで達成されたような、低周波を集束・増幅する能力の著しい進歩によって、現代戦でのこれらの兵器の範囲と効果は拡大した」
報告書は米政府に対し、超低周波音と認知戦争技術がもたらす脅威の増大に対処するための措置を講じるよう求めており、軍は超低周波音を探知、遮断、無力化できる対音波兵器技術に投資すべきだと主張している。
この兵器に対抗するために米国は、同盟国やパートナー国と協力を開始すべきであり、音響兵器やその他の認知戦争の手段も国際軍備管理交渉に含めるべきだ。
この報告書は、軍事と諜報の経験を持つ専門家、L.J.イーズ、ライアン・クラーク、シャウ・ショーン・リン氏によって書かれた。