米新型砕氷船の建造計画に大幅な遅れ 北極圏で安全保障上のリスクに

(2024年12月20日)

2016年12月12日月曜日、ハワイ州パールハーバーのドック脇で休息する米沿岸警備隊カッター「ポーラースター」。(AP Photo/Audrey McAvoy)

By Mike Glenn – The Washington Times – Wednesday, December 18, 2024

 気候変動により、かつては航行不能だった北極圏で海上交通が開かれ、経済発展が見込まれることから、米当局は2018年、沿岸警備隊の貧弱な砕氷船団を再編成するため、「ポーラー・セキュリティー・カッター(PSC)」計画を提案した。

 議員らは18日、このPSC計画の砕氷船第1号の運用は、早くても2030年となることを明らかにした。一方のロシアはすでに、この地域にはるかに大規模な船団を配備している。

 下院国土安全保障委員会運輸・海事小委員会のカルロス・ギメネス委員長(共和党、フロリダ州)は、「2018年に発表されたにもかかわらず、運用可能な極地警備船の整備は全く進んでいない」と語った。

 超党派の議会予算局(CBO)の試算によると、最初の極地警備船の建造費は2024年時点で19億ドル。その後に建造される船は、1隻平均約16億ドルである。現在進められている3隻のPSC計画では、沿岸警備隊の現在の見積もりよりも約60%コストがかかるとCBOは述べた。

 「この計画が進んでいないことは、ますます厳しくなる状況下で任務を遂行する沿岸警備隊にとって大きな損失だ」とギメネス氏は述べた。

 ロシアは7隻の原子力船を含む40隻以上の砕氷船を保有している。中国は極地国家でないにもかかわらず4隻を保有し、来年には5隻目が完成する予定だ。一方、沿岸警備隊が運用する極地用砕氷船は、50年の歴史を持つUSCGCポーラースターと1999年に就役したUSCGCヒーリーの2隻だけだ。

 沿岸警備隊は今年、民間で使用される砕氷船アルビックを購入し、最初の極地警備用砕氷船の準備が整うまでのつなぎとした。しかし、沿岸警備隊の船に生まれ変わるための最終仕上げが完了するのは2026年だ。

 同小委の民主党トップ、シュリ・タネダー下院議員(ミシガン州)は、沿岸警備隊が保有する2隻の極地用砕氷船の耐用年数を大幅に延長するために行った取り組みに拍手を送った。

 その一方でタネダー氏は「それでも、これらの船は老朽化しており、沿岸警備隊の長期的なニーズを満たすには不十分だ」と述べた。

 2019年、沿岸警備隊はVTホルター・マリン社に、新型の大型極地砕氷船クラスの最初の建造を発注した。その2年後、沿岸警備隊は同クラスの2隻目を建造するオプション契約を交わした。2022年、同社はボリンジャー造船所に買収され、ボリンジャー・ミシシッピ造船と改名された。

 最初のPSCは「ポーラーセンチネル」と命名される予定で、「2024年後半」には運用を開始するはずだったと関係者は語った。

 タネダー氏は「すでに2024年後半だが、沿岸警備隊は建造を始めたばかりだ」と語った。

 議員らは、この遅れは船の設計の複雑さを過小評価した結果であり、新型コロナの感染拡大とサプライチェーン(供給網)の影響もあると述べた。

 「これらの要因には、沿岸警備隊がコントロールできるものとそうでないものがある。今後重要なのは、沿岸警備隊が過去から学び、PSC計画の合理的なスケジュールとコストの見積もりを立て、それを守ることだ」

 当局者らは18日、運輸・海事小委で、沿岸警備隊が任務を避けているわけではないと語った。沿岸警備隊のトーマス・アレン・ジュニア副司令官(任務支援担当)は、「極地砕氷船隊の増強に失敗すれば、米国は高緯度地域における権益を失う危険がある」と述べた。

 「困難はあるが、PSC計画のために障害を克服しようと懸命に努力してきた。私は、PSCが、北極と南極でのわが国の権益を確保するために必要な3隻の新型大型極地用砕氷船のうち、最初の1隻を米国に納入するための最も迅速で費用対効果の高い方法であることに変わりはないと確信している」

 アレン氏は、季節的な南極での活動とともに、北極での通年の活動のためには、最終的に8隻から9隻の砕氷船(大型と中型の両方を含む)が必要となると議員らを前に語った。

 しかしギメネス氏は、中国などのライバルに比べ、米国が新型砕氷船を建造するのに時間がかかっていることに不満を感じていると述べた。

 「中国が砕氷船を2年半で建造するのに、米国が5年かかり、さらに設計に6年かかるというのはどういうことだ。北極圏のような重要な地域で運用するのに11年もかかるのか。これは受け入れがたいことであり、特にこのことが米国にもたらす安全保障上のリスクは大きい」

 極地砕氷船団のための予算は沿岸警備隊にとって負担になっており、沿岸警備隊は2025会計年度に138億ドルの予算を議会に要求したものの、アレン氏は、これでは不十分だと訴えた。

 「国のニーズに応えるためには、200億ドルの組織になる必要がある。私たちは、インフラが崩壊しつつあるのを目の当たりにしている。もはや維持することができないため、艦船を退役させている。ヘリコプターを誰よりも長く維持しようとしている」

 「私は、沿岸警備隊の隊員らに任務を遂行するために必要な設備を十分に提供できていないと思っている」

米海軍作戦部長のダリル・コードル提督は、2025年11月17日、東京訪問中に選ばれた記者団と会見した。(AP通信/マリ・ヤマグチ撮影)

海軍作戦部長、中東への戦力移動は中国抑止に影響

(2026年08月30日)
米議員や保護者団体は26日のSNS大手メタ(旧フェイスブック)との画期的な和解を歓迎する一方、子供をインターネット上の被害から守るため、議会はなお連邦基準を制定する必要があると訴えた。

メタ、子供のSNS依存対策で和解、最大171億ドル 州が提訴

(2026年08月29日)
8月18日に撮影されたこのヴァントール衛星画像は、ヤゴン礁を捉えたもので、アナリストらは、約9マイル離れたアンテロープ礁における人民解放軍の軍事作戦を支援する可能性のある、中国の早期警戒レーダーの開発を示していると指摘している。(画像提供:衛星画像 ©2026 Vantor)

中国、西沙諸島に新たな軍事基地 米が強く非難

(2026年08月28日)
陸軍が重要な任務にロボットや自律システムを活用する際に、どのような考え方が適切でしょうか?(写真提供:TSViPhoto、Shutterstock経由)

国防総省の「AIファースト」に障壁 専門家が警告

(2026年08月26日)
NASAが提供した映像からのこの画像は、2026年4月6日(月)、アルテミスIIミッションの宇宙飛行士たちが人類史上地球から最も遠い距離に到達した後、オリオン宇宙船の外部カメラから撮影された月の様子を捉えたものです。(NASA提供、AP通信経由)

トランプ氏、宇宙開発で新指針 年間1000機打ち上げ目指す

(2026年08月25日)
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)は、2026年8月13日(木)、千島列島最大の島である択禄島のクリリスクにある、ロシア英雄エドゥアルド・ノルポロフ記念中学校を訪問した。(ガヴリール・グリゴロフ、スプートニク、クレムリン・プール写真、AP通信経由)

ロシア、北方領土近くでミサイル試射 日本の対中防衛重視に影響も

(2026年08月24日)
2019年10月2日に低速シャッタースピードで撮影され、米空軍が提供したこの画像は、カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地で行われた非武装のミニットマン3大陸間弾道ミサイルの発射実験の様子を示している。スウェーデンのシンクタンクは2024年6月17日(月)、世界の核保有国9カ国は核兵器の近代化を続け、2023年には核抑止力への依存度をさらに高めるだろうと述べた。(JTアームストロング軍曹/米空軍提供、AP通信経由)

国防総省、中露の脅威受け核指針を見直し 抑止力を強化へ

(2026年08月22日)
2026年1月30日(金)、東京南部の海上自衛隊横須賀地区本部で、小泉進次郎防衛大臣が韓国の安徽博防衛大臣と会談後、報道陣の取材に応じた。(AP通信/ユージン・ホシコ撮影、資料写真)

太平洋諸国が連携強化 小泉防衛相が豪訪問、米は警戒

(2026年08月19日)
2019年7月15日、ワシントンD.C.のホワイトハウス南庭で行われた「メイド・イン・アメリカ」展示会で、高高度防衛ミサイル防衛システム(THAAD)が展示された。(AP通信/アレックス・ブランドン撮影)

米陸軍司令官「技術革新は戦闘の一部」 ウクライナとイランから教訓

(2026年08月18日)
2025年8月22日(金)、テキサス州オースティンの州議会議事堂で、トランスジェンダーのトイレ使用を禁止する法案に反対する抗議者たちが女性用トイレを占拠した。(AP通信/エリック・ゲイ撮影)

民主党、トランスジェンダー政策の復活へ新戦略

(2026年08月17日)
→その他のニュース