EU、バイデン氏歓迎の一方で難しい課題も
By Guy Taylor – The Washington Times – Wednesday, February 17, 2021
バイデン大統領の就任によって、欧州との関係は大幅に改善することが期待されているが、トランプ政権時に米欧間の対立につながった課題が消えるわけではない。
欧州各国の多くは、バイデン氏とブリンケン国務長官を歓迎。ブリンケン氏は幼少期を仏パリで過ごしている。しかし、アナリストらは、米国と欧州連合(EU)が、エネルギー政策、防衛費の分担などの問題で一致できるかどうかは分からないと指摘している。
ドイツとロシアが敷設を進める石油パイプライン「ノルドストリーム2」、EUと中国が交わしたばかりの投資協定、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の防衛費負担をめぐる問題は、両者が抱える課題の一部でしかない。バイデン氏は19日、ミュンヘン安全保障会議で欧州の同盟国に対する初めての演説を行う。
元外交官で、現在はワシントンのジョンズ・ホプキンス大米現代ドイツ研究所(AICGS)所長のジェフリー・ラスキ氏は、「米欧間の不一致がなくなったわけではない」と指摘した。
複数の国で右派、民族主義政党がトランプ大統領を支持したが、欧州大陸のほとんどの国の支配層は、トランプ氏の型破りな手法、時折見せた相手を挑発するような発言、EU、NATOの価値観に対する懐疑的な見方に強く反発していた。
ラスキ氏は、大西洋を挟んだ両者の関係を複雑にしている課題が「実際に存在する」一方で、「(対立が)トランプ政権によってさらに悪化したケースもある。欧州の同盟国に対して意味もなく敵対的だったり、時には不当な敵対的姿勢を取ったりしたと私は思っている」と指摘した。
バイデン氏は同盟国への関与を転換することを明らかにしており、19日のミュンヘン会議だけでなく、世界でもっとも豊かで民主的な国家、先進7カ国(G7)の首脳とのオンライン会議でその新方針が試される。
バイデン政権高官らによると、バイデン氏は世界的な新型コロナウイルスへの対応と経済を主要テーマとする計画だが、中国への対応でG7が連携を強めることの必要性も強調する。
ドイツのイッシンガー元国務次官は、非常に難しい課題だが、バイデン氏にとって機は熟しているとの見方を示した。
イッシンガー氏は17日、ワシントンのウィルソン・センターが実施したオンライン会合で「米欧が、中国、ロシアなどの問題で一致できなくするような大きな障害があるとは思っていない」と述べた。
一方でイッシンガー氏は、「話ができる人、信頼できる人がワシントンにいる必要がある。この4年間、そのような人がいなかった」と指摘した。