中国の台頭が米ロ首脳会談に影響

(2021年6月25日)

In this March 10, 2011, file photo, then-Vice President Joe Biden, left, shakes hands with Russian Prime Minister Vladimir Putin in Moscow, Russia. (RIA Novostia/Alexei Druzhinin/Pool via AP)

By Guy Taylor – The Washington Times – Monday, June 14, 2021

 バイデン大統領のプーチン・ロシア大統領とのいちかばちかの首脳会談では主に、ロシアが関与したサイバー攻撃、選挙干渉、人権侵害、さらには世界中の安定を損ね、民主主義を弱体化させることを狙ったロシア政府の外交政策が話し合われるとみられている。

 しかし、これらの話題以外に、両国が懸念を強めていることがある。中国の核大国としての台頭だ。中国は、かつては重要視され、今では時代遅れと考えられている米ロの核兵器削減の枠組みの制約を受けていない。

 バイデン、プーチン両氏が、スイスでの一日の首脳会談で、中国への対応で一致する可能性は低い。中国の新型兵器の開発、戦力を投射する能力を封じ込めることで協力する方法を見つけ出すこともないだろう。

 ところが、一部のアナリストらは、両氏がジュネーブで、核戦争を回避するために作られた時代遅れの冷戦時の合意の修正を話し合う必要性で合意するのではないかとみている。

 元外交官で、米平和研究所のロシア・戦略的安定計画の責任者、ドナルド・ジェンセン氏は、「この首脳会談で何か実のある合意が交わされるとすれば、この問題について両者で話し合うことだ」と述べた。

 ジェンセン氏はインタビューで、「変化する国際環境の中での戦略的安定について話し合うことで合意する可能性はある。この変化する環境の中で第1の課題は、300発以上の核弾頭を保有する新たな大国中国の台頭だ」と述べた。

 その一方でジェンセン氏は、問題は中国の台頭だけではないと指摘した。

 「第2は、ロシアは戦略核戦力を近代化するかどうかを議論しており、いずれ米国もこの問題を議論するようになるとみられていることだ。第3は、既存の条約でカバーされない新しい兵器システムの開発。つまり、宇宙、サイバー関連の兵器や超高速兵器などの開発だ」

 シンクタンク、軍備管理協会は14日、「米ロ両国による、新しい技術の開発、実用化によって」この数十年間の両国の戦略的関係が近年、いかに複雑化してきたかに関する分析を公表した。

 この分析で協会は「何度も兵器の削減、不拡散をめぐる合意を破ってきたロシアが、新たな核兵器運搬システムの開発を進めている。このようなひどいことは、冷戦時にも起きたことがあった。ロシアは、過去数十年間で初めて、保有する核弾頭を増やしている可能性もある。冷戦時の2大核保有国の間で緊張が高まり、核開発競争が強まる中、核のリスク軽減と削減をめぐる話し合いは後回しにされてきた」と指摘している。

 その現実が垣間見えたのが、2月の新戦略兵器削減条約(新START)の5年間延長の合意だ。バイデン、プーチン両氏は、兵器、脅威をめぐり変化する環境に対処するための交渉は行っていない。延長は、核大国としての中国の台頭を無視しており、将来の交渉でロシアの影響力を強める可能性があるという非難も出ている。

 両氏は、核以外のさまざまな問題についても話し合うとみられ、その中でも重要なのは、米企業、政府機関に対するランサムウエア攻撃などサイバー攻撃の増加だ。米情報機関は、ロシア政府が密かに、攻撃を支援しているとみている。

予測不可能

 バイデン政権は、ロシア政府との関係で予測可能性を高めることを望み、ロシアによるウクライナへの圧力、反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏と支持者らへの攻撃、ベラルーシのアレクサンデル・ルカシェンコ大統領への支援を阻止しようとしている。

 アントニー・ブリンケン国務長官は13日、CNNに出演し、「バイデン氏はプーチン大統領に、米国は安定した、予測可能な関係を求めていることをはっきりと伝える。それができれば、利害が一致する部分ができ、協力する方法が見つかるかもしれない。しかし、ロシアが無謀で、攻撃的な活動を続ければ、力で対応する。大統領はすでに、選挙干渉、ソーラーウィンズのソフトを悪用した攻撃、化学兵器によるナワリヌイ氏殺害未遂についてこれを実行した」と述べた。

 兵器削減について米政権は、中国問題を後回しにして、新STARTなどの戦略的安定に関する交渉の計画に関してどの程度合意できるかをめぐって懸念を抱いている。

 トランプ前政権は、戦略兵器条約を大幅に改正して、ロシアの新しい兵器をカバーするよう求めた。さらに、軍備を急速に増強している中国を条約に参加させるよう主張したが、失敗、退任時にも条約の行方は決まっていなかった。

 トランプ政権は、中距離核戦力(INF)全廃条約にロシアが違反していること、中国がINFに参加していないことにも懸念を表明した。プーチン氏は、この条約は時代にそぐわないと考え、2019年に失効させた。

 レーガン大統領とソ連の指導者、ミハイル・ゴルバチョフ氏が1987年に交わしたINF全廃条約は、米ロに射程500~5500㌔のミサイルと発射システムの製造、配備を禁止した。条約は時代にそぐわず、国防情報局(DIA)のロバート・アシュレー局長はハドソン研究所での講演で、中国とロシアは、米国と、さらには互いに核とミサイルで新たな競争に直面している。

 ロシアは特に、何十年もの核削減の取り組みを放棄し、増強を進めており、アシュレー氏は「大幅に増やしたようだ」と指摘した。

 中国を核武装のライバルとみているインドの専門家らは、従来型の核兵器を使った先進兵器に特に注目している。それは、核弾頭を搭載可能な新型潜水艦発射弾道ミサイルとみられる。

 デリーのオブザーバー・リサーチ・ファウンデーションが発表した4月の調査によると、中国は、4隻の晋級弾道ミサイル原子力潜水艦を配備しており、12発の潜水艦発射弾道ミサイル「巨浪2」を搭載できる。巨浪2は、「(4500㌔まで)到達でき、南シナ海を海上の発射基地とすれば、インド、ロシア、グアム、ハワイ、アラスカを攻撃できるが、米大陸には届かない」。

中国が抱える課題

 情報機関筋がワシントン・タイムズに明らかにしたところによると、米国の国家安全保障機関内で、米政府はロシアと中国間にくさびを打ち込み、中国を説得して将来の兵器削減交渉に参加させる計画にロシア政府を引き込むべきかどうかをめぐって議論が行われていることを明らかにした。

 ジェンセン氏は、そのような交渉に出口はない」とみていると語った。中国の台頭という文脈の中でのロシアの戦略的利害にかかわる地政学的変数があまりに多いからだ。

 ワシントン研究所のロシア専門上級研究員、アンナ・ボルシェフスカヤ氏は、米国が中国に対抗するための取り組みにロシア政府を引き込むという考え方には悲観的だ。ボルシェフスカヤ氏は、プーチン・バイデン会談に先だって行ったインタビューで、「ロシアが、中国への対抗で米国を助けることは考えられない」と述べた。

 「これが、欧米で主流となっている見方だと思う。客観的に見れば、たしかに、ロシアにとっての本当の懸念は中国のはずだ。しかし、交渉が有利だろうが、適切だろうが、ロシアが中国への対抗に手を貸すことを期待するのは無意味だと思う」

 さらにボルシェフスカヤ氏は、プーチン氏との「予測可能な関係」を築き、「ロシアとの外交を棚上げにし、中国を優先させる」というバイデン政権の主張に懸念を表明した。

 「そううまくいくとは思えない。ロシアは予測可能な関係を望んでいないからだ」

 駐中国ロシア大使、アンドレイ・デニソフ氏は最近、中国共産党と強いつながりがある環球時報とのインタビューで、米ロ中の戦略的協力関係について驚くべき発言をした。

 デニソフ氏は、米国がロシアとの緊張緩和を進め、中国に専念するかとの質問に、はっきりと「近視眼的すぎる」と答えた。

 「そうはならない。ロシアは米国が思っているより賢いと思う」

 デニソフ氏は、大国の核問題についての米ロ間の合意の見込みはあるとの見方を示し、中ロ間の連携が強まっていることについても触れた。

 中国と米国との間で武力衝突が発生した場合にロシアはどのような立場を取るかとの質問にデニソフ氏は、「この問題には応えられない。中国と米国との間の武力衝突は起きないと考えているからだ。ロシアと米国の間で武力衝突が起きないのと同じだ。そのような衝突が起きれば、全人類が消滅するからだ。したがって、どちらかに付くことも無意味だ」と述べた。

 「しかし、国際状況や主要問題に関する評価についてなら、ロシアの立場はたしかに、中国の立場にずっと近い」

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