トランプ政権の規制緩和を覆すバイデン大統領

(2021年3月5日)

AP Photo/Evan Vucci

By David Sherfinski – The Washington Times – Thursday, February 25, 2021

 トランプ政権が推進した規制緩和で、企業は約1600億㌦節約できたことが分析から明らかになったが、バイデン氏は就任1日目に、規制緩和推進を停止、規制強化に意欲的に取り組んでいる。

 バイデン氏は、前大統領から決別しようとしている。薬価、シャワーヘッドの水の量など、トランプ政権時の規制緩和を停止し、そのほかの分野でも壮大な計画があることを示唆している。

 自由市場を支持するシンクタンク「競争的企業研究所(CEI)」の政策担当副所長で上級研究員のクライド・ウェイン・クルーズ氏は「バイデン氏は、トランプ氏が始めたものをほとんど廃止した。トランプ氏は意欲的に進めていた。だから、大きな信頼を置いている。ここまでする政権は他にはないと思う」と述べた。

 中道右派のシンクタンク「アメリカン・アクション・フォーラム」の報告によると、トランプ氏の「規制予算」に関する取り組みで、2017年~2021年の間に実質1550億㌦~1650億㌦の経費が削減された。

 フォーラムの規制政策担当部長で、この報告を作成したダン・ボッシュ氏は、「規制予算は非常に重要だ。経済に影響を及ぼし、民間部門のほぼ全体が影響を受ける」と述べた。

 トランプ氏は大統領令で、新たな規制に関して「一つ増えれば、二つ減らす」ことを要求、新たな規制によって発生する費用に上限を設けた。

 バイデン氏は就任1日目にこの大統領令を廃止。新型コロナウイルス、経済、人種間の公平、気候変動など主要問題に取り組むには、規制を柔軟に使う必要があると主張した。

 アメリカン・アクション・フォーラムの報告は他に、トランプ政権時の規制に要する費用の増加が、年間平均100億㌦だったのに対し、オバマ政権の8年間は年平均1110億㌦増だったことを明らかにしている。

 トランプ政権の行政管理予算局(OMB)は、規制費用の削減は2017年~2020年に2000億㌦近くに上り、2020年だけでも1440億㌦だったとしている。

 トランプ政権は、規制の追加と廃止の割合は1対2ではなく、1対5.5だったと主張している。

 ボッシュ氏は、トランプ氏の命令の実施の内容は複雑で、移民のような費用がかさむ分野に対しては見て見ぬふりをしていたと指摘した。

 「一つ増えれば、二つ減らすというのは、全体的な取り組み方としてはシンプルで分かりやすいが、実際に行うとなると非常に複雑で、つまるところ、それほど効果があることでも、意味のあることでもない。リンゴを数えるのとはわけが違う。規制の開始に対していちいち規制の廃止を付帯させる必要はない」

 しかし、現代でトランプ政権のような方法で規制に取り組んだ政権をほかに見つけ出すことは難しいとボッシュ氏は述べた。

 「現代の政権を振り返ってみて、レーガンまで遡っても、経費の削減を数値化できるという点で、これほどまで規制緩和を推進した政権はないと確信している」

 実際の削減額は、1600億㌦であれ2000億㌦であれ、21兆㌦を超える国家経済、4兆㌦を超える連邦政府予算と比較すればそれほど大きくはない。

 しかし、民間部門は、トランプ氏の規制緩和を歓迎した。トランプ氏は、企業は連邦政府の面倒な手続きの削減はどんなものでも歓迎すると述べていた。

 政権が変わる際によくあることだが、バイデン氏も、トランプ政権が仕上げた規制を一時的に凍結したり、見直したりした。バイデン氏は他に、気候変動に取り組む上での目標と矛盾する可能性のある命令、規制の見直しを連邦政府機関に指示した。

 それを受けてエネルギー省は、シャワーヘッド、洗濯機、食器洗い機の水量を増やす可能性のあるトランプ政権時の規則の見直しを進めている。

 水量の少ないシャワー、トイレ、食洗器は、トランプ大統領が在職時に頻繁に標的にしていた。

 トランプ氏は2019年12月に「以前の食洗器はこんなだった。ボタンを押すと、ボンと爆発のような音がして、5分後、開くと蒸気が出てきた。今の食洗器は、女性に聞いた話だが、12回ボタンを押すと、水が4敵出てくる」と話していた。

 バイデン氏の規制の凍結によって、地域の保健センターが、割引価格の薬によって節約できた分を低所得の患者に還元させる規則の実施が遅れるということも起きている。

 全米地域保健センター協会はトランプ政権の規則に反対した。協会は、この規則は必要なく、すでに保健センターはそのような基準を満たすよう規則によって求められていたと指摘した。

 バイデン氏は、トランプ氏の「一つ導入、二つ廃止」「規制予算」を廃止する命令に署名する際、「すぐに手に入るもの」を使って、国が直面している緊急の課題に取り組むのがトランプ氏の政策だったと指摘した。

 バイデン氏は「このような課題に効果的に取り組むために政府機関は、柔軟性を備え、国家の優先事項に対処するために堅固な規制措置を取らなければならない。この命令によって、連邦政府がこれらの問題に取り組むのを難しくする危険性がある有害な政策、指示を廃止し、これらの目標達成のために規制を適切に利用できるようにする」と述べた。

 権利擁護団体は、連邦政府の規制権限をもっと広範囲に生かすことを全面的に支持すると表明している。

 環境保護団体は、連邦政府の管理地を新たなエネルギー開発のために貸し出すことを停止し、連邦政府での電気自動車の導入を促進するなどのバイデン氏の大統領令を称賛した。

 環境保護団体「エバーグリーン・アクション」のジャマル・ラード事務局長は、「バイデン氏の全面的な気候変動への取り組みが、これら大統領令で幸先のいいスタートを切った。今度はすべての政府機関と議会が、責務を果たす時だ」と主張した。

 一方、CEIのクルーズ氏は、そのような対応は近視眼的だと指摘する。

 「進歩派は、規制にはコストが伴うと考えていないようだ。進歩派はいつも、純便益という。つまり、制限はなく、速度調整器もブレーキもないということだ」

 ボッシュ氏は、バイデン氏が規制によって政策目標を達成したいと主張し、恩恵を数値化することが困難な政策を優先していることを見れば、今後どうしたいのかが分かってくると述べた。

 「気候変動への影響、人種間の格差、不平等への対応などに関することだ。バイデン氏が、政策を実行するための主要な手段として規制を利用するつもりなのがよく分かった」

 アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)の常勤研究員アダム・ホワイト氏は、民主党が政界を支配しているにもかかわらず、このような行政措置によって、主要課題に取り組む議会の意欲が削がれてしまう可能性があると指摘した。

 「最初の100日はこれまでは立法措置の期間だったが、今はほぼ、大統領令が主導する期間になっている」

 ホワイト氏は、大統領が意欲的に行動することが、議会を委縮させ、政治的にリスクのある表決を先送りさせるように働くことはありうると述べた。

 「大統領の行政措置によって、新型コロナ感染拡大を受けた経済対策以外の立法措置のほとんどが締め出されている。例えば、気候変動政策に関してEPA(環境保護局)の野心的な政策がある時に、わずか2年後の予備選で自身を不利にしたり、対抗馬を立てられたりするかもしれないようなことをする民主党議員がいるだろうか」

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