共和党下院、バイデン政権の気候変動政策への対案を示す
By Haris Alic – The Washington Times – Monday, March 15, 2021
米共和党議員らは、原子力発電を拡大し、エネルギーの輸送と新技術への投資を容易にする独自の環境改革を提案することにより、バイデン大統領の気候変動政策に対抗した。
下院エネルギー・商業委員会の共和党議員らは15日、民主党が推進するグリーン・ニューディールなどの「実行不可能な『絵に描いた餅』への現実的な対案」となる一連の法案を発表した。
このため、共和党の提案は、温室効果ガス排出量の削減とエネルギー関連の雇用維持や米国の「世界的な競争力」の維持とのバランスを取ることを目指している。
「このエネルギーと気候問題の解決策は、インフラを近代化し、米国が排出量の削減で世界をリードし続けることを保証する。同時に、勤勉な米国人の電気やエネルギーコストを低く抑える」とワシントン州選出で同委員会のキャシー・ロジャース議員は述べた。
「よりクリーンな米国のエネルギーの確保」と名付けられた同政策は、以下のことを目的としている。
・全国に建設される新たな原子力発電所の規制を合理化する。共和党は、指針を近代化させることで、電力部門の化石燃料への依存を抑制し、エネルギーの多様化に役立つと主張している。
・国内や国境を越えた石油とガスのパイプラインを構築することをより困難にする規制と法律を撤廃する。取り組みの一環として、この提案は、天然ガスの輸出入も容易にする。
・カナダと米国間のキーストンXLパイプラインの建設を承認する。
・シェール岩層から天然ガスを抽出するためのフラッキング(水圧破砕法)の禁止を阻止する。この計画には、メタンガス(多くの場合、石油や天然ガス生産の副産物)が大気中に放出されるのを防ぐための規定もある。
・危機の際に、外国に依存しないようにするため、エネルギー省に原子力発電で使用されるウランなどの重要な鉱物と原料の備蓄を開発することを義務付けている。
・新しい水力発電プロジェクトなどの水力技術に投資する。
・炭素回収プロジェクトや技術に連邦予算を投じる。炭素回収は、温室効果ガスが大気中に放出される前に回収され、再利用または地下に貯蔵される技術で、共和党は、これに関するさらなる研究が化石燃料産業に革命を起こすことを望んでいる。
ロジャース議員ら共和党議員は、気候変動に対する独自の「実行可能な解決策」の提案により、このテーマに「超党派的な方法」があることを示すことができることを望んでいる。
こうした希望にもかかわらず、共和党の提案が民主党によって採用される可能性は低い。問題は政策だけでなく、野心にある。
バイデン氏とナンシー・ペロシ下院議員が率いる民主党議員は、気候変動による脅威に対応するために要求されるのは、米経済の全面的な見直しにほかならないと述べている。
その基準を使用して、民主党員はすでに1000ページ近くに及ぶ独自の環境法案に取り組んでいる。これはクリーン・フューチャー法案として知られ、米国を2050年までに温室効果ガスの正味ゼロ排出量に到達させる道筋を定める。これは、バイデン氏が再加入したパリ協定によって設定された目標だ。
法案の中で、米国が2035年までに100%「クリーン」(無炭素)の電力を達成しなければならないと定めている。移行を加速するため、すべての電力小売り会社は2030年までに少なくとも80%のクリーンエネルギーに到達しなければならず、電気事業者は、何らかの形の太陽光発電を顧客に提供しなければならない。
おそらく民主党と共和党がこのテーマにおける政策がどれ程かい離を示してるが、皮肉なことにクリーン・フューチャー法案には、炭素排出量を削減するための2つの実証済みの方策が含まれていない。
最も注目すべきは、同法案は石油と天然ガスのパイプラインを締め付けを図る一方、原子力については言及していないことだ。
パイプラインを介した原油や天然ガスの輸送は、鉄道やトラックで移動するよりも化石燃料を大量に消費しない。環境保護論者はその現実を無視し、代わりにパイプラインの漏出の脅威がより差し迫っていると主張した。
同様に、原子力は、炭素を含まない唯一の安定したエネルギー源の1つであるにもかかわらず、民主党の政策には含まれていない。原子力エネルギー研究所によると、米国で生産されるすべての無炭素電力の55%以上が原子力によるものだ。
しかし、バイデン政権と議会の民主党員は、メルトダウンの可能性についての国民の不安のため、原子力発電を使用することを望んでいないようだ。