バイデン政権、富裕層と企業に税の「公正な負担」を検討
By David Sherfinski – The Washington Times – Monday, March 15, 2021
バイデン大統領の1兆9000億㌦の新型コロナウイルス経済対策をスタートさせたホワイトハウスは、次の大型支出、インフラ整備と気候変動の予算を捻出するための増税を検討している。
ホワイトハウスは15日、増税が協議されるのは間違いなく、バイデン氏は富裕層と企業の負担増を考えていることを明らかにした。
サキ大統領報道官は、「大統領の優先事項、焦点は常に、人々が公正な負担を負うことに向いており、公正な負担を負っていない可能性のある企業にも注目している。そのため、全体的にはこのような取り組みになるが、まだ、どこが負担するのかについての話し合いはない」と述べた。
民主党は増税を急いでおり、1兆9000億㌦の経済対策「米救済計画」を強引に成立させたのと同様の方法で、上下両院を自党だけの賛成で通過させようとしている可能性がある。
バイデン氏は選挙戦で、年収40万㌦以下の人々には増税しないことを約束した。その考えは今も変わらないが、ホワイトハウスは議会民主党からの具体的な提案を公式には承認していない。
バイデン氏は、法人税を21%から28%に引き上げ、最高所得税率を37%から39.6%に引き上げ、年収100万㌦以上の人々へのキャピタルゲイン税の引き上げを公約にしている。
ピート・ブティジェッジ運輸長官は、インフラ整備は急務だと主張している。
メリーランド州の宅配大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)を15日に訪れたブティジェッジ氏は「法案の優先順位は大統領が主導して決めることだが、協議はかなり活発に行われている」と述べた。
ジャネット・イエレン財務長官は、バイデン氏は、財政赤字を抑制するため増税せざるを得なくなるかもしれないと指摘した。財政赤字は、この1年間に議会が承認した新型コロナ関連予算約6兆㌦によって膨らんでいる。
イエレン氏はABCニュースの「ディス・ウィーク」で、「(大統領は)企業と富裕層はもっと負担し、経済の要請に応え、必要とされている支出を満たすべきだと主張している」と述べた。
イエレン氏は、「グローバル最低税率」などの提案をめぐって経済協力開発機構(OECD)と協力している。これは、企業が業務を外部委託するのをやめさせることを狙ったもので、バイデン氏の予算計画実施への歳入を生み出す可能性がある。
バイデン氏は2020年の選挙戦中に、世界での法人税「引き下げ競争」を阻止するため、国外の米企業が得た利益すべてに21%の最低税率を課す考えを示した。
ホワイトハウスは、インフラ整備は超党派で進められる可能性があると楽観的な見方を示したが、民主党が、歳出を補填するために2017年の減税の一部を撤廃しようとすれば、共和党の支持を得るのは難しい。
減税によって、法人税は35%から21%に引き下げられ、個人への税率も全体的に下げられた。
共和党のスーザン・コリンズ上院議員(メーン州)は、上院共和党がバイデン氏の案にどのように反応するかとの質問に笑って答えた。
「歓迎されるとは思えない」。コリンズ氏は、コロナ経済対策に関してバイデン氏と合意を交わそうとしていた共和党上院議員らの筆頭だった。
共和党のジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州)は、今回は「短時間で進める」のは控え、通常の手順を取るよう民主党に求めていると述べた。また、提示されている案には一部、同意できないことを明らかにした。
「炭素税、これは受け入れられない。ミズーリ州の消費者に甚大な被害をもたらすからだ」とホーリー氏は述べた。
民主党のジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州)は50対50議席の上院で大きな影響力を持つ。マンチン氏は、審議を急ぐのは避け、共和党の支持を得られるインフラ整備法案を作成すべきだと述べた。
ホワイトハウスは、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)が提案した「富裕税」を支持しないことを明らかにしたが、サキ氏は、バイデン氏が富裕層への増税を望んでいると述べた。
「バイデン氏は、ウォーレン上院議員とは違う案を提示している。しかし、民主党が常にそうであるように、時が来れば、この問題にいかに対処するかについてそれぞれの考えを、党内で話し合い、バイデン氏も皆と話し合うようになる」
ウォーレン氏は、純資産が5000万㌦を超える世帯に年間で2%を課税し、10億㌦を超える場合はさらに1%を上乗せする法案を提出している。
マーク・ワーナー上院議員(バージニア州)ら民主党議員は、この増税案をどのように実施するのかについて疑問を呈している。
ウォーレン氏は、内国歳入庁(IRS)の徴税力を強化するために約1000億㌦を留保しておくことも提案している。
民主党は長年、拡大の一途の連邦財政赤字を削減する手段として「タックスギャップ」を小さくすることを検討してきた。タックスギャップとは、徴収すべき税金と、徴収した税金の差額を指す。
財務省の課税監察官は報告の中で、IRSは税を滞納している高額所得者に焦点を絞れば、いい結果が出せる可能性があると指摘している。
この監察官は、2013年~2017年の間に20万㌦以上の所得を申告した納税者68万5555人が、全体で2019年5月時点で385億㌦の税金を滞納していたことを指摘している。
IRSはこれについて、高額所得者からの徴収を優先するが、どこから徴収するかは収入以外の要素をもとに決定することを明らかにした。
マンハッタン研究所の上級研究員ブライアン・リードゥル氏は、民主党が二つの方法でインフラ整備計画を推進するのではないかとの見方を示した。早期予算審議か通常の審議かだが、60票を獲得し、議事妨害を回避するには少なくとも10人の共和党上院議員からの賛成が必要になる可能性がある。
リードゥル氏は、「インフラのような問題は、医療保険もそうであるように、それほど提出に時間的な制約はない。唯一、時間の制約があるのは失業給付の拡大で、9月に行き詰まる可能性があるかどうか、そのために予算を執行することになるかどうかだ」と述べた。
ブルームバーグ・ニュースによると、ホワイトハウスは、有限責任会社などの「パススルー」企業への課税、相続時の遺産税の範囲の拡大も検討している。
2017年の税法によって、パススルー企業は新たに控除が得られ、遺産税の免除は1100万㌦以上へと事実上、倍加された。
上院共和党は今月、増税計画を支持しないことを示唆、遺産税を直ちに廃止する法案を提出したばかりだ。
上院共和党のジョン・スーン院内幹事(サウスダコタ州)は「サウスダコタ州にある家族経営の農場や牧場は、この課税の負担には耐えられない。後の世代につないでいくのが難しくなることもありうる」と述べた。