下劣なグラミー賞を視聴者は望んでいないことは数字が示す

(2021年3月24日)

In this video grab provided by CBS and the Recording Academy, Cardi B performs “WAP” at the 63rd annual Grammy Awards at the Los Angeles Convention Center on Sunday, March 14, 2021. (CBS/Recording Academy via AP)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Monday, March 15, 2021

 グラミー賞の歴史の中で最も性的に露骨な番組でさえ、視聴者を引き付けることはできなかった。

 CBSエンターテインメントによると、13日にCBSで放映された第63回年次表彰式は、時間帯調整された視聴者が880万人で低い水準だった。これは、昨年に番組を視聴した1870万人から53%の減少だ。

 昨年のブラック・ライヴズ・マター運動への賛辞に加え、「バイデン大統領、私たちはただ正義、公平、政策を求める」と宣言したウーマンズ・マーチの元リーダー、タミカ・マロリー氏によるスピーチを特集した政治的にウォーク(社会的平等や正義を求める運動)なショーにもかかわらず、もしくはそれゆえに、視聴者数は急落した。

 ラッパーのカーディ・Bがポールダンスを行い、メーガン・ジー・スタリオンに加わり曲の合間に巨大なベッドで性的表現が露骨な自身のヒット曲「WAP」を披露した時、番組はPG(7歳以上向け)からNC―17(18歳以上向け)にすばやく移行した。主要メディアによる番組内容としては、言語を絶するものだった。

 「厳格な編集基準に準拠しなければならないニュースサービスとして、WAPが何を意味するかを伝えることはできない。メーガン・ジー・スタリオンとカーディ・Bがパフォーマンス中に何をラップで語ったり、表現したのかも伝えられない」とBBCは報じた。

 「彼らのXレート(成人向け)のヒット曲の生放送デビューとなるパフォーマンスは、巨大なベッド上で行われ、彼らは疲れているようには見えなかったとだけ言っておく」とBCCは伝えた。

 言い換えれば、このパフォーマンスは、マドンナとブリトニー・スピアーズが曲中でキスした2003年のMTVビデオ・ミュージック・アワードの最も記憶に残るパフォーマンスをはるかに上回るものだった。だが、同じ騒動のようなものを引き起こすことはできなかった。

 一部の視聴者は確かに驚いた。「すごい!これをネットワークTVで放映するとは」とCNNのシニアエディターであるブランドン・グリッグス氏はツイートした。

 グラミー賞はツイッターに、手拍子や眼球、火の絵文字とともに「なんというパフォーマンだ」と投稿した。また、ビルボード誌は「本当にワイルドなパフォーマンス」と呼んだ。

 この番組に注意を向けた保守派は、エンターテインメント業界のキャンセル文化に結び付けてコメントした。

 ターニングポイントUSAの創設者であるチャーリー・カーク氏は、児童文学作家、故ドクター・スースの作品をめぐって「人種差別的で間違った」表現があったとして著作のうち6冊を絶版にしたドクター・スース・エンタープライズの判断と絡めて批判。「左翼は、カーディ・Bがグラミー賞で行った嫌なパフォーマンスは問題にしない一方、ドクター・スースは子供たちにとって危険すぎると言うのか?」とツイートした。

 デイリーワイヤーの編集者であるイアン・ハワース氏は、「子供たちは『ダンボ』よりもカーディ・Bがしていることを見る可能性が高くなっている」とツイートした。この1941年のアニメ映画は、人種的な固定観念を理由に、最近、動画配信サービス「ディズニー+」の子供向けメニューから除外された。

 しかし、「音楽の最大の夜」での性的に挑発的なパフォーマンスが、幅広い反発を生み出すまで至らなかった場合、その理由は他のほとんどの米国人のように保守派が見ていなかったためである可能性がある。

 CBSは、番組が主要な年齢層である18~49歳の間で2・1の評価を獲得し、「2020年2月9日のアカデミー賞以来のアワードショーで最大の視聴者と最高の主要な年齢層」を引き付けたと報告した。

 それは低い基準かもしれない。かつては必見のテレビだったエンターテインメント業界のアワード番組は、視聴者がケーブルコードを切断して別の番組を探したり、ハリウッドが資金を失ったりするにつれて、評価が低下した。

 2週間前、第78回ゴールデングローブ賞の視聴者数は13年ぶりの低水準で、視聴者数は690万人で、1840万人が視聴した2020年から63%減少した。

 保守系の映画評価サイト「ハリウッド・イン・トト」の編集者であるクリスチャン・トト氏は、ほとんどの視聴者は「今日のアワードショーは非常に政治的であり、娯楽に重点が置かれることはめったにないことを知っている」と述べた。

 トト氏は「中部地域とこれらのショーで支持されている価値観の間には間違いなく大きな隔たりがある」と電子メールで述べ、「有名人の文化も衰退していると思う。つまり、平均的な人は彼らの言うことをあまり気にかけていない。彼らの怒り、しばしば憎しみや情報不足が露呈されてきたからだ」と指摘した。

 今年のグラミー賞の政治性に不足はなかった。ラッパーのリル・ベイビー氏は、白人の警官が武装せず逃走する黒人男性を撃ち、抗議者が火炎瓶で建物を燃やしたという振り付けで自身の曲「ザ・ビッグ・ピクチャー」を演奏した。

 「バイデン大統領、われわれは正義、公平、政策そして自由が包含する他のすべてを要求する。そしてこれを達成するために味方を必要としない。共犯者が必要だ」とマロリー氏はパフォーマンス中に語った。

 同氏は、反ユダヤ主義者との告発を否定した後、2019年にリンダ・サルスール、ボブ・ブランド両氏とともに、ウーマンズ・マーチの共同議長を辞任した。

 グラミー賞は2012年の時点では好調で、この「アデルと彼女のアルバム『21』と『ローリング・イン・ザ・ディープ』の年」に、4千万人近くが視聴したと映画ニュースサイト「ショー・ビズ411」のロジャー・フリードマン氏は述べた。

 「昨年から1千万人の視聴者を失ったことは素晴らしいことではないが、それは新たな常識だ」とフリードマン氏は述べ、「オスカー賞は用心するべきだ」と警告した。

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