2兆ドルのインフラ整備を単独で進める民主党

(2021年3月25日)

Rep. Peter DeFazio, D-Ore., speaks during a House Transportation Committee hearing on Capitol Hill in Washington, Wednesday, May 15, 2019, on the status of the Boeing 737 MAX aircraft. (AP Photo/Susan Walsh)

By Haris Alic – The Washington Times – Tuesday, March 16, 2021

 議会民主党は、インフラ整備で、幹線道路、橋を建設するだけでなく、グリーン・ニュー・ディール型の輸送、エネルギー、経済全体の変革を進めようとしている。

 下院輸送・インフラ委員会のピーター・デファジオ委員長(民主、オレゴン州)は、「グリーン(環境に優しく)になり、ビッグになる」と述べた。

 最終的なプランが議会を通過するのは秋以降になるが、予算額は2兆㌦を超える見通し。そのほとんどは、道路、橋、公共交通機関の更新に充てられる。

 だが、このインフラ整備計画で最も野心的な取り組みは、気候変動対策になりそうだ。

 デファジオ氏は、グリーン・ニュー・ディールによる米経済の環境面での大改革に意欲的に取り組んできた。インフラ整備法案を作成した輸送・インフラ委員会で、2050年までに二酸化炭素排出ゼロを目指す意向のようだ。この目標は、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で定められたもので、バイデン大統領も支持している。

 これには共和党が強く反発しているが、民主党は、特別な規則を利用して、超党派の賛成を得ることなく上院で法案を通過させようとしている。

 民主党によると、排出ゼロを達成する最良の方法は、コンクリート添加剤を使い、二酸化炭素を吸収する「環境にやさしい」トンネルなどを建造する権限を得ることだ。

 フロリダ州など被害を受けやすい州の民主党下院議員らは、連邦政府の予算で建造するインフラは対候性を備えなければならないとした規則の適用を求めるものとみられている。テキサス州の送電網が最近、寒気によって大変な被害を受けたことから、この主張は、超党派で支持を受ける可能性がある。

 この計画には、全米に電気自動車の充電スタンドを設置するための少なくとも5000万㌦が盛り込まれる。電気自動車の数を増やすことは、バイデン大統領の2020年選挙綱領の重要部分を占めている。最終法案にも、連邦政府の自動車をガソリン車から電気自動車に切り替え、州と自治体が電気スクールバスに切り替えるための予算が盛り込まれる。

 デファジオ氏は、従来の自動車と航空機に代わる移動手段への予算を加えることも求めている。この代わりとなる移動手段がどのようなものになるかは、明らかになっていない。これまで民主党は、全米鉄道旅客公社(アムトラック)、通勤鉄道網の強化、拡大を求めてきた。

 過去のインフラ整備計画と違い、委員会が作成する法案は、道路の新設への予算は優先しないようだ。環境保護論者らは、化石燃料への依存から脱却することが、毎日の移動に自動車を使用することの重要性を下げることになると主張している。

 道路を新設しないことが、裏目に出ることもあり、特に地方の議員にとってはそのようなことがありうると1人の共和党議員がワシントン・タイムズに語った。

 公共交通機関はほとんどが、主に民主党支持の強い都市部とその郊外で使用されるが、それらを重視しなくても、法案への共和党からの支持を得ることは難しいかもしれない。

 しかし、共和党は、どのインフラを重視すべきかで一致できなくても、バイデン政権とインフラ整備に関して協力することを強く望んでいる。

 共和党議員らは特に、化石燃料からの移行を優先することに反対している。米経済の依存度を考えれば、石油と天然ガスを放棄することは非現実的だと主張している。

 バイデン政権は2兆㌦以上の予算が必要と考えており、どこから充当するかをめぐって意見の対立もある。

 バイデン氏が、予算を確保するために連邦給与税の引き上げに賛成するのは、1993年以降では初めてだ。

 デファジオ氏は以前、インフラ整備のために1ガロン当たり18.4セントのガソリン税を引き上げることに反対していた。ガソリン税も1993年以降、引き上げられていない。

 共和党は、どちらにも反対している。給与税の引き上げは、新型コロナ感染拡大後の経済の回復の足を引っ張り、ガソリン税の引き上げは、働く人々を直撃するという理由からだ。

 インフラ整備をめぐる戦いは、勢力が拮抗する上院で勝敗が決することになりそうだ。民主党は、ハリス副大統領の1票で上院での多数派を維持している。

 インフラ整備を進めるには、記事妨害を回避するために少なくとも共和党から10票が必要となるが、気候変動対策重視の法案ではほぼ不可能だ。

 財政調整措置という方法で議会を通過させるという手段がある。これによって、1年に1度の予算案を51票の単純過半数で上院を通過させることが可能になる。

 これは、1兆9000億ドルの新型コロナ経済対策を共和党からの賛成票なしで通過させる際に使われた。

 インフラ法案はまだ、議会に提出されていないが、民主党は自党だけで推進することを表明している。

 上院予算委員会のバーナード・サンダース委員長(バーモント州)は、これ以外に方法はないと述べている。

 民主社会主義者のサンダース氏は、「共和党が、気候変動、インフラ整備のための重要法案に賛成する用意があるなら、素晴らしいことだ。今のところ、そうはならないように思っている」と述べた。

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