バイデン氏の「人殺し」発言でトルコがロシアを支持
By Ben Wolfgang – The Washington Times – Friday, March 19, 2021
トルコのエルドアン大統領は19日、米国と激しく対立するロシアへの支持を明らかにし、ロシアのプーチン大統領は人殺しと主張したバイデン大統領は、世界の指導者として「ふさわしくない」と訴えた。
エルドアン氏の発言は、バイデン氏が今週、ABCニュースでしたとっさの発言で、すでに対立が激化していた米ロ関係がいっそう悪化する可能性を示唆している。
スプートニク・トルコなど地域のニュースメディアによると、エルドアン氏は、「バイデン氏のプーチン氏に関する発言は、大統領にふさわしくない。プーチン氏は、非常に賢明で、的確な返答をし、すべきことをした」と述べた。
エルドアン氏が米国を非難することで、ともに北大西洋条約機構(NATO)の同盟国である両国の緊迫し、複雑な関係に新たに注目が集まっている。米国は2019年、トルコを戦闘機F35開発計画から外した。トルコ政府がロシア製のミサイル防衛システムS400を導入したからだ。
国防当局者らは、この二つのシステムは互換性がなく、一緒に使用すればF35の安全が損なわれる可能性があると指摘した。
隣国シリアでのトルコの活動も米国の戦略に影を落としている。2019年10月、当時のトランプ大統領は、エルドアン氏がテロ対策を口実にトルコ軍のシリア侵攻を命じたことを受けて、トルコ・シリア国境から米兵を撤収させた。トルコは、過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いで米軍が協力したシリア民主軍(SDF)の一部をテロ組織とみなしている。
エルドアン氏が、バイデン氏の発言は世界のリーダーにふさわしくないと指摘したのには、そのような背景があった。
バイデン氏は、ABCのジョージ・ステファノプロス氏とのインタビューで「殺人者」という言葉を使ったわけではない。しかし、ロシアが反政府活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏に毒を盛ったことについて話す中で、ステファノプロス氏は、プーチン氏は「人殺し」だと思うかと質問した。
バイデン氏は「そのとおり」と答えた。
これに対してプーチン氏は、第2次世界大戦での米国の日本への原爆投下、奴隷制の歴史、先住民への迫害を引き合いに出した。その上でプーチン氏は、公開の場での会談をバイデン氏に申し込んだ。
「前回はバイデン氏の申し出で電話会談をした。今度は私がバイデン大統領に提案し、話の続きのしたい」とプーチン氏は述べた。
プーチン氏は、今後、数日内に「公開の直接会談」ができれば、両国国民は「興味を持ってくれる」と述べた。
ロシアはさらに、ワシントンの駐米大使を召還した。両国関係が急速に悪化していることを明確に示している。
しかしホワイトハウスは、バイデン氏の発言を擁護している。
サキ大統領報道官は18日、「バイデン大統領は以前から、プーチン氏を知っている。2人とも長い間世界の舞台に立ち、両国間で起きた課題を何度も乗り越えてきた。これからもそれは変わらない」と述べた。