米ハイテク企業、新ロビー団体「進歩会議所」を設立
By Ryan Lovelace – The Washington Times – Monday, March 29, 2021
窮地に立つ米国のハイテク業界は、ワシントンの政策決定者たちの攻撃を阻止するために、「進歩会議所」という新たな圧力団体を設立した。
ベテラン民主党補佐官で、元グーグルのアダム・コバセビッチ氏が立ち上げたリベラル派の連合利益組織だ。
この団体は「進歩的なハイテクの将来を導く」ことを目標に掲げている。
だが、この連合組織は、ワシントンでロビー活動を急速に拡大させるハイテク業界の新たな装いにすぎない。政界の左派、右派の反大手ハイテク勢力からは、こうした見方が出ている。
「ハイテク産業の政治的ハネムーンは終わった。ハイテク企業が社会に対して公正な運営をすることを誰もが望んでいる」と、コバセビッチ氏は声明で主張した。「テクノロジーのマイナス面を抑えながら、人々が大好きな側面を育てる理にかなった規制には賛成する」
進歩会議所には、アマゾンやフェイスブック、グーグル、ツイッター、ウーバーなど複数の名だたるハイテク企業が名を連ねている。「中道左派」を自称するこの連合組織は、テクノロジー規制で決定的役割を果たすことを目指しているが、これらのハイテク企業は理事会には加わらず、団体の方針についても決定権限は持たないという。
ハイテク企業に批判的なリベラル派からは、進歩会議所は進歩派ではないとの見方が出ている。大手ハイテク企業の分割を支持する「米国経済自由プロジェクト」は、同会議所について、議員をだますことを狙った大手ハイテク企業のフロント組織だと主張する。
「彼らは長年、自分たちの意図を隠すために社会正義に関する用語を取り込んできた。会議所はその新たな事例だ」。同プロジェクトのサラ・ミラー事務局長は語った。
大手ハイテク企業に批判的な保守派も、この組織には懐疑的だ。
「独占的で他者をいじめておきながら『進歩派』の顔をするのは全くおかしい」。保守派団体「インターネット責任プロジェクト」の創設者であるマイク・デービス氏は述べた。「米国の大手ハイテク企業の運営形態を変えたいと主張する民主党議員は、この反進歩的な大手ハイテク企業のフロント組織と面会したり、影響を受けるべきではない」
通常であれば、大手ハイテク企業がワシントンで何かをしようとする時、隠す必要はない。だが、あらゆる政治家との良好な関係は、2020年大統領選前に変わってしまった。共和党議員は、大手ハイテク企業が過剰な検閲を始め、あまりに巨大な権力を独占してしまったと主張する。リベラル派議員からは、ハイテク業界は適切な検閲をしておらず、政府はこれらの企業の業務をもっと規制すべきだとの意見が出ている。
議員や規制当局者の間では今、大手ハイテク企業をどう取り締まるべきかの議論が起きている。バイデン政権が独占禁止法違反訴訟を起こす、あるいは議会の立法措置でハイテク企業から法的責任免除を剥奪する、といったものだ。これに対し、大手ハイテク企業は議員や選挙政治に影響を及ぼそうと多額の資金を注ぎ込んでいる。
リベラル派の消費者権利擁護団体「パブリック・シチズン」の分析によると、大手ハイテク企業は2020年に、ロビー活動や選挙運動への献金で1億2400万㌦を投じた。
パブリック・シチズンの報告書では、アマゾン、アップル、フェイスブック、グーグルの大手4社が、ロビー活動では大手石油、たばこ企業を抜いてワシントンの支配的勢力になった。