NATO外相会議 ロシアのパイプラインで米独、依然対立
By David R. Sands – The Washington Times – Wednesday, March 24, 2021
バイデン大統領の就任を受けて、米・欧州連合(EU)関係が改善し、首脳会議でも楽観的な空気が漂う中、ロシアの天然ガスをドイツに直接供給するパイプライン「ノルドストリーム2」が依然として両者の間の障害となっている。
ブリンケン国務長官は24日にブリュッセルで行われた2日間の北大西洋条約機構(NATO)外相会議の終盤で記者団に、米政府は、ドイツ政府が、ロシアのエネルギー大手ガスプロムとの110億㌦のパイプライン建設計画を進めれば、制裁を科すという方針に変わりはないと述べた。
米政府高官らは、パイプラインは、ドイツと欧州のエネルギー市場にロシアが影響力を持つことになり危険であるとともに、ロシアの石油とガスを西側に輸送するウクライナのような国の主要同盟国としての重要性が損なわれると主張、東欧諸国の多くもこれに同調している。
ブリンケン氏は、「バイデン大統領はずっと前から、ノルドストリーム2はよくないと考えてきた」と指摘、ブリュッセル滞在中にドイツのマース外相に、「パイプライン建設にかかわった企業に制裁を科す」ことをはっきりと伝えたことを明らかにした。
また、米独は同盟国であり、さまざまな問題で協力できると述べる一方で、ノルドストリーム2は「欧州を分断し、ウクライナと中欧がロシアに操作され、脅迫されるようになり、欧州が明確にしている安全保障の目的に反する」と主張した。
ドイツのメルケル首相は、米国の反対を受けながらも計画を推進してきたが、最近、ロシアがパイプラインを政治的に利用しようとすれば、パイプラインを閉鎖する「強制停止スイッチ」を盛り込む案を提示した。ブリンケン氏は、24日の発言でこの案に触れていない。