バイデン政権のEV普及促進は中国に恩恵

(2021年4月19日)

President Biden wants 500,000 charging stations installed across the country to fuel electric cars that are “made in America,” but the lack of domestically produced rare earth minerals required for such an endeavor would make the U.S. heavily reliant on China. (Associated Press)

By Haris Alic – The Washington Times – Sunday, April 11, 2021

 バイデン大統領は、電気自動車(EV)の普及を促進させようとしているが、これは中国にとって恩恵となり、米国の共産中国への依存を高めることになる。

 中国は、最新の充電池生産、充電池の生産に欠かせない希少鉱物の採掘で世界をリードしている。

 ホワイトハウスは、議会民主党と協力してインフラ整備法案に「米国製」EV予算1740億㌦を盛り込もうとしている。そのうちの少なくとも400億㌦は、全国の充電スタンド設置に充てられる。

 バイデン氏は最近、「この国のための計画を提案する。…経済を成長させ、世界での競争力を強め、国家安全保障を強化し、中国との世界での競争に勝てるようにするための計画だ」と述べた。

 しかし、専門家らは、EV普及促進は、共産主義の大国にとって警告というよりも、利益になるとみている。

 エネルギー研究所の上級研究員ダン・キッシュ氏は、「現在、中国はEV用充電池の生産で世界一だ。(ガソリン車から)EVへのシフトを可能にするには、米国の自動車メーカーは大量の資源と技術を輸入する必要があるが、それらは中国が支配している」と述べた。

 中国は2019年、世界のリチウムイオン充電池の72%を生産した。米国は9%だった。エネルギー省によると、EVに最もよく使用されているのはリチウムイオン電池だ。

 中国で生産が多いのは、長期的な投資と計画の結果だ。

 中国は、2030年までに少なくとも107のリチウムイオン電池巨大工場を建設する計画だ。すでに、少なくとも53工場が稼働している。一方米国は、九つの巨大工場を建設する計画で、そのうち稼働中は3工場だけだ。

 このまま進めば、米国で製造されるEVの大部分は、その主要部分を中国からの輸入に依存することになる。

 キッシュ氏は、ポール・ライアン前下院議長のエネルギー・環境政策顧問を務めたことがあり、ワシントン・タイムズに、「バイデン氏のEVへの取り組みは拙速だ。まだ(中国の資源に頼らずに)EVを製造し、維持するために必要な能力は備わっていない」と述べた。

 さらに問題なのは、中国がEVの電池に必要な希土類(レアアース)と化学物質の大部分を製造していることだ。

 「USAレアアース」のCEOピニ・アルサウス氏は、「新たなEV用充電池製造を支えられるだけのリチウムは米国では生産できない。現在は、中国のサプライチェーン(供給網)がなければ、EV1台も作れない。世界中がそのような状態だ」と述べた。

 アルサウス氏の会社は、EVなどグリーンエネルギー計画に欠かせない鉱物の国内供給を強化することに取り組んでいる。光は見えているが、依然と、苦戦しているという。

 英ロンドンの「ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス」の2019年の報告によると、中国は、新型電池に使われる材料の80%を製造している。リチウムは、コバルト、ニッケル、グラファイトともにEV製造に欠かせない。

 中国は、希土類の世界市場の80%~90%を支配しているとみられている。米国は、希土類鉱物と合成物の約80%を中国から輸入している。

 中国は2018年、世界で販売されたEVの60%を製造、この部門で圧倒的シェアを誇っている。

 EV市場で中国が優勢な理由の一つは、米国が、自国の資源をフル活用していないことだ。

 バイデン政権がEVの普及に成功すれば、米国の中国依存はさらに高まる危険性がある。

 キッシュ氏は「ガソリン車に関しては少なくとも、精製されてガソリンになる原油をどこから入手するかを選択できる。中東やカナダ、メキシコ湾岸でも入手できる。EVの場合、そのような柔軟性はない」と述べた。

 トランプ政権は、この問題に対処しようとした。就任後の最初の年に、中国以外から重要鉱物の十分な供給を確保する戦略を確立するよう求める大統領令を出した。

 トランプ氏は、新型コロナウイルスの世界的流行で米国のサプライチェーンが脆弱であることが明らかになると、その取り組みをさらに強化した。2020年半ばに、希土類の中国依存は国家の緊急事態とする大統領令を出した。

 トランプ政権のエネルギー長官だったダン・ブルイエット氏は在職中の寄稿で、「中国のような信用できない貿易相手国に、重要なサプライチェーンを過度に依存することは経済と国家の安全保障にとって脅威となる」と指摘していた。

 バイデン氏は、トランプ政権の方針を受け継いでいる。

 バイデン氏は就任初日に、国内の重要鉱物の備蓄の強化を命じる大統領令を出した。さらに政権は、推進中のインフラ整備法案に、採掘の研究、開発の予算を盛り込むことを提案している。

 ジェニファー・グランホルム・エネルギー長官は最近、「米国は(EV)市場の確保へ、中国のような経済的競合国と競い合っており、リチウム、コバルトなど、重要鉱物のサプライチェーンが、勝敗を決める」と述べた。

 アルサウス氏はワシントン・タイムズに、バイデン政権は「いいスタート」を切ったが、EV用電池と希土類の中国依存を解消するには長い時間と大量の資源が必要だと述べた。

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