ウォークな企業と戦う保守派「政治にかかわるな」

(2021年4月23日)

Sen. Rand Paul, R-Ky., listens during a virtual Senate Committee for Health, Education, Labor, and Pensions hearing, Tuesday, May 12, 2020 on Capitol Hill in Washington. (Toni L. Sandys/The Washington Post via AP, Pool)

By Valerie Richardson – The Washington Times – Thursday, April 15, 2021

 保守派と財界は味方同士だったが、左派の権利擁護団体の影響を受けたウォーク(社会的、政治的問題に敏感)な企業が台頭してきたことで、右派は反発を強め、企業に、社会的・政治的活動に積極的に取り組むアクティビズム(積極行動主義)をやめさせるために意欲的に行動するようになった。

 ジョージア州の新選挙法に企業が反旗を翻したことがさらに拍車をかけ、トランプ前大統領、ランド・ポール上院議員ら有力共和党員らはこれら企業へのボイコットを呼び掛け、保守派がCEOらに文化的、政治的扇動を辞めさせる活動を開始した。

 「ジョブ・クリエーターズ・ネットワーク」のアルフレド・オルティス会長は、「もううんざりだという話が耳に入ってくる。いずれ『何も分かってないくせに。スポーツに政治はいらない。役員室に政治を持ち込むべきでないと思う』と皆が言い始めるのだと思う」と述べた。

 毎年開催される保守政治活動会議(CPAC)を主宰している米保守連合(ACU)は今週、「米企業の突然の左傾化」に反対する運動を発表、CEOとの会合を要求していくことを表明し、ウォークへの傾斜に警告を発した。

 ACUは声明で「経済的な戦いでずっと同胞だった団体と戦うことになるとは思っていなかったが、全力で戦う」と表明した。

 先週、中道右派連合「ストップ・コーポレート・ティラニー(企業の専制を止めろ)」が発足した。「左派の米企業乗っ取りを暴露し、働く米国民に反撃のためにリソースを提供するワンストップショップ」をうたっている。

 全米公共政策研究センターの相談役ジャスティン・ダンホフ氏は「左派が、企業の役員室に侵入し、その力を使って、至るところで国民にその考えを押し付けようとしている。これを食い止める」と述べた。

 「モノ言う投資家」として知られ、スティーブン・ソークアップ氏とともに全米公共政策研究センターを創設したダンホフ氏は、「ポリティカル・フォーラム」の発行人で、「ウォーク資本の独裁:政治的正しさがどのようにして大企業をとらえたか」(エンカウンター・ブックス、2月に刊行)の著書がある。

 この団体は、2つの請願運動を推進している。フェイスブックとツイッターに「政治にかかわらない」よう求めることと、アマゾンに「黒人の命は大切だ」運動への資金提供を止めさせることだ。

 保守派の「キャピタル・リサーチ・センター」のスコット・ウォルター会長は、ストップ・コーポレート・ティラニーを、左派のやり方をまねて、企業に影響を及ぼすための連合を形成するための取り組みと説明、大きな違いは、企業に活動を大幅に控えさせることを目指している点だと述べた。

 「左派は、非常に具体的な目的を持っており、その目的に関係するすべてをチェックしてほしいと思っている。やらなければ、やられる。企業に関して要求すべきことは、政治から手を引け、これだけだ」

 自由市場を支持する保守派は長年、左派活動家らが、企業役員、幹部らを丸め込み、追い掛け回し、数々の政治的主張への支持を求めてきたことを苦々しい思いで見てきた。しかし、ジョージア州の法律に企業が強く反発したことが、右派にとって目覚めるきっかけとなった。

 大リーグがこの法律に抗議するために、オールスターゲームの開催地をアトランタから移しただけでなく、14日には何百人もの企業幹部らが、投票権を制限する「差別的法律」と非難する書簡に署名した。

 大リーグの対応、コカ・コーラ、デルタ航空、シスコ、UPS、シティグループ、バイアコムCBSなどによるジョージア州の法律への抗議を受けて共和党は、ボイコットを呼びかけた。

 ポール氏は6日のFOXニュースでのインタビューで、「あちらがボイコットするというのなら、こちらもすべきだ。分からせるにはこれしかない。コカ・コーラが民主党の州だけで営業し、民主党員だけに飲んでほしいというのなら、国民の半分がコカ・コーラを飲むのをやめるとどうなるのかを目の当たりにすることになる」と述べた。

 トランプ氏は3日にボイコットを支持する声明を出し、「共和党と保守派が反撃するときがようやく来た。…やめると言うまで製品を手にしない。こちらの方が優勢だ」と訴えた。

 誰もがこれに同調しているわけではない。進歩派は、2016年のトランスジェンダー「トイレ法案」をめぐるノースカロライナ州でのキャンペーンなど、全国的なボイコットを成功させており、ウォルター氏は、ボイコットに関して右派は「ひどい失敗を繰り返してきた」と述べた。

 「保守派のボイコットで成功したものがあれば、一つでも、二つでも教えてほしい。成功したという話はほとんど聞かない。私は怒っている。戦うべき時だが、長い戦いになる。戦うための新しい、いい方法を見つけ出す必要がある。手っ取り早くボイコットすれば、気分はいいかもしれないが、成功しない」

 問題の一つは、ウォークな企業が非常に多く、政治的に中立的な方法を見つけ出すことが難しいことだ。

 ウォルター氏は「コークに怒っているなら、ペプシにすればいいのか。どちらも、何十年も前からかなりの左だ」と述べた。

 企業が左翼的な政治的主張を好むのは、経済学者ミルトン・フリードマン氏の1970年の「企業の社会的責任は、利益を増やすことだ」というドクトリンから離れていったことからきている。

 ソークアップ氏は、1970年代末のSRI(社会的責任投資)運動の動向を追跡している。SRIは、南アフリカへのダイベストメント(投資引き揚げ)、活動的な株主、組織が10年ほど前から取ってきた敵対的なESG(環境、社会、ガバナンスに積極的に取り組む企業への投資)などで知られる。

 ソークアップ氏は、「今いるのは、企業を変えようとしてきたこれらの活動家だ。(SRIとESGの)違いはそこにある」と指摘、「SRIの目的は、良心の呵責を和らげること、ESGの目的は、活動家らが適切と思う方法で企業に行動させることだ」と述べた。

 ところが今、ESGを推進しているのは活動家らだけではない。「三大」アセットマネジャーのブラック・ロック、バンガード、ステート・ストリートが、ESGを強化している。3社が管理する資産額は20兆㌦に達する。

 ブラック・ロックのCEO、ラリー・フィンク氏は書簡で、企業は投資判断で持続可能性と気候変動を優先すべきだとCEOらに訴え、歴史を変えた。ブラック・ロックは9兆㌦の資産を管理している。

 ソークアップ氏は、キャピタル・リサーチ・センターとのインタビューで、「この非常に強い力を持ち、巨額の資産を持つ企業が背後にいて、日々の業務だけでなく、二酸化炭素排出ゼロ経済への移行に取り組むよう積極的に企業に働きかけている。大変な変化だ」と述べた。

 ウォークな投資に反対する側にとっては、非常に不利な状況にある。ソークアップ氏は、「苦しい戦いであることを認めるのは、私が初めてになる。数で負けているうえに、圧倒的に不利だ」と述べた。

 ソークアップ氏は、最終的に市場は、そのような「資源の不適切な配分」を自動的に修正することになるとみている。

 「投資家と消費者が、何が起きているのかを知り、どのような状況なのか、どうしてそのようになっているのかに気づき、市場が自動的に修正する前に押し戻してほしいと思っている。市場が自動修正すると、多くの人が傷つくことになるからだ。しかし、最終的には、市場が自動修正するものと考えている」

 ACUは、残念なことだが、民主党左派の経済策に従うと、大部分ではないにしても、多くの企業が倒産するようになると指摘している。

 ACUは、「左派を公に支援し、資金提供しながら経営を行っている」企業の幹部に、「民主党の左翼の経済政策を本格的に取り入れると倒産する」と訴えることを明らかにしている。

 「私たちがしようとしているのは、これらの企業のCEO、幹部が本来の業務に戻るよう促すことだ」

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