ショビン裁判を人種差別批判に利用する米民主党
By Valerie Richardson – The Washington Times – Wednesday, April 21, 2021
デレク・ショビン被告の法廷ドラマに、人種差別の観点は明らかになかった。
だが、評決が出た後、野心的な警察改革法案を通そうとする民主党の取り組みはそうではない。
バイデン大統領と民主党議員たちは、20日に有罪評決が出るとすぐさま、ジョージ・フロイドさんの死を「システム化された人種差別」に結び付ける試みを開始した。「ジョージ・フロイド正義警察法案」を成立させる全面的な取り組みの一環で、訴追の物語を書き換えているのだ。
バイデン氏はフロイドさんの死を、「白昼の殺人であり、全世界が目隠し無しでシステム化された人種差別を目撃した。これは米国の魂の汚点」であり、「黒人の正義に対し膝を首に乗せる行為だ」と呼んだ。
「陪審員が有罪評決を下したにすぎない。ジョージ・フロイドさんら生きているべきすべての人たちが帰ってくるわけではない」。民主党のクリス・バンホーレン上院議員(メリーランド州選出)は、こう主張した。「あらゆる形態のシステム化された人種差別を打倒するために至急行動し、上院はジョージ・フロイド正義警察法案を通さなければならない」
ショビン被告の動機について、すべての人に意見を述べる権利があることは確かだ。同被告は、第2級殺人、第3級殺人、第2級過失致死で有罪評決を受けた。だが、この犯罪を無理やり人種差別のせいにするのは、ミネアポリスの法廷で繰り広げられたものとは懸け離れている。
ヘネピン郡検察は、ミネアポリス市警の元警官が人種差別主義者だった、あるいは人種的憎悪に基づいて46歳のフロイドさんを殺害したことを示そうとは一切しなかった。また、刑罰を加重する要因の一つとして人種的偏見を挙げたこともなかった。
コーネル大学法科大学院のウィリアム・ジェイコブソン教授によると、ミネソタ州の量刑ガイドラインは刑罰加重の要因として「人種差別」を挙げている。同教授は、自身のウェブサイト「リーガル・インサレクション」の取材の一環でこの裁判を追ってきた。
「ジョージ・フロイド事件で、検察から人種差別が要因だという非難はなかった」。ジェイコブソン教授は電子メールでこう指摘した。「活動家たちは事件の日から、他の目的のためにフロイドさんの死を利用してきた。それは評決後も続いている」
共和党のバイロン・ドナルズ下院議員(フロリダ州選出)は21日、陪審員の有罪評決を自分たちの立法アジェンダを推進するために利用していると厳しく非難した。
「民主党は昨日起きたことには関心がない」。ドナルズ氏はFOXニュースでこう主張した。「彼らは評決が出るまで待ち切れなかった。いったん評決が出たら、それを踏み台に利用して本当にやりたいことをやろうとしている。それは自分たちのアジェンダを通すことだ。実に単純だ」
民主党のナンシー・ペロシ下院議長(カリフォルニア州選出)は、デリカシーの欠如で批判を浴びている。ペロシ氏はツイッターに、フロイドさんは「無駄死にしなかった」と投稿し、20日の記者会見では「正義のために自分の命を犠牲にした」と感謝したのだ。
「他の家族が同じ人種差別、暴力、痛みを受けないようにしなければならない。ジョージ・フロイド正義警察法案を成立させなければならない」と、ペロシ氏はツイートした。
これに対し、フロイドさんは殺害されたのであり、犠牲には自ら選択したという意味が含まれるとの批判が出ている。
ドナルズ氏はペロシ氏の声明を「全く下劣であり、ペロシ氏が望むのは自分のアジェンダを通すことだけだという確たる証拠だ」と指摘した。