民主党主導の州に有利な国勢調査結果、共和が警戒
By Stephen Dinan – The Washington Times – Thursday, April 29, 2021
今週発表された国勢調査で、共和党主導の州の人口が増加していたが、保守派活動家は、もっと増加しているはずだったと指摘、バイデン政権下のこの4カ月間の数字の変動に疑問を呈した。
「繁栄を招く委員会」でスティーブン・ムーア氏は、国勢調査局が26日に公表した調査結果は、昨年12月の予想と比較して、共和党の州よりも民主党の州にはるかに有利になっていると指摘、調査を分析したムーア氏とE.J.アントニ氏は、「非常に怪しい」と述べた。
民主党主導の州は、4カ月前に予測されていたより250万人多く、共和党の州では、50万人少ないという結果になっている。
それによって、共和党の州で今後10年間、下院の議席が予想されていたよりも数議席、減ることになる。
調査の作成者らは、状況証拠に過ぎないとしながらも、民主党の州ばかりに有利な変化には、「注意を払うべきだ」と述べた。
ムーア、アントニ両氏は、「国勢調査局で不正があったのか。民主党の議席を増やし、民主党の州への予算を増やすためにバイデン政権が操作したのか。連邦予算は人口をもとに配分されることがある」と述べた。
昨年12月の予想は、2010年の調査、出生・死亡届、毎年行われる小規模な調査「地域社会調査(ACS)」をもとに作成された。
予想よりも大幅に人口が増えていた民主党の州は、コネティカット、ハワイ、イリノイ、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューヨーク、ロードアイランド、バーモントの各州、共和党の州で減少が大きかったのは、アリゾナ、フロリダ、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テキサスの各州だった。
26日に公表された調査結果は、集計に基づいて、2020年4月1日にそこに何人が住んでいたかを示す公式の数字だ。
この数字は、下院の議席を「配分」するために使用される。この数字の変化に基づき、7州がそれぞれ1議席を失う。テキサス州は、2議席増え、他の5州はそれぞれ1議席増える。
12月の予測通りなら、テキサス州は3議席、フロリダは1議席ではなく2議席、アリゾナは1議席増えていた。アリゾナは増えなかった。
対照的にニューヨーク州は、2議席減と予測されていたが1議席減、ロードアイランドは2議席から1議席になると予測されていたが、減少はなかった。
ムーア氏が示唆した不正の可能性を、ミネソタ大学のカロリン・リーブラー教授は否定、この不均衡の原因は、新型コロナの流行のようだと述べた。
リーブラー氏は、12月の予測には、移民のパターンが反映されていないと指摘した。実際の集計は、4月1日から秋に実施された。国内の各地で、封鎖、外出禁止の措置が取られ、季節性の移民の移動パターンが乱れた。
「問題は感染拡大による調査への影響だ」
リーブラー氏は、12月の予測に用いられた手法は、公式な集計に用いられる手法とは大幅に違っており、結果に違いが出るのが普通だと述べた。
国勢調査局職員は、26日に行ったオンライン会見で、どうして12月の予測からずれたのかという質問に対し、予測を当てにすべきではないと繰り返し注意を促した。
ロン・ジャーミン局長代理はまた、米国の人口はこの10年間それほど増えていないと指摘した。
「若干高めの人口増加予測に基づいた予測がなされたのだと思う」
ところが、ムーア、アントニ両氏が発見した、民主党寄りの州と共和党寄りの州の間の地域的な差異については説明していない。
国勢調査局から、この点についてのコメントは得られなかった。
両氏は、2010年のすべての州の実際の集計の予測からのずれは0.4%以内、30州では0.2%以内だったと指摘した。今回の調査では、19州で1%のずれ、8州では2%、ニューヨーク州とニュージャージー州では4%を超えた。
また、結果は一様ではない。民主党寄りの傾向が強いアラバマ州では、12月予測よりも2%以上高く、共和党よりのネバダ州では、大幅に減少した。
ムーア、アントニ両氏は「2010年の予測が異常なほどに精度が高かった、または、2020年の予測の制度が異常なほど低かったのだろうか。国勢調査局は、これらの変動がバイデン政権下でどうして大きくなったのか、どうして一方に、つまり民主党よりに傾斜しているのかを議会で説明する必要がある」と主張した。
この数字に疑問を持っているのはムーア氏だけではない。
全米ラテン系公職者協会は、テキサス、フロリダ、アリゾナのようなヒスパニック系の住民が多い州が予測された議席を得ていないとして、配分の集計を「驚くべき数字」と呼んだ。
同協会のCEO、アルトゥーロ・バルガス氏は、今後、詳細が明らかになるまで判断は控えると述べた。しかし、世論調査に回答するよう資金を投入した州が、資金を投入しなかった州よりも予想に近いようにみえると指摘した。
ニューヨーク移民連合は、活動家による大変な努力によって、ニューヨーク州の数字は高くなり、2議席を失うという最悪のシナリオは回避されたと指摘した。
連合のムラド・アワウデ事務局長は、「トランプ政権は、市民権に関する質問を盛り込もうとするなど移民ニューヨーカーを露骨に攻撃したが、私たちは大変な事態を乗り越え、世論調査への回答率を維持した」と述べた。
リーブラー氏は、トランプ氏が2020年国勢調査の質問に加えようとしていた市民権の質問は、民主党の州と共和党の州の間の差異の一部を説明している可能性があると述べた。
トランプ氏はこの質問を盛り込むことに失敗したが、移民はこれによって国勢調査の回答を避けるようになるとみられていた。リーブラー氏は、ニューヨークのような、移民に寛容な州では、共和党主導の州よりもその影響を緩和できたと指摘した。
共和党の州について「保守的な州で反移民感情が強いという事実からみて、国勢調査への回答を避けさせるという効果が実際にあるのではないか」と述べた。