共和有力議員、ケリー気候変動特使の利害の衝突を懸念
By Haris Alic – The Washington Times – Tuesday, May 4, 2021
上院司法委員会の有力共和党議員らが、ジョン・ケリー元国務長官の気候変動大統領特使の地位と、長期にわたるグリーンエネルギー企業への投資は、利害の衝突に当たるのではないかと疑問を呈している。
チャック・グラスリー上院議員(アイオワ州)はアントニー・ブリンケン国務長官に書簡を送り、ケリー氏の経済的利害について情報を求めたが、これは、倫理担当職員らが、ケリー氏に、グリーンエネルギー新興企業への投資を引き揚げ、特定の問題に関して影響力を行使しないよう求めていたことが明らかになったためだ。
グラスリー氏は、どの政策分野がケリー氏にとって利害の衝突となりうるかを把握するには、政府の透明性が欠かせないと主張した。
そのため、国務省に、ケリー氏の「実際の利害の衝突とその可能性」、ケリー氏が「これらの利害の衝突に関連して何らかの免除、免責」を提供されていないかに関する文書の提供を求めた。
グラスリー氏は書簡で「ケリー氏は、どの問題に影響力を行使してはならないか、関与すべきでない特定の問題に関して何らかの便宜を受けてはいないかが明確にされていない」と指摘、「良い統治を行うには、倫理規定の忠実な順守が必要だ」と主張した。アクシオスが最初に報じた。
ホワイトハウスからはコメントを得られなかった。
ケリー氏は、2017年に国務省を去って以降、米国の有力金融機関のコンサルサタントとして高額の報酬を得てきた。2020年だけで、バンク・オブ・アメリカのグローバル・アドバイザーとして500万㌦の報酬を得ている。
さらに、10万㌦を超えるコンサルティング料をグリーンエネルギー新興企業、ライズ・ファンドから得ていた。同社は環境企業に投資を行う50億㌦のベンチャーキャピタルで、2020年にケリー氏に12万5000㌦以上を支払っている。
また、ケリー氏はクライメット・ファイナンス・パートナーズの諮問委員会の議長を務めていた。この組織は、起業家や銀行幹部を集め、気候変動への「画期的で世界的に必要な資金的解決」に取り組んでいる。
富裕層として知られるケリー氏は他にも、公務に就いていない間にグリーンエネルギー企業に巨額の資金を投資していた。大統領気候変動特使に任命されたことを受けて、1500万㌦以上の株式の売却を余儀なくされている。
政治的決定に重大な影響力を持つ地位に再び就いたことで、ケリー氏のこれまでの業務と資金をめぐる関係には倫理面での懸念があるという批判が出ている。
中でも注目すべきは、金融機関に、グリーンエネルギーに関する計画や技術に投資したり、融資したりするよう働きかけているとして非難されていることだ。
ケリー氏は今年に入って、「数々のアセットマネジャー、大手銀と協議中であり、資金をどこから調達でき、どのようにしてこれらの部門に行きわたるかを理解したいと思っている」と述べていた。
接触しているとみられる金融機関の一つに、ケリー氏が以前、働いていたバンク・オブ・アメリカがある。同社にコメントを求めたが返答は得られなかった。
共和党は、ケリー氏が特定の分野での投資を促進しているだけでなく、私的、公的な話し合いの中で、銀行に、グリーンエネルギー企業への投資を増やし、化石燃料産業への融資限度を引き下げるよう圧力を掛けていると主張している。
共和党議員らが先月、ホワイトハウスに送ったケリー氏の行動への調査を求める書簡によると、この圧力のために政府規制が強化される可能性がある。
書簡は「市場の変化に乗ることのできない化石燃料からの移行を強制することで、利益を得ようとすることは、完全に政治的動機に基づくものであり、米国のエネルギー安全保障を不安定化させ、価格を上昇させる可能性がある」と指摘している。