カマラ・ハリス副大統領、中南米からの移民問題は気候変動が原因

(2021年5月15日)

In this March 24, 2021 photo, a migrant man, center, holds a child as he looks at a U.S. Customs and Border Protection agent at an intake area after crossing the U.S.-Mexico border, early Wednesday, March 24, 2021, in Roma, Texas. (AP Photo/Julio Cortez)

By Haris Alic – The Washington Times – Thursday, May 6, 2021

 バイデン米政権は、メキシコとの国境での移民危機を新たな枠組みで捉え直しており、流入はホワイトハウスの政策によるものではなく、中米のエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの北部三角地帯の気候変動によるものだと主張している。

 危機へのホワイトハウスの対応を主導する任務を担うカマラ・ハリス副大統領は今週、ワシントンで開催されたアメリカ会議の前の演説でこうした主張をした。

 「エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスの市民は、驚くべき速度で母国を離れている。しかし、そのニュースの背後には根本的な真実がある」。ハリス氏はこう述べた。「彼らはやむを得ないと感じたときにだけ立ち去る…このためわれわれは、移住の急性的な要因と根本的な原因の両方に取り組むことに焦点を合わせている」

 ハリス氏によると、これらの根本的な原因の1つは、北三角地帯の国々による「気候変動への適応と回復力の欠如」だった。ハリス氏は、特に気温の上昇と海面上昇が国の経済に打撃を与えたと主張した。

 ハリス氏は「われわれは、人々を立ち去らせている大災害に今すぐ焦点を合わせなければならない」と述べ、気候変動が北三角地帯のハリケーンや「干ばつと極端な食糧不安」を悪化させたと付け加えた。

 ハリス氏によるこの問題への新たな視点は、南部国境での移民危機が衰えることなく続いている中で現れた。税関国境警備局の関係者によると、米国への不法入国を試みる者のほとんどは、北部三角地帯から来ている。

 2020年の選挙後から、移民の洪水はここ10年以上で見られなかったレベルに達した。

 3月だけでも、17万人が国境を越えようとして逮捕された。このうちかなりの部分は、14歳未満の同伴者のいない未成年者だった。

 最近のある調査によると、この傾向が続けば、米国では今年、約120万人の不法移民が南の国境を通過する可能性がある。

 ホワイトハウスは、移民を食い止めるための取り組みの一環として、気候変動への支出を増やし、中米諸国への援助を提案している。バイデン氏はすでに、北部三角地帯の国々が経済を再建し、インフラを耐候性化するのを支援するために40億㌦を費やすことを約束している。

 「われわれの政権は援助したいと考えている」とハリス氏は述べた。「ホンジュラスでは、ハリケーンが発生した後、食糧、避難所、水、衛生設備を人々に届けなければならない。グアテマラでは、農民が継続的な干ばつを耐え忍んでいるため、干ばつに強い作物を植えるために彼らと協力しなければならない」

 専門家は、気候変動へ焦点を当てることは、国内外な不法移民の原因となっている実際の問題から注意を逸らすことになると述べる。

 たとえば、北部三角地帯の国々は、経済的流動性、民主主義の保護、医療制度に関して下位にランク付けされている。また、汚職、暴力、失業でも、上位にランクされる傾向がある。

 この地域のほとんどの居住者は貧困ライン以下で生活しており、医療制度などからの給付が得られない低スキルの仕事に従事している。新型コロナウイルスのパンデミックでこれらの国での感染率は世界で最も高い水準だったことにより、特に医療制度の欠如が浮き彫りになった。

 同様に、この地域は何十年にもわたって犯罪と暴力に悩まされており、北部三角地帯は世界で最も危険な地域の1つとして認識されている。

 調査によると、犯罪と暴力団による犯罪は、雇用不足後の米国への移民の流出の主な原因であることが示されている。

 「中米諸国が直面している制度上の問題は一朝一夕に解決することはできない」と移民研究センターにおける法と政策の常駐研究員であるアンドリュー・アーサー氏は述べた。

 ハリケーンや気候関連の災害のために北部三角地帯の経済が打撃を受けたのは事実だが、この状況はこの地域にとって目新しいものではない。

 アーサー氏は「特に中米では、嵐と干ばつが何十年もの間、要因となってきた」と述べた。「1998年にハリケーン『ミッチ』により、この地域で1万1千人近くの死者が出たが、この間、拘束者数は平均的なままだった」

 「歴史的に、われわれは時間の経過とともにはるかに大きな移民の波が米国にやってくるのを目撃してきた」と同氏は付け加えた。「気候変動問題が前面に出る前の1980年代には、100万人以上がここにやって来た」

 ホワイトハウスが取り入れたレトリックと政策は、不法移民の増加の理由として無視できないと主張する人もいる。

 バイデン氏は、特に不法移民の保護を拡大する法律と、米国に住む1100万人以上の不法移民に市民権を与える道筋を作ることを提案した。

 バイデン氏は先月の上下両院合同会議における演説で、「移民をめぐる激しい争いを終わらせよう」と述べた。「30年以上の間、政治家は移民改革について話してきたが、それについて何もしなかった。それを修正する時が来た」

 共和党議員たちは、不法移民が、拘束された後、移民法廷での公聴会を待つまで米国のコミュニティに解放される「キャッチ・アンド・リリース」政策の復活が危機を助長していると指摘する。

 「国境警備隊は、われわれが今抱えている最大の問題は、不法入国に値する結果が伴わないことだと私に話した」とテキサス州選出のジョン・コーニン上院議員(共和党)は述べた。

 ホワイトハウスにコメントを求めたが回答はなかった。

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