コロナ以外の感染症への警戒呼びかけ
By Shen Wu Tan – The Washington Times – Wednesday, May 12, 2021
西ナイル熱を覚えているだろうか。
ライム病、東部ウマ脳炎はどうだろう。
新型コロナウイルスの流行のせいでこれらの病気がメディアで大きく取り上げられなくなったのかもしれないが、消えてなくなったわけではない。公衆衛生当局者がこう指摘した。
新型コロナに強い関心が向けられる中、公衆衛生当局は、これから暖かくなるため、蚊やダニによる病気に気を付けなくてはならないと呼び掛けている。
米公衆衛生協会の事務局長、ジョージ・ベンジャミン博士は、「夏が近づき、生物媒介の病気がはやり始める。これらの病気に警戒すべきであり、蚊の駆除などの環境対策を検討すべきだ」と述べた。
ベンジャミン氏は、気候変動によって大雨が増え、洪水、飲み水の汚染、感染症の媒介生物の増加につながり、蚊媒介の病気が悪化する可能性があると指摘する。
疾病対策センター(CDC)によると、米国内の200種以上の蚊のうち約12種が、病気を引き起こすウイルスを拡散させる。米国ではこれまで、フロリダ州、ハワイ州、テキサス州、米領のプエルトリコ、バージン諸島、サモアなどで、デング熱、チクングンヤ熱、ジカ熱が発生している。
CDCによると、これらの州でデング熱8例、米領で228例が、今年に入って5月5日までの間に報告されている。CDCの4月の報告によると、チクングンヤ熱は2020年に26例が報告され、そのうちの大部分は、感染地域からの帰国者からだった。米大陸でジカ熱の感染は今のところないが、フロリダとテキサスでは2016年と2017年に感染が報告されている。
米国で最も流行している蚊媒介の感染症は西ナイル熱で、ワクチンや治療薬はないものの、感染してもほとんどの人に症状は出ない。1月5日時点の報告では、2020年に44州で西ナイル熱の感染がCDCに報告されている。感染者は557人となっている。
米国では毎年、脳に感染することがある東部ウマ脳炎の感染例も報告されている。ほとんどの場合は東部または湾岸州で発生している。
米蚊駆除協会のテクニカルアドバイザー、デービッド・ブラウン氏はワシントン・タイムズに対し、米国に侵入する蚊や病原菌が増加、拡大しており、さまざまな方法で効果的な駆除を実施することが必要だと述べた。
フロリダキーズ蚊駆除地区(FKMCD)によると、蚊は、殺虫剤など現在の駆除方法に耐性を持ち始めているという。
英国の生命工学企業オキシテックは、刺すことのないオスのネッタイシマカを遺伝子操作し、野生のメスの蚊と交尾すると子孫に転移する致死性のある遺伝子を持たせるという実験を行っている。FKMCDによると、これによって子孫は生き残ることができなくなり、駆除が可能になるという。FKMCDはオキシテックの計画を承認している団体の一つだ。
4月下旬に遺伝子操作されたオスの蚊を入れた箱を6カ所に設置し、今月、数千匹が発生し始めるという。約1万2000匹が毎週、約12週間にわたって発生することが期待されている。