米司令官:中国は大西洋岸の海軍基地建設を目指している

(2021年5月17日)

In this Feb. 8, 2017, file photo, then-Army Lt. Gen. Stephen Townsend talks with an Iraqi officer during a tour north of Baghdad, Iraq. (AP Photo/ Ali Abdul Hassan, File)

By Guy Taylor – The Washington Times – Thursday, May 6, 2021

 中国は、アフリカの西海岸に大規模な海軍基地を築こうと密かに活動している。完成すれば、中国の潜水艦と空母を受け入れ、大西洋に直接中国が軍事力を投射できるようになる。米軍高官が6日、明らかにした。

 アフリカの軍事作戦を統括するアフリカ軍のスティーブン・タウンゼント司令官(大将)は、中国当局者らが、海軍基地を受け入れる場所を求めて、モーリタニアから南部のナミビアにかけての国々に接触していると述べた。

 タウンゼント氏は、AP通信とのインタビューで「中国は、艦艇に武器を補給し、修理できる場所を探している。これは、紛争時に軍事的に役に立つ」と述べた。

 国防総省のアフリカ軍を率いるタウンゼント氏は、中国軍はすでにジブチにそのような施設を設置していると指摘した。アフリカの角に位置するジブチは、アフリカ大陸のインド洋岸にあり、大西洋からは3000㌔以上離れている。

 タウンゼント氏はこのインタビューで、「中国は今、大西洋岸に目を向け、そこに基地を設置しようとしている」と述べた。

 この発言は、ワシントンの中国ウオッチャーの間に波紋を投げかけた。米国民は、何年も前から国防総省が警告してきた現実に目覚めるべきだが、注目されることはなかったという指摘も出ている。つまり、全体主義の共産政権が支配する中国が、世界的な軍事大国として台頭していることに注意を払うべきだということだ。

 民主主義防衛財団の軍事・政治力センターのブラッドレー・ボーマン所長は6日、ワシントン・タイムズに「大西洋の海上、水中を中国の艦艇が普通に行きかうようになるのは時間の問題だ」と述べた。

 さらに「米国民は、その時が来ることを知るべきであり、問題は、その時までにどのような備えをするかだ」と指摘、バイデン政権下で国防支出の優先順位を協議する際に、政治家はタウンゼント氏の警告について考えてみるべきだと訴えた。

 このほぼ2週間前、タウンゼント氏は、アフリカでの中国の活動が拡大していることに対し、米政治家に注意を払うよう呼び掛けていた。

 4月22日に上院軍事委員会で証言し、「(中国の)アフリカでの活動は、米国と同盟国をしのぎ、中国の経済成長を支える資源と市場を求め、経済力を生かして世界への影響力の拡大、強化を図るためだ」と述べた。

 タウンゼント氏は証言の準備書面で、中国はここ数年間に、アフリカ諸国にインフラ整備と開発のために約600億㌦を融資することを約束したと指摘した。

 また、中国軍のジブチでの活動の目標は、「大陸とその海域全体に戦力を投射するプラットフォーム」を築くことにあると主張した。

 中国は数年前にジブチに、初めての海外の海軍基地を築き、基地の能力を着実に拡大してきた。タウンゼント氏はAP通信に、2000人の兵員が駐留していると指摘、「兵器、弾薬を保有していることは間違いない。装甲戦闘車を持っている。すぐにヘリコプターを駐留させ、攻撃ヘリも配備される可能性がある」と述べている。

 ジブチの基地は、「アフリカの角」にある米海軍主導の設備、キャンプ・レモニエから10㌔ほどしか離れていない。ここには、約3400人の米兵が駐留している。

 タウンゼント氏は議会証言で「中国は、基地を増やそうとしている。アフリカの東部、西部、南部で中国軍の関与のもとで、商用の港に投資しようとしている。これは、戦略地政学的な利益をさらに獲得するためだ」と述べた。

 それに対し米軍は、戦略の焦点を、20年に及ぶテロとの戦いから、中国、ロシアのような敵対する大国からの脅威へとシフトさせている。

 バイデン政権は、急速に拡大する中国の経済的影響力と軍事力を、米国にとって安全保障上の長期的で主要な脅威とみている。バイデン氏の外交での最初の動きは、中国に対抗するために、米、日本、オーストラリア、インドからなる「クアッド」内の協力の強化を急ぐことだった。トランプ前大統領は中国の共産政権に対抗する民主主義国4カ国の連携を強化しており、それをさらに深化させることが狙いだ。

 世界中の米軍司令官らが、中国はアフリカ、南米、中東の国々への経済的影響力拡大に意欲的に取り組んでおり、そこに基地や拠点を築こうとしているとして警戒を呼び掛けている。中国はすでに何年もかけて、領有をめぐって他国と係争中の南シナ海の海域に基地を築き、遠方のスリランカやパキスタンに資金提供して建設した港に潜水艦や艦艇を送り込んでいる。

 米高官らはさらに、中国がアフリカを標的としていることを強調してきた。タウンゼント氏はAP通信に、「中国は、アフリカの一部の国では米国をしのいでいる。港湾建設計画、経済、インフラ、合意、計画は、将来の関係強化につながる。投資先を分散し、アフリカに大きな賭けをしている」と述べた。

 中国は、アフリカ東海岸のタンザニアに海軍基地を築こうとしているとみられている。しかし、タウンゼント氏は、まだ決定は下されていないようであり、大西洋岸の方がもっと気がかりだと強調した。

 AP通信に対し、「大西洋岸が気がかりだ」と述べ、米国まで比較的近いことを指摘した。距離的には、アフリカの北大西洋岸に基地ができれば、中国の基地と米国の西海岸よりもかなり近い。

 別の高官らは、中国がアフリカ北西部のギニア湾も、港湾建設候補地として注目していると指摘している。

 2020年の国防総省の報告によると、中国は、アンゴラの海、空、地上の戦力を支援するために軍事施設を増やすことを検討しているとみられている。報告はさらに、中国に輸出される大量の原油と天然ガスが、アフリカ、中東に中国が注力する理由だと指摘している。

 米平和研究所は、先週公表した分析で、アフリカは、米国と中国という「大国の間の競争」の影響から逃れられなかったと指摘した。「トランプ政権はアフリカ政策で、中国に対抗することを目指していた。バイデン政権は、中国と一般的な分野で協力を求めるかもしれないが、そのアフリカ政策に、中国に対抗するという全体的な目的が反映されることになるのは間違いない」

 さらに平和研究所は、中国の関心は、安全保障よりも、経済と外交だと指摘。「中国はアフリカに巨額の投資をしているが、それは、戦略的鉱物など天然資源が豊富であり、若者の人口も増えており、大きな商業的機会につながるからだ。2020年、世界で最も成長が早い国10カ国のうち7カ国はアフリカだった。54カ国が国連に加盟しており、連携して投票することで、アフリカに多国間外交での大きな力を持たせている。中国の外交政策は、称賛を勝ち取り、その影響力をアフリカを含む世界に示すことで、国内の中国共産党の正当性を強化することを目指している」と強調している。

 一方、ボーマン氏は6日、ワシントン・タイムズに、米国の政治家らは、中国による経済投資の後、数年で軍事力が展開されるようになると考えていると述べた。

 「中東、アフリカ、さらには欧州での中国の経済計画を見ると、その活動には同時にまたは将来、軍が付いてくると考える必要がある」と指摘、中国は「債務のわな外交」を進めていると主張した。

 また、中国は、経済力のない国に、返済できないほどのインフラ融資を行って、その国の天然資源を入手したり、戦略的に重要な位置にある港、基地を中国軍が使用したりできるようにする代わりに融資を免除することが目的だという指摘もある。

 中国当局者らは、このような主張を強く否定している。しかし、ボーマン氏は、中国がアフリカや世界各地でしていることが、「新植民地主義、新帝国主義的な資源獲得のように」見え始めていると訴えた。

 米国も、直接的な海外支援、世銀、国際通貨基金(IMF)による融資で同じような活動をしているという批判があるが、ボーマン氏は中国とはまったく異なると主張した。

 「中国は、独立し、繁栄した貿易相手国、対等な関係を築ける国を作り出すことに興味はない。興味があるのは、依存させ、そこから資源を獲得し、国家安全保障上の利益を脅し取ることだ。米国の世界への接し方とは違う。米国の歴史が完全とは言わないが、一般的に言って、米国は、自国領を管理でき、テロリストに米国攻撃のために利用されない、安定し、独立したパートナーを求めている」

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