トランプが作った新しい共和党の中で、トランプの影響に陰りが見えてきている
By Michael McKenna – – Wednesday, May 19, 2021
ANALYSIS/OPINION:1か月前の本コラムで、バイデン政権がすでにピークに達したと予測した。ほとんどの人はその考えに賛成することを躊躇したが、18日に、ウォールストリート・ジャーナル紙前編集局長のジェラルド・ベイカー氏がついにその考えに同調した。
それから1か月間は、バイデン大統領にとって恵まれたものではなかった。パレスチナ人は、バイデン氏が生まれつきある種のエネルギーを欠いていることを理解していた。南部国境ででは緩やかな侵略が起きており、4月に17万8千人が米国に不法に入国しようとして逮捕された。これは20年で最大の数だ。米国の最も重要なエネルギー資産へのロシア人によるサイバー攻撃を誘発させ、低迷する雇用者数と多少のインフレを招くなど、混沌とした大統領就任期間となっている。
前に述べたように、それはすべて予測可能であり、実際に予測されていた。
次は、トランプ前大統領に注意を向ける時だ。同氏のピークが、ずっと前に通り過ぎたことは明らかだ。恐らくそのピークは、パンデミックとマーク・メドウズ前大統領首席補佐官が再選の見込みを台無しにするより前の、2020年2月の一般教書演説の時だった。
あなたがトランプ氏の再出馬について何か読んだり、聞いたり、考えたりしたとしても、その可能性は低い。制度の複雑さ、同氏の年齢や法的、財政的、政治的弱点はすべてその見込みを打ち消すものだ。
トランプ氏の別荘「マー・アー・ラゴ」から民間人として政治運動を行うことは難しいことが判明した。たとえば、テキサス州連邦下院第6区補欠選挙で、トランプ氏は最終的な最有力候補のスーザン・ライト氏を最終段階で推薦した。これは、予備選挙に多数の候補者がいて、同氏またはそのスタッフが「間違った」候補者(つまり、最終的に敗れる人)を選ぶことを恐れたためだ。今月、バージニア州全体における共和党候補の指名過程でも同様の力学が働いていた。
こうした力学は、共和党のロブ・ポートマン上院議員の後任候補に間違いなく前大統領に近い数人の候補者が含まれるオハイオ州やニューヨーク知事選といった異なる土地でも働いている。特にニューヨーク州知事選は、政治運動が成長するにつれて分裂することがあることを示す良い例だ。リー・ゼルディン下院議員は間違いなく共和党が知事選で推薦できる最高の候補者だが、トランプ氏のチームはジュリアーニ家に不合理な愛着を残しているので、彼らはおそらく誰を支持するかについて悩むだろう。
要するに、世界は変化しており、政治家は彼らがするはずのことをしている(つまり、うまくいくアイデアを盗む)。予備選の候補者を絞るトランプ氏の能力、そして言うまでもなく本選挙で勝つ候補を決定づける能力は、同氏からの承認を争う複数の候補がいるという理由だけで損なわれている。
彼のソーシャルメディアでの存在感も低下している。最盛期には、トランプ氏には約9千万人のツイッターのフォロワーがいた。2020年の選挙に至るまで、彼のフェイスブックページには3億3600万件のやり取りがあったが、バイデン大統領の4800万件の約7倍だった。
ツイッターがトランプ氏のアカウントを禁止する前は、同氏で週に7百万回から5千万回まで言及された。現在は、週に約3百万回となっている。
トランプ氏がケーブルテレビに出演していないことも問題だ。米国人の22%だけがツイッターアカウントを持っているのに対し、半分以上(56%)はまだケーブルテレビを視聴している。ニューヨーク・タイムズ紙は、ケーブルテレビへのトランプ氏の出演は、広告費に換算すると20億㌦相当の価値があると推計した。
トランプ氏をどう扱うべきかは、一部の議員にとっては、重要な質問だ。今これを知ることは難しいが、それはまもなく、そして2025年までには確実に解決される問題だ。最も可能性が低いが、トランプ氏が2024年に出馬して勝ったとしても、彼はすぐにレームダック(死に体)化するだろう。今から44か月も経たないうちに、そしてほぼ確実により早い段階で、同氏の時代は終わりを告げ始める。
幸いなことに、2024年には両党が大統領予備選挙を争うことになる。バイデン氏は再選には出馬できなくなり(2020年はやっとのことで出馬できた)、前述のようにトランプ氏が78歳で再び出馬することはありそうにない。
トランプ氏は共和党の多くを変えた。ほとんどは党の利益になることで、米国第一主義の外交政策と貿易政策に関する明確さ、労働者層に対する(少なくとも言葉の上では)確固としたひいき、批判され見直しされる可能性のある聖域を増やし、そして党の将来性についての見通しを広げた。また同氏は、最後に慈悲深く、レーガン元大統領を理想化した伝記についての本を閉じた。
多くの点で、トランプ氏は新たな共和党の誕生に一役買った。今の本当の課題は、同氏の助けにより生み出された新たな党を次世代を通してどのように成長させ、築くかを理解することだ。それを解決する人が次の共和党大統領になるだろう。
・ワシントン・タイムズ紙のコラムニストであるマイケル・マッケナ氏は、MWRストラテジーの社長で、最近では、トランプ前大統領の副補佐官で、ホワイトハウスの立法局副局長を務めた。