内部分裂と反ユダヤ主義に揺れるユダヤ系米国人

(2021年5月31日)

Pro-Israel supporters chant slogans during a rally in support of Israel outside the Federal Building in Los Angeles, Wednesday, May 12, 2021. (AP Photo/Jae C. Hong, file)

By Mariam Fam and Luis Andres Henao – Associated Press – Tuesday, May 25, 2021

 イスラエルとガザ地区を支配する民兵組織ハマスの間の戦闘が発生、先週、停戦を迎えた。

 ラビ(ユダヤ教教師)の教えを受けるマックス・バックスダールさんは、自身のコミュニティーの中で、イスラエルと精神的につながりを持つ人々を思いやりながら、パレスチナの人々も支援したいと思っている。

 25歳のバックダールさんは、ラビ、礼拝の主唱者を目指す数十人の学生とともに、パレスチナへの連帯を示し、米国のユダヤ人にイスラエルの変革を求めるよう訴える書簡に署名した。イスラエルはガザ攻撃でイスラエルを非難している。

 これに対しすぐに、ラビのブラッドレー・シャビット・アートソン師から抗議が来た。アートソン師は、アメリカン・ジューイッシュ大学のジーグラー・ラビ研究院の学部長で、ここでは、新世代の保守派ラビを養成しており、その一部が書簡に署名した。

 アートソン師は抗議文で、パレスチナの人々の苦難を強調することは尊重するが、イスラエルとイスラエルのユダヤ人に対する連帯を欠いていること、イスラエルの苦難と、ハマスの「残忍な独裁」から目を逸らしていることに失望したと記している。

 両書簡は、ユダヤ系米国人を対象とする非営利メディア「フォワード」に掲載され、全米のユダヤ人の間で議論を巻き起こしている。ユダヤ系米国人は、攻撃に対しどう対応すべきか、境界線をめぐって批判を受けているイスラエルの政策をめぐって分裂している。

 アートソン師はインタビューで、「どの程度の責任があるかをめぐって対立している。意見が合わないのは、イスラエルが占領に対してどの程度責任があるかという部分かもしれない。占領は、どの程度ハマスやその他の地域内の勢力の責任なのか」と述べた。

 ブランダイス大学のシュスターマン・イスラエル研究センターのジョナサン・サーナ所長は、米国のユダヤ人の感覚は世代によって大きく違うと述べた。

 サーナ氏によると、イスラエルの建国につながった1948年の戦争、その後のアラブとの戦争を覚えている世代の多くは、「イスラエルはもろく、攻撃を受け、敵はイスラエルを破壊したがっている」と考え、「若い世代は、ダビデとゴリアテの物語などに影響を受けている。イスラエルはこれまでも、今後もずっと強いと考えている。…不釣り合いではないかと考え、懸念を抱いている」。

 ピュー・リサーチ・センターが米国のユダヤ人を対象に行った最新の調査によると、回答者の82%は、イスラエルを気に掛けることは、ユダヤ人としてのアイデンティティーにとって「非常に重要」または「重要」と答えた。しかし、今回の紛争前に実施されたこの調査では、対立する両者の正当性について懐疑的な考えを抱いているケースがみられ、イスラエル政府が平和を真摯に求めていると答えたのはわずか3分の1、パレスチナの指導者については12%に過ぎなかった。

 ロサンゼルスのユダヤ・コミュニティーIKARのラビ、シャロン・ブルース師は「イスラエル側で守勢に立たされているという固定的な見方が失われているという感覚がある。イスラエルはパレスチナ人の苦難に対処せず、平和への道を提示していない」と述べた。その上で、全米での人種対立によって、多くのユダヤ人間で、「イスラエル人とパレスチナ人にとってもっと公正で公平な状態」を実現しようという切迫感が強まったとブルース師は指摘した。

 「私たちのユダヤ人コミュニティーの中に、イスラエルの私たちの家族を思いやるとともに、パレスチナ人の幸せのために思いやり、共感し、心配することは不可能であり、何より受け入れがたいと考えている人がいることに心を痛めている」

 紛争の勃発を受けて議論が強まる一方で、反ユダヤ的な事件が増加している。反中傷連合(ADL)がまとめた暫定的な資料によると、暴力、破壊行為、嫌がらせが米国内、世界全体で増え、ネットでも増加している。停戦発効前にADLが明らかにした。

 ラダーマン・ファミリー・ファウンデーションのジェイ・ラダーマン会長は「反ユダヤ主義が高まり、…米国のユダヤ民族はさまざまな宗派、年齢層の間で互いの一致点を見いだす必要性に迫られている」と指摘した。この組織は、ボストンを拠点とする慈善団体で、イスラエル、米国両国で活動している。

 「米国のユダヤ人コミュニティーとイスラエルがかつてないほど、互いに必要としているこの時であり、両者が一つとなる好機でもある」

 ブルース氏は、宗教指導者らは憎悪を非難すべきであり、信徒に、イスラエルの政策への批判を反ユダヤ主義へと発展させてはならないことを確認すべきだと強調。同時に「イスラエルへの批判は必ずしも、反ユダヤ主義ではない」と述べた。

 ニューヨークのジューイッシュ・オーソドックス・イエシバ大学の男子バスケットボールのコーチをしているエリオット・スタインメッツ氏は、反ユダヤ的な攻撃の報道、ソーシャルメディアでのイスラエル批判が高まっていることに怒りを感じている。

 スタインメッツ氏は5月12日のインスタグラムへの投稿で、政治的主張で反ユダヤ主義を覆い隠していると非難。批判に対しては、「アラブの子供の後ろに隠れるのでなく」誠意を示すべきだと反論、「それはテロリストのやることだ」と訴えた。

 スタインメッツ氏はインタビューで「このように考えるようになったのは、一部の政治家を見てからだ。有名人やアスリートも同じだ。よく事情が分からないことに口をはさみたがる」と述べた。

 「急にユダヤ人が攻撃されるようになった。誰も異議を唱えない。誰もだ」

 スタインメッツ氏のイスラエル擁護は、イエシバの元バスケット選手のシムハ・ハルパート氏も同様のだ。9月にプロ選手となるためイスラエルのテルアビブに引っ越し、夜間に何度も起き、シェルターに逃げ込んだという。イスラエルを擁護し、両者の一般市民を危険にさらしているとハマスを非難した。イスラエルは、住宅地から攻撃することで一般人の犠牲者を出しているとハマスを非難した。一方のイスラエルに批判的な人々は、力の行使が不均衡だと非難している。

 ハルパート氏も、祖国から米国のことを心配している。父親が最近、ロサンゼルスにいる兄弟らに、ユダヤ人であることを示す頭蓋帽を一部の地域では身に着けないよう注意したという。

 「こんな心配をしなければならないなんて、おかしい」とハルパート氏は言った。

 フォワードが公表した書簡に署名した学生のバックダールさんは、パレスチナ人との連帯を支持しながらも、イスラエルの移民に向かってロケットを打ち込むハマスには反対している。

 「イスラエルへの批判は、国家への批判として見てほしい。あなた方のアイデンティティーではなく、政策を批判しているということを理解してほしい」

 署名したアートソン師も、パレスチナの一般の人々が被害を受けていることは悲しいことだと思うが、「大量殺人をもくろんだ」ロケット攻撃に対しても同じ気持ちを持っていると述べた。

 「私の心は、いくつもの理不尽に引き裂かれている」

 アートソン師は教育者として、この書簡に関することは学ぶ機会とすべきだととらえている。

 「この書簡に署名した中の2人が私の家に来て、一緒に祝日(五旬節)を祝った。ハグをして入ってきて、ハグをして出ていった。書簡のことも話し合った」

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