「1619プロジェクト」に基づく歴史教育への補助金事業に反発広がる
By Kery Murakami – The Washington Times – Wednesday, June 9, 2021
米国の歴史を人種の観点から教えることを学校に推奨する教育省の計画に対し、多くの苦情が寄せられている。反対派は不正確な歴史教育であり、人種間の分断を助長するものだと主張している。
3万5000以上のコメントの大半が反対意見だった。
バイデン政権は先月、奴隷制や人種差別を米国史の決定的特徴として焦点を当てる学校に補助金を出すという提案に対し、意見を募集した。このカリキュラムは「批判的人種理論」と呼ばれるものだ。
特に反発を買ったのは、バイデン政権がニューヨーク・タイムズ紙の「1619プロジェクト」に沿った公民科の授業を子供たちに受けさせようとしていることだ。
同プロジェクトは、奴隷制と人種差別を中心に米国史を再解釈したもので、人種的正義やキャンセルカルチャー、子供たちに米国をどう教えるかをめぐる政治論争の火種になっている。
「1619プロジェクト」は昨年、ピュリツァー賞を受賞したが、歴史家からは不正確な主張との批判が出ている。批判を浴びている主張の一つが、米国の建国者たちは奴隷制を維持するために独立戦争を戦った、というものだ。
「批判的人種理論や1619プロジェクトのカリキュラムは、米国の教育指導制度を装ったまったくばかげた授業だ」。アーカンソー州ローランド在住のジョン・ゲスさんは、このようなコメントを寄せた。
教育省が提案した補助金プログラムに対し、数千人が不満を表明したが、ゲスさんもこれらと同じ意見だ。
ゲスさんは、「1619プロジェクト」を授業に取り入れることは米国の教育の凋落(ちょうらく)を表すものであり、「組織的に子供たちや若者の知的レベルを下げるものだ」と主張した。
また、メーン州在住のロバート・ギャラントさんは、「その中心的な教えははっきりしている。若者たちは米国に対する嫌悪を学ばなければならないということだ。米国の憲法、思想、経済システム、建国者たちに対してもだ」と主張した。
批判を殺到させようと呼び掛けたのは、保守派団体の連合組織「公民同盟」だ。この組織は、米建国の理念や文書、重要な歴史的出来事、自由や寛容の精神に基づく公民科教育を推進している。
同連合のディレクターであるデービッド・ランダール氏は、提案された補助金プログラムは「反米主義」に染まっていると指摘した。
「この提案はニューヨーク・タイムズの1619プロジェクトのような不誠実で有害で誤りが暴かれている神話を推進するものだ」。ランダール氏は、組織の支持者に送った行動要請でこう主張した。
3万5000というコメント数は大規模な反応だ。だが、2018年にトランプ政権が大学内での性的暴行の訴えに対する証拠の水準を引き上げる提案をした時は、教育省にもっと多くの反応が寄せられた。12万4000のコメントのほとんどが提案への反対意見だった。
だが、トランプ政権のベッツィー・デボス教育長官は、その規則を承認した。
補助金プログラムの反対派は、大量の批判によって今回はミゲル・カルドナ教育長官が断念することを期待している。
「教育省はコメントを数えている」。ヘリテージ財団のマイク・ゴンザレス上級研究員は「コメントは否定的なものが圧倒的に多い。米国民が子供たちを洗脳することに強く反対している事実に対し、彼らがどう対応するかは分からない」と語った。