米英首脳、パンデミックと気候変動への対応を誓う

(2021年6月18日)

US President Joe Biden, left, talks with Prime Minister Boris Johnson, during a walk, with their wives (not pirctured) outside Carbis Bay Hotel, Carbis Bay, Cornwall, Britain, ahead of the G7 summit, Thursday June 10, 2021. (Toby Melville/Pool Photo via AP)

By Tom Howell Jr. and Dave Boyer – The Washington Times – Thursday, June 10, 2021

 初の外遊として英国を訪問したバイデン米大統領は10日、ボリス・ジョンソン首相に気候変動に対して積極的な行動を取ることを約束し、G7サミットに向け、5億回分の新型コロナウイルスワクチンを提供することで、米外交に自らの足跡を残し始めた。

 バイデン氏とジョンソン氏は、80年の歴史を持つ両国間の大西洋憲章の改定に署名し、パンデミックやサイバー攻撃、地球温暖化問題などの脅威へ対処する互いの決意を新たにする必要があるとした。

 「われわれは、気候の危機に対処するための野心的で世界的な行動を駆り立てるという共通の目標を議論した」とバイデン氏は指摘した。同氏はまた、スコットランドで開かれる11月の気候変動に関する「重要な」国連会議に出席する。

 バイデン氏は、ドナルド・トランプ前大統領の外交政策を様々な面で転換しているが、改定された大西洋憲章は、トランプ氏によって署名された合意文書にはなかったであろう一つの項目が含まれている。

 「世界は、気候変動危機に立ち向かい、生物多様性を保護し、自然を保護するために、緊急かつ野心的に行動しなければならない臨界点に達している」と文書は述べている。 「両国は、あらゆる国際的な行動においてこれらの問題を優先する」

 ホワイトハウスはまた、「prioritise(優先する)」や「defence(防衛)」など英国式つづりの単語を使用した文書や声明を発表した。

 両首脳は、11日にG7会合が始まるコーンウォールの海辺の町カービスベイで90分間会談した。バイデン氏はかつて、ホスト役であるジョンソン氏をトランプ氏の「肉体的、感情的なクローン」と呼んでいたにもかかわらず、両氏はメディアの前で社交辞令を交わしただけだった。

 ジョンソン氏は大統領に「あなたにお会いできて、みながとても興奮している」と語った。

 ファーストレディーのジル・バイデン氏は、夫は大統領として初めての海外首脳会談に向けて「準備が整っている」と語った。

 「彼は何週間も勉強し、今日まで準備してきた」とバイデン夫人は述べた。「もちろん、彼はここに来るリーダーのほとんどを知っている。ジョーは外交が大好きで、それが彼の強みだ」

 バイデン氏は、先進国に対し、世界に新型コロナワクチンを公平に分配するように促し、米国は5億回分の「非常に効果的な」ファイザー・バイオンテックのワクチンを最貧国のために購入して寄付すると約束した。

 35億㌦分の購入は、一国による新型コロナワクチンの寄付では最大であり、来年にかけて2億回分、2022年前半には3億回分が納入される予定だ。

 「これは米国民による記念碑的な貢献だ」。バイデン氏はコーンウォールのセント・アイヴスでの屋外演説で語った。

 しかし同氏は、「この取り組みに参加しているのはわれわれだけではない」と付け加えた。

 バイデン氏は、G7が11日に世界でワクチン接種を促進するための包括的な計画の概要を説明することを期待していると述べた。ブルームバーグ・ニュースが報じた首脳宣言の草案によると、G7はパンデミックを終息させるため、2022年までに10億回分を提供することを目指している。

 バイデン政権は、バイデン氏によるコロナウイルス救済法からの15億㌦とともに、ワクチンを途上国などに分配する国際的な枠組みであるCOVAXに以前に約束した40億㌦のうち20億㌦を、ファイザー製ワクチンの支払いに使用する。

 政府高官は、受け入れ国が、ワクチンを飛行機から運び出して腕に接種するまでに必要なコールドチェーン(低温物流)能力を確実に持つようにすると述べた。

 この動きは、米国などの先進国が低所得国のワクチン接種を支援するようにという強い圧力の中で行われている。

 新型コロナは世界で370万人を犠牲にし、感染力の高い亜種に変異する能力を示しているため、各地でそれを根絶しようとする動きがある。

 「われわれの価値観は、世界に新型コロナワクチンの接種を広めるためにできる限りのことをすることを求めている」とバイデン氏は語った。 「われわれを脅かす可能性のある新しい変異種のリスクがある」

 バイデン政権はまた、この寄付を米国の製造業の勝利と表現した。ワクチンは、ミシガン州カラマズー、カンザス州マクファーソン、ミズーリ州チェスターフィールド、マサチューセッツ州アンドーバー、コネチカット州グロトンにある数千人を雇用する米国の5つの施設で生産される。

 バイデン氏によると、世界におけるワクチン接種の取り組みは裕福な国が先行しており、米国の成人の64%が少なくとも1回のワクチン接種を受けている。1日あたりの感染者数は、2020年3月以来初めて平均1万5千人を下回った。

 「米国人は、このパンデミックの悲劇を直接知っている」とバイデン氏は語った。「われわれは悲劇を知っている。また、回復への道も知っている」

 ファイザー社製ワクチンは2回接種する必要があるため、2億5千万人にワクチンを接種するには5億㌦で十分だ。

 この寄付は、6月末までに米国が管理する8万回分のワクチンを海外に送るという以前の約束に加えて行われる。

 世界の貧困と闘う慈善団体であるオックスファムは、新たな公約は歓迎すべき事であると述べたが、世界における需要と比較すると、依然として「バケツの一滴」であると述べた。

 「米国人へのワクチン接種を推進する中、バイデン政権が国境の外にいる人々の需要を見失っていないことは心強い。しかし、慈善行為はコロナウイルスとの戦いに勝つことはできない」と、オックスファム・アメリカのワクチン責任者であるニコ・ルシアニ氏は述べた。「世界が自らを助ける時だ。非常に収益性の高い製薬会社により利益をもたらす取引ではなく、より分散したワクチン製造への変革が必要であり、世界中の適格な生産者が知的財産の制約を受けることなく、独自の条件で何十億ものより多くの低コストワクチンを生産できるようにする必要がある」

 バイデン氏は新型コロナワクチンの特許放棄を支持したが、欧州はそれを拒否し、世界貿易機関(WTO)に対してより限定的な対案を提示し、特許放棄は宙に浮いている。

 ファイザー社製のワクチンは、米国で緊急使用が承認された最初のワクチンで、トランプ前政権下の昨年12月に承認された。元の新型コロナやすでに知られる変異種に対して効果があることが証明されているが、突然変異に苦しんでいる貧しい国々は、ファイザーワクチンをあまり入手できていない。

 バイデン氏は、ワクチンは無条件で寄付されると述べたが、発表を称賛したベン・サッセ上院議員は、効果が疑わしい中国のワクチンとこの寄付を区別するのが賢明だと述べた。

 ネブラスカ州選出の共和党議員であるサッセ氏は、「これらの命を救うワクチンをアジアや発展途上国の友人に提供し、『あなたの健康を気にかけているのは、習近平主席ではなくアンクル・サム(米国)である』という簡単なメッセージを伝えるために迅速に行動する必要がある」と述べた。

 バイデン氏は、北アイルランドにおける緊張についてジョンソン氏と公然と対決することはなかったが、側近は、これは非公式会談で話題に上がったと述べた。

 「われわれは最初の1日をとても良く過ごし、非常に生産的な会談を行った」とバイデン氏は語った。「われわれは特別な関係を確認したが、それは軽々しく言うことではない…両国民の間で、共有する永続的な民主的価値を守るというわれわれの決意を新たにした」

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