「気候項目なければ、取引はない!」:革新派が超党派のインフラ合意案を脅かす

(2021年6月21日)

Sen. Edward Markey, D-Mass., introduces former U.S. Ambassador to the United Nations Samantha Power during a Senate Foreign Relations Committee on the nomination of Power to be the next Administrator of the United States Agency for International Development (USAID), Tuesday, March 23, 2021 on Capitol Hill in Washington. (Greg Nash/Pool via AP)

By Haris Alic – The Washington Times – Tuesday, June 15, 2021

 民主党内の革新派は、気候変動対策での野心的な要求が容れられなければ、上院で討論されている超党派インフラ整備計画を粉砕すると威嚇してきた。

 「緑のニューディール」をまとめたエド・マーキー上院議員(マサチューセッツ州、民主党)は、「我々がやりたいようにやる時が来た」と主張して、次のように述べた、 「共和党が求めている超党派合意なるものを受け入れたせいで、米国民が願っている気候変動アクションをつぶさせてはならない。」

 マーキー議員と彼に同調する議員たちは、超党派パッケージが十分に「グリーン」なものに修正されるか、さもなければ議会が後日、民主党方針に沿った大胆な気候変動対策を推進する、という確証を得られるのでなければ、今回の超党派パッケージをつぶすべく力を結集している。

 「もし今、議会に提出されようとしているインフラ取引が、エネルギー関連投資を含んでおらず、またそうしたエネルギー関連投資を含むよう今後調整していくことで話がついているものでないならば」、ジェフ・マークリー上院議員(オレゴン州、民主党)は次のように言明した、「私は絶対にそのようなパッケージを支持しない。」

 事の始まりは、キルステン・シネマ上院議員(アリゾナ州、民主党)と、ミット・ロムニー議員(ユタ州、共和党)のリードで10人の超党派議員グループが、両党に受諾できるようなインフラ関連の合意案をまとめたことだ。

 この合意案はまだ、バイデン大統領や議会指導者の支持を取りつけていないが、合衆国の道路・橋梁の修復に1兆2千億ドルを割り当てようというものだ。革新派の連中が失望しているのは、電気自動車用の充電ステーションに予算を配分した以外には、強力な気候変動対策の予算を割り当てていないことだ。

 「船がインフラの海を航海しようとする時に、エネルギー投資案件を桟橋に放置するのはできない相談だ」、マークリー議員は断言する、 「気候関連予算が含まれていなければ、この議会取引には応じられない!」

 革新派の連中が懸念しているのは、超党派パッケージをいったん受諾してしまえば、インフラ関連の気候変動対策に関係した予算を議決するチャンスが再びこないのではないか、ということだ。

 「気候関連のアクションは政策としても、政治の上でも適切なものだ」と、マーキー議員は主張した。 「アメリカ国民のために、これを成し遂げようではないか。…さもなければ我々は、共和党による遅滞と無視のわなにはまった挙句の果て、非常に大切なこの分野で断行していく力を損ない、妨げられてしまうのがおちだ。」

 革新派の連中が、気候変動についてより広範囲な約束を確保するために、超党派パッケージを人質にとるようなやり方は、全く見込みがないわけではない。民主党は合衆国議会の上下両院ともに、僅差で多数派を保持しているだけだからだ。

 上院では民主・共和両党は50対50に分かれており、下院でも民主党は一桁分の過半数を占めるだけだ。

 民主党がインフラ関連項目を予算調整の過程で修正しようとしない限り、つまり支出法案を51票という単純過半数で上院通過を図るのでない限り、議事妨害を乗り越えて問題の超党派パッケージを成立させるには最低60票が必要だろう。

 さらに複雑にしているのは、共和党議員の何人が今回の超党派取引を支持してくれるか、不透明なことだ。

 この議案に関するバイデン大統領と上院共和党との一回目の話し合いが決裂した理由は部分的には、インフラの定義をめぐる不一致と、新たな支出予算をどう調達するかについてだ。ホワイトハウスは当初、インフラ整備に約2兆2千5百億ドルの支出を提案したが、その金額の大半を社会福祉と気候変動対策に充てていた。

 バイデン大統領は結局、自らの提案を1兆7千億ドルまで減額したが、共和党側が法人税と所得税の引き上げに賛同しなかったため、政府側は交渉を断念した。

 ロムニー議員とシネマ議員が練り上げた超党派パッケージは増税を想定しておらず、一部の共和党議員からは熱烈支持の声が聞こえるものの、上院共和党の全議員が同提案を受け入れたわけではない。

 「彼らはボールを正しい方角に動かしたようだ」、上院・共和党のジョン・スーン院内総務(サウスダコタ州選出、共和党)は語っている。 「連中が説明している内容で、何人の民主党議員が支持するか定かでないが、共和党からは相当な支持があるだろう。」

 そうした声も聴こえてはくるが、共和党からの支持は決して確実ではない。今の段階で共和党議員たちは、超党派パッケージを支持すべきか否かを熟慮しているところだ。

 複数の消息筋によれば、一番の難題は、民主党が調整作業の中で、もっと賛否の分かれる気候変動対策と社会関連の議題を通すだけの票を持っているかどうかだ。共和党の議員たちは、民主党がいずれ党方針に沿って突き進もうとした場合、バイデン大統領に超党派の体裁を与えてしまうことを懸念している。

 皮肉なことだが、共和党の中で議会調整について懸念しているのと同様のことが、民主党では超党派パッケージを支持するために「不可欠だ」と見なされている。

 「この『超党派グループ』に加わる民主党議員は、合意パッケージに含まれていない内容を調整しようとした時に、我々に同調してくれるだろうか」、上院・民主党ディック・ダービン院内総務(イリノイ州、民主党)は問いかけた。 「それが大事なところだ。…その問いは何度も現れてくる、実に妥当な質問だ。」

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