米空軍、兵器老朽化に危機感 新調に連邦議員らが反対

(2021年9月23日)

U.S. Air Force C-130J Hercules cargo aircraft conducts a training flight on Jan. 10, 2012. (U.S. Air Force, Master Sgt. Dave Buttner)

By Ben Wolfgang and Mike Glenn – The Washington Times – Monday, September 20, 2021

 米空軍幹部らが、米軍は中国との覇権争いで後れを取っていると指摘、老朽化した兵器や航空機の廃棄、更新が必要だが、連邦議会議員らが選挙区への配慮からこれを拒否していると危機感をあらわにした。

 国防総省では、軍備で競合国に後れを取っているとして、予算の増額を求めている。しかし、国防専門家らは、アフガニスタンから完全撤収したことで、台頭する中国にいかに対抗するかをめぐって、予算、戦略に関して新たな対応が必要になると指摘している。

 軍幹部らは、20日の空軍協会の年次会合「航空・宇宙・サイバー会議」で、近年の軍事演習で、米軍の能力不足から、戦略を実行できないことが明らかになったと強調、米軍は本当に中国と戦う用意ができているのかどうかについて強い疑問を呈した。

 バイデン政権は、2001年同時多発テロ後の中東を中心としたテロとの戦いから、軍備増強を最優先とする中国との覇権争いへとシフトしている。

 空軍幹部らは会合で、状況はこれまでと違うとして、兵器の更新の必要性を強調。既に必要なくなった旧式の航空機などの装備の退役に、有力議員らが選挙区に大きな影響を及ぼすことを理由に反対していると議会への不信感をあらわにした。

 ケンドール空軍長官は、最近の指名承認公聴会で上院議員らが、中国の軍備増強は米国の安全保障にとって脅威という点で一致したと述べた。ところが「舌の根も乾かぬうちに上院議員らは、自身の選挙区州の輸送機C130、攻撃機A10、空中給油機KC10、無人機MQ9は退役させないと表明。さらに、選挙区の州内の基地を閉鎖したり、人員を削減したりすることも、地元経済に影響が及ぶため受け入れられないと主張した」という。

 ケンドール氏によると、空軍がオースティン国防長官に提出した最新の予算要求は、退役を望む航空機に関して議会と大きく食い違っている。

 ケンドール氏は、「これらの航空機に費やすコストによって、近代化に必要な貴重な資源が奪われている」と主張。議会は「もはや必要ない、中国にとって脅威にならない航空機の維持を強く支持しているように見える」と苦言を呈した。

 今後数十年にわたって、中国と競合できる米空軍とすることが、空軍の計画の中心であることは変わらない。空軍幹部らは、台湾を防衛し、南シナ海への中国進出に対抗できる空軍力が必要だと繰り返し訴えてきた。

 しかし、望ましい結果は得られていない。

 米空軍の戦略・統合・要件担当部長のクリントン・ヒノテ氏は、「変わらなければならない。時間がない」と警告、「この流れを逆転させる必要がある」と変革の必要性を訴えた。

 ヒノテ氏は、米国は今、多くの重要部分で中国と「対等」になっていると指摘。ケンドール氏も、「(これまで常に優位に立ってきた)米国は、同等の能力のある競合相手と競うことに慣れていない」と、この数十年間遭遇したことのない事態に直面している現状に危機感を示した。

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