ロシアのウクライナ侵攻は、米軍をロシアに対峙させる、米当局が警告

(2021年12月27日)

2021年9月13日月曜日、ラトビアのカダガにある訓練場で行われたNATO軍事演習「Namejs 2021」でポーランド、イタリア、カナダ、米国の軍用車と戦車が並ぶ。 (AP Photo/Roman Koksarov)

By Bill Gertz – The Washington Times – Thursday, December 23, 2021

 バイデン政権は木曜日、ロシアに警告し、プーチン大統領が隣国ウクライナに侵攻を開始すれば、米国と連合軍の兵力はロシア国境に接近することになると明言した。

 欧州東部で進行中の危機について、米政府高官は記者団に、ウクライナ国境周辺のロシア軍集積は「警戒すべき事態だ」と語った。

 最新の情報分析では、ロシア政府が親ロシアのウクライナ分離派武装勢力を支援するために、ウクライナと戦闘を交えるか否か、未だ決定していない模様だ。「我々の感じるところ、ロシア側はまだ決断していない」、ある米高官は語った。

 「ロシアが事態を進行させた場合、我が国と同盟諸国は、ロシア経済に打撃を与え、彼らが望んでいない正にその被害を、的確かつ断固として与える態勢ができている。」

 ロシア軍は軍事演習を実施しながら、ウクライナ国境沿いに戦車・装甲車、そして10万人規模の軍隊を動員してきた。その大半は、8月に米軍がアフガニスタンから撤退した混乱状態の直後だった。

 ワシントンとモスクワは今週、現状の危機について、さらにプーチン大統領が米国と北大西洋条約機構(NATO)に要求している一連の安全保障措置について協議するため、一月初めの直接交渉について話し合いを進めてきた。米国当局者は木曜日、その交渉が真摯かつ互恵的なものであって、ウクライナの領土と主権の保全には抵触しない限り、話し合いに応じる用意があると言明した。これは「戦略的安定性対話」と呼ばれるフォーラムの一環として開催されるものだが、日程は定まっていない。

 バイデン政権高官は、米国とその同盟国がロシア側の要求している数点について議論に応じるが、その他の要求には「決して同意しない」と語った。同交渉は公の場では行われないだろう、とも当局者は付け加えた。

 「ウクライナ国境沿いでのロシアの驚くべき軍事力の移動と展開を、我々は監視し続けている」、同高官は語った。

 この緊張の高まりを少しでも抑制するかのように、ロシア・ウクライナ両政府は、2020年7月の停戦を再確認した。ロシアの兵力に後押しされたウクライナ分離主義勢力との戦闘で、2014年以来ウクライナ東部で約14,000人の命が奪われた。同戦闘は、プーチン大統領がウクライナからクリミア半島のロシア併合を画策したのと同じ年に勃発した。

 プーチン大統領は年末恒例の長時間の記者会見で、いつもと同様に、ロシアをNATOによる容赦なき東方拡大の被害側として描き出した。そして西側諸国による侵攻に対し、安全保障措置を「ただちに」提示するよう要求した。その中の一つ、ウクライナやグルジアなど(対ロシア)最前線の国々をNATOに加盟させない、という確約をロシアが求めたことについて、バイデン大統領とNATO当局者は即座に拒否している。

 ロシアは今月、NATOと欧州の安全保障政策を再構築することを主旨に要求を列挙した条約草案を発表した。「あなた方は我々に保障を与えるべきだ、それも遅滞なく、今すぐにだ!」、プーチン大統領は主張した。

 ロシアの最高指導者は、欧州に配備された米国のミサイルが脅威をもたらしている、との持論を繰り返した。それらはポーランドとルーマニアのイージス弾道ミサイル防衛システムの陸上要素である「イージス・アショア」迎撃システムのことを指しているのは明らかだ。

 「我々が米国の国境近くにミサイルを配備したことがあるか?」、プーチン大統領は記者の質問に応えて言った、「とんでもない、我々の家に押しかけ、敷居をまたごうとしているのは米国の方だ。…これは理不尽な要求なのか。我々の家の周辺で攻撃態勢をこれ以上採らないでくれ。そう求めることが不思議なのか?」

用心して見守っている

 米国の諜報機関はロシア軍の移動を注意深く監視している。大方の見るところ、プーチン大統領はウクライナ侵攻を正当化できる口実を西側に求めようとしている。米国の識者は危うい兆候として、ロシア側の要求内容がエスカレートしていることを挙げる。さらに言えば、プーチン大統領がロシアの国家安全保障・防衛当局者と会議をしたこと、さらに先週、プーチン大統領が習近平国家主席と電話会談したことも挙げられる。

 モスクワは今週、追加的な圧力をかけるように、ヤマル・ヨーロッパのパイプラインを通る天然ガスの供給量を、今年の最低水準となる通過能力の5%にまで減らした。

 欧州へのエネルギー資源をロシアが管理している状態は、米国とその同盟国にとって重要な検討課題だ。

 米国とNATOは、万一ウクライナが侵略された場合、軍事的に対応しつつ、ロシアの財政・商業上の利益に厳しい制裁を課す準備ができていると主張している。

 「我々の対応措置は経済面に限られない」と米当局者は述べた。そして、ウクライナへの兵力供与の増加と、軍事力展開の変更の可能性についても指摘した。「我々は今後の不測の事態を、現実のものとして準備している。」

 ロシアの玄関口に米国のミサイルが置かれている、とのプーチン大統領の指摘について、米国の高官はばっさりと、「それはロシア側に提起するべき質問だ」と語った。「NATOの同盟諸国の国境周辺で、ロシアが行ってきた軍隊や攻撃システムの挑発的な展開に一々を、容易にリストアップできる。そんな売り言葉に買い言葉をしても生産的でないだろう」。

 モスクワはまた今回の危機に至った経緯と、分離主義勢力との戦闘に関して、ウクライナからの政治的妥協を求める外交に拍車をかけるため、ウクライナ側を非難するのに有力な偽情報工作を行ってきた。

 「過去にも、こうした侵攻に先立つロシア政府のやり口を見てきた。偽情報を増やして緊張をエスカレートさせているのは、ロシアではなくウクライナ側だという筋書きを広めようとしている」、米当局者は断言した。

 「はっきり言って、ウクライナ側には(緊張をエスカレートさせている)証拠は見当たらない。」

 米国の同盟国や友好国は、「これがロシアによる偽情報工作だ」と周知されている、同高官は述べた。

第93ホロドニー・ヤール独立機械化旅団の報道部が提供したこの写真では、兵士たちが2026年8月4日火曜日、ウクライナのドネツク州クラマトルスク前線都市付近のロシア軍陣地に向けて、多連装ロケットシステムBM-21「グラード」を発射する準備をしている。(イリーナ・リバコワ/ウクライナ第93機械化旅団提供、AP通信経由)

対ウクライナ・米国戦争でロシア・イランが連携 兵器、情報を供与

(2026年08月08日)
2026年7月22日(水)、コンゴ共和国イトゥリ州ブニア総合病院のエボラ治療センターで、医療従事者が救急車を消毒している。(AP通信/ディロール・ロツィマ・ディウドネ撮影)

エボラ危機、中国がコンゴで影響力拡大 米国の支援減も影響

(2026年08月07日)
韓国の李在明大統領は、2026年1月7日(水)、中国・上海で韓国メディア関係者との会合で発言した。(ハン・サンギュン/聯合ニュース提供、AP通信経由)

韓国当局、保守系米国人を出国禁止に 李大統領への名誉棄損で起訴

(2026年08月06日)
米インド太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督が、2024年8月27日火曜日、フィリピンのマニラで米インド太平洋軍主催の国際軍事会議で演説を行った。(AP通信/アーロン・ファビラ撮影)

米陸軍、西太平洋テニアン島に新型極超音速ミサイルを配備

(2026年07月29日)
写真提供:ブランドン・リッカート軍曹 第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・ヴァハジ大尉(左)、米太平洋軍司令官サミュエル・J・パパロ提督(中央)、第7歩兵師団(太平洋多領域軍)所属のアレクサンダー・マリン中佐(右)が、2026年6月、ヴァリアント・シールド演習中にダークイーグル長距離極超音速兵器で訓練する兵士たちを視察した。ヴァリアント・シールドのような演習は、太平洋軍統合軍が全軍種および同盟国の部隊を統合し、統合軍の強さと多用途性、そして自由で開かれたインド太平洋への我々のコミットメントを示す、精密かつ致命的で圧倒的な多軸・多領域効果を実施する機会を提供する。(米陸軍撮影:ブランドン・リッカート軍曹)

「中国の『超限戦』への備え不十分」専門家が警告

(2026年07月27日)
2025年11月1日土曜日、韓国・慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国の習近平国家主席(左)が韓国の李在明大統領と握手を交わした。(聯合ニュース/AP通信)

下院国防法案、中国の韓国への影響力巡り調査義務付け

(2026年07月25日)
2015年6月27日土曜日、キューバのハバナで行われた記者会見で、米国上院議員団の一員が米国とキューバの国旗を交差させたピンバッジを着用している。(AP通信/デズモンド・ボイラン撮影)

米国転覆狙い共産主義を推進するキューバ 米国務省が警告

(2026年07月24日)
日本の小泉進次郎防衛大臣が、2026年5月31日(日)、シンガポールで開催されたアジアの年次防衛・安全保障フォーラム「シャングリラ対話」で演説を行った。(AP通信/アハマド・イブラヒム撮影)

小泉防衛相、核巡る議論呼び掛け GCAPやアジア連携も強化

(2026年07月23日)
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2025年4月3日木曜日、ブリュッセルのNATO本部で開催されたNATO外相会議に出席するため到着した際、報道陣の取材に応じた。(AP通信/バージニア・メイヨー撮影)

リトアニア外相、ロシアの破壊工作は「侵略行為」 米軍駐留継続に期待

(2026年07月21日)
新華社通信が公開したこの写真は、2026年7月6日(月)、南太平洋で中国の原子力潜水艦から発射された長距離弾道ミサイルの発射実験の様子を捉えたものだ。(李向超/新華社通信提供、AP通信経由)

中露、スターリンク攻撃計画を極秘協議 軍事協力の実態判明

(2026年07月19日)
→その他のニュース