コロナ発生を警告 中国人医師死去2年

(2022年2月12日)

2020年2月7日、香港で行われた中国人医師、李文良氏の追悼式にマスクをして参加する人々。李さんの死によって沸き起こった悲しみと怒りは、中国の厳しく監視された市民生活の場で、異例の、そして中国共産党にとっては不穏な光景となった。(AP写真/Kin Cheung)

By Bill Gertz – The Washington Times – Monday, February 7, 2022

 2019年末に新型コロナウイルスの感染をいち早く警告した中国人医師、李文亮氏が死亡し、7日で2年を迎えた。李氏は当時、インターネットを通じて、初めて新型コロナの危険性を訴えた。中国当局によって、訴えは間違いだったと宣言させられたが、感染者らの治療中に自らも感染し、20年2月7日に死亡した。

 李氏は、湖北省の武漢中央病院の眼科医で、18年前に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)に似た致死性の高い感染症の発生を最初に警告。19年12月30日に中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に「SARSの(7件の)症例が華南海鮮市場で見つかり、救急科に隔離されている」と投稿した。

 同病院の神経科の医師、劉文氏ら2人の医師も、強い感染力を持つ肺炎の事例が確認されたと主張し、医療従事者らに感染防止策を取るよう呼び掛けた。

 20年1月1日、李氏を含む8人の医師が逮捕され、ネットで虚偽の発言をしたとして起訴された。当時34歳だった李氏は、発言は間違いであり、社会に「よくない影響」を及ぼしたとする「自己批判」文を書き、治安当局に投稿は「違法」だったとする戒告状を提出している。

 ところが、李氏はその後、公衆衛生のために体制に立ち向かった英雄としてたたえられ、治安当局は李氏の死後、戒告状の破棄を余儀なくされている。

 治安当局は声明で「正体不明の敵対勢力が、中国共産党と中国政府を攻撃するために、李文亮医師を、反体制の『英雄』『覚醒者』と呼んでいることを認識すべきだ。完全に事実に反する」と李氏らを強く非難している。

 「敵対勢力」という文言は中国共産党が、外国勢力の関与をほのめかすことで、体制に対する批判をかわす際によく使われる。

 米シンクタンク「プロジェクト2049」のランドール・シュライバー所長は、「治安当局の警告にもかかわらず李氏は、職場に戻り、患者の治療に当たった。新型コロナと診断され、20年2月7日に亡くなった」と李氏を追悼、「中国の独裁体制に立ち向かい、新型コロナの拡大に警鐘を鳴らした李氏の勇気と強い意志によって、多くの命が救われた」とその勇気をたたえている。

政府の助成金 新たに確認 コロナ発生源疑いの武漢研究所に

(2023年06月05日)

研究所流出を排除してはならない-コロナ発生源めぐり中国ウイルス学者

(2023年06月04日)

北朝鮮、中国国境に壁、コロナ・脱北を懸念か

(2023年06月02日)

中国軍備増強で高まる核戦争のリスク、米政権の戦略は不十分-報告

(2023年05月31日)

ウクライナ戦争への対応めぐり米共和党内で亀裂

(2023年05月29日)

ドローン民間活用に課題山積 韓国は「技術的に優位」

(2023年05月26日)

中国版「トップガン」、国民に反米感情植え付け

(2023年05月19日)

台湾駐米代表、中国の脅威に非対称兵器で対抗

(2023年05月13日)

ウクライナ・ロシア:ハイテクを駆使した第一次大戦?

(2023年05月12日)

タイに浸透する中国のソフトパワー

(2023年05月09日)
→その他のニュース