国務省、ウクライナ戦争の中国発偽情報を批判

(2022年5月7日)

中国の習近平国家主席(右)とロシアのプーチン大統領は、2022年2月4日、中国・北京で会談し、互いの顔を見合わせた。中国はウクライナでの民間人殺害の報告や画像を不穏なものとし、ロシアを非難することを断りつつも、さらに調査するよう促している。そのため、北京のモスクワに対する支持の回復力について疑問視されているが、それが弱まっているという憶測は見当違いのようである。(Alexei Druzhinin, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP, File)

By Bill Gertz – The Washington Times – Tuesday, May 3, 2022

 中国の「戦狼外交」に従事する外交官と国営メディアは、ウクライナ戦争に関するロシア政府の方針と偽情報を積極的に宣伝している。米国務省は今週、中国を支配する共産党と政府が、「ロシア政府のプロパガンダや陰謀説、偽情報を日常的に拡散している」とする報告書を発表した。

  「こうした情報拡散は、米国や他の国々、民主主義の諸団体、独立系メディアへの信頼を失わせる一方で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が始めたウクライナへの不当かつ挑発的な戦争を正当化するものだ」

 国務省が「グローバル・エンゲージメント・センター」という名前の対偽情報機関を通じて、中国による偽情報と反米プロパガンダの実態を詳細に評価・公表したのは初めてだ。月曜日に公開された報告書には、中国共産党に属する「環球時報」で繰り返されたロシア外務省のツイートや、北京・モスクワ連携を強調するイラストも含まれていた。

 中国共産党・政府管理下のメディアは、中国で一般には禁じられているソーシャルメディアまで利用して、ロシア側の主張の要点を複数の言語で世界中の視聴者に宣伝するよう指示されている、米国務省当局者はそう指摘した。同時に中国の国営メディアは、民間人への殺害や爆撃など、ウクライナでのロシア軍による残虐行為について、信頼に足る報道を検閲している。

 中国の公式メディアは、NATO拡大と西側の攻勢が戦争の種をまいてきた、というクレムリン側の主張を強く支持している。中国側は公式に「中立」を宣言している時でさえ、ウクライナ侵略がプーチン大統領の「挑発されざる戦争」だという、西側の非難を拒否した。

 「中国当局者が採っているロシア寄りの中立性では、ロシアのウクライナ侵略と関連行動について明確な公的に支持することも非難することも回避した。そして北京政府は、「すべての国の主権と領土の保全」を尊重する中立の当事者である、と主張するばかりだ」、国務省の報告書は厳しい。「中華人民共和国(PRC)」の頭文字を使用したレポートでは、「中国当局と中国共産党のメディアが、モスクワからのメッセージを無批判に拡散しているが、それは北京のロシア支持を示している」。

 中国大使館のLiu Pengyu報道官は、ウクライナの戦争に関する中国政府のアプローチは、「公平かつ客観的で、非難される筋合いはない」と断言した。

 「偽情報の拡散、というなら、米国側は自分自身を深刻に反省すべきだ」、同報道官は声明で述べた。「中国がロシアの軍事行動を予知して、暗黙の支持を与えた、との噂を広めたのは米国の当局者と言論機関だ。中国が対ロシア制裁を回避できるように助けたり、ロシアに軍事的支援を提供した、などというのも、まったくの偽情報だ。」

 国務省の報告書によると、中国の偽情報キャンペーンは、ロシアの国営メディアや、ロシア当局者から直接引き出された未確認情報や主張を網羅している。偽情報では、ロシアの立場が広く支持されていると主張し、中国政府と国営メディアを参照しているロシアの国営メディアの「フィードバック・ループ」を駆使して増幅しているという。

 中国版Twitterとも言うべき「Weibo」などのソーシャルメディアや、人民日報、環球時報など国家宣伝マスメディアは、ロシア側の美談などを好意的に報じている。

 同時に中国では、ウクライナの紛争とロシア軍の残虐行為に関して、民主国家や独立系報道機関が報じた米国その他の国の当局者のコメントを「ばっさりと切り捨てたり書き換えして」いる。検閲機関はまた、中国国内にいるウクライナ戦争についての批評家を妨害している。

 偽情報作戦の主要プレーヤーは「戦狼」と呼ばれ、それらの中国政府高官、外交官、党の報道官などは、政府の立場を積極的に推している。最も名が知られたのは、外務省副報道官の趙立堅氏だ。趙氏は2020年に、COVID-19の汎感染は米軍研究所で作成されたウイルスから始まった、という根拠のない告発を広めた中国当局者だ。世界の公衆衛生専門家は、問題のウイルスは2019年に中国の武漢市で、実験室または野生動物市場のいずれかで発生したと指摘している。

 この趙氏、最近はウクライナ紛争についてのロシア側の言い分を拡散するのに忙しい。「私と同僚が繰り返し指摘していることは、ロシアとウクライナの間の紛争のように見えるが、実はロシアと米国主導のNATOとの間の紛争であることだ」、同氏は火曜日、記者団に語っている。

 国務省の報告書によると、「PRCの戦狼外交の担当者たちは、二流三流のメディアや、北京の語り口に沿って影響を行使できる人々を使って、反NATO、反米のコンテンツを増幅したり再投稿して、クレムリン一流のストーリーを後押ししている。往々にして、これらのコンテンツは中国や共産党、クレムリンの宣伝にも登場している。」

 ロシア軍が2月24日にウクライナに侵攻する前、中国のプロパガンダ媒体は、差し迫った軍事攻撃についての報道を「偽情報」であり「情報テロリズム」だと言い切って、ロシアの国営メディアに加担した。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と外務省報道官マリア・ザハロワ女史も同じ用語を使っていた。

 侵攻以来、中国メディアは挑発されていない侵略を、「戦争」とラベル付けすることを著しく拒み、紛争を「特別軍事作戦」と呼ぶプーチン流をしばしば反映している。中国のコメンテータはまた、米国務省の報告書で「what-aboutism」と呼んでいる、敵意を米国、NATOおよび西側に向け直そうとするレトリックに熱心だ。

 3月に中国の情報操作は、ウクライナに置かれ米国が後援している研究所について、ロシアのプロパガンダ材料を「大幅に増幅すること」を狙った。外務省副報道官の趙氏は、同研究所が生物兵器に従事しているというロシアの告発を拡散し始めた。米国とウクライナの当局者は断固否定している。

 情報源として具体的に引用されているDilyana Gagtandzhievaは、米国の制裁対象になっている親クレムリンの媒体である「サウス・フロント」と「ニュース・フロント」に頻繁に寄稿しているとして、国務省報告書にも記載されている。

 「これら捏造された告発は、ロシアと中国の両国が何年間も続けた日和見主義的なメッセージに基づいている」、国務省の報告書は述べた。

 「グローバル・エンゲージメント・センター」は、ウクライナの生物兵器研究所に関する中国の偽情報の広がりについて、「2018年以来、中国発の最大の偽情報キャンペーンの一つであり、世界中の言語と地域の視聴者を対象として発信している」と説明した。

 中国の媒体はまた、ウクライナの首都キーウの近郊の町、ブチャでのウクライナ民間人虐殺に関してロシア側の否定報道を繰り返したばかりか、中国国内でのブチャ事件に関するオンラインおよびそれ以外の方法での公開討論を阻止した。

 ロシアはブチャ虐殺嫌疑を「ウクライナ政府による段階的な挑発」と呼び、中国の当局トップは「政治化することと、根拠のない非難を控えるよう、すべての当事者に求めた」と同報告書は述べている。

 中国の偽情報はまた、4月8日にウクライナのクラマトルスクにある主要鉄道駅に向けた、ロシアのTochka-U弾道ミサイル攻撃に関連する事実報道を妨げた。この攻撃では、子供をふくむ50人以上が殺害され、数百人が負傷した。ロシア外務省は責任を否定し、ロシア人がミサイルを配備したという証拠があるにもかかわらず、ウクライナ側は同ミサイルを使用したことがある、と主張した。

 中国当局はブチャ虐殺に関してもロシア側の肩を持つように、クロマトロスクでの爆撃でも中国側は、さらなる調査を求め、全ての関係者が問題を政治化しないよう求めた。

 「PRCのメディアや、日本・大阪の総領事Xue Jianは、クロマトロスクの民間人を爆撃したのはウクライナ側に責任がある、とのロシア側の謀略説を再報道した、と報告書は述べている。

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