先住民の居留地を中絶に使わせるな

(2022年7月15日)

ラテンアメリカのシュリーブポートにあるHope Medical Group for Womenの管理者Kathaleen Pittmanは、2022年7月6日水曜日、彼女のオフィスに中絶の読み物を展示している。彼女は情報を求める人々に、「私たちはまだオープンしていて、まだ戦っていて、金曜日に法廷審問があります」と言っている。1973年のRoe vs Wade判決が覆されてから2週間近く経った今でも、中絶クリニックは中絶手術を行っている。しかし、Hope Medical Group for Womenは、金曜日にその終わりを告げるかもしれない迫り来る裁判に直面している。(AP写真/Ted Jackson)

By Editorial Board – The Washington Times – Thursday, July 7, 2022

 最高裁判所がロー対ウェイド判決を事実上覆す直前、25人の民主党上院議員は、バイデン大統領に「妊娠中絶を受けやすくするために連邦の資産と資金を使用するよう」促す書簡に署名した。

 この書簡は、米先住民の居留地を中絶クリニックの安全な避難所として使用するという考えを明確には述べていないが、オクラホマ州の先住民自治政府「チェロキー・ネーション」に属するオクラホマ州知事(共和党)ケビン・スティット氏は、FOXニュースに先月、先住民族はそうするかもしれないと語った。

 スティット氏は、ロー対ウェイド判決を覆す意見書草案がリークされた直後に、「ご存じのように、オクラホマ州の部族は飛び切りリベラルだ。ワシントンに行き、ホワイトハウスでバイデン大統領と話し合う。それが彼らのやり方なのだ」と述べた。

 その後、この考えはソーシャルメディアやマスコミで話題になり、書簡の最初の署名者であるエリザベス・ウォーレン上院議員とアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員は、バイデン政権に連邦の土地と資源を開放して、生殖医療を保証するよう公然と呼び掛けた。

 しかし、多くの法学者は、そのような動きは違法であり、先住民自治政府の価値観と矛盾するとの理由ですでに退けている。

 何よりもまず、連邦所有地の先住民の診療所は、1976年のハイド修正条項により、そのようなサービスに対する州の資金の出費が禁止されているため、高度に異常な状況下を除いて、中絶を行うことはできなかった。

 チェロキー・ネーションの部族の一員で、アリゾナ州立大学(ASU)サンドラ・デイ・オコナー法科大学院の教授でもあるステイシー・リーズ女史はボイス・オブ・アメリカに次のように語った。「部族自身の思考過程から生まれたものでもない何かを部族のためにするようにという要請がされるときはいつも、さらなる植民地主義のひどい悪臭がするだけだ。お分かりだろう。部族自治政府に、そこの人たちの法律や政策がどうあるべきか教える部外者の人間のやり方だ」

 先住民法の専門家でもあるASU法学教授のロバート・ミラー氏は、アリゾナ・リパブリック紙に、多くの部族が中絶の考えに異議を唱えているからといって、法律だけが唯一の考慮事項ではないと語った。

 リーズ女史はミラー氏のコメントに同意し、多くの部族は、「真に保守的な考え方」を持っているがそれは、キリスト教の信仰と先住民の霊的信仰の両方からきたものだ。

 このことは、ナバホ・ネーション最高裁判所が2010年に、胎児の死亡に関わる訴訟で判決を下した時、「子供は…受胎した時に生命を得て、母親の力で完全に発育する。へその緒は…母親と胎児をつなぐ生命線の母体だ。母親、そして今生き残っている祖母や叔母らは子供を育て、教育することを含む母親の役割を担っている」との見解を述べたことから明らかだ。

 オクラホマ州のチェロキー・ネーションの首長、チャック・ホスキン・ジュニアは、ネイティブ・ニュース・オン・ラインへの声明の中で、この動きは先住民自治政府への攻撃だと述べた。

 「チェロキー市民はこの問題についてさまざまな見解を持っている。今は、政治家や公職候補者がこの問題を利用して、部族を悪魔扱いし、部族の主権を攻撃するために市民との間にくさびを打ち込む時ではない」

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