ロシア戦術核使用がもたらす影響は想定が困難

(2022年10月23日)

2022年10月14日金曜日、カザフスタンのアスタナで開催された独立国家共同体(CIS)首脳会議の後、メディアに向かって話すロシアのウラジーミル・プーチン大統領(身振り)。(Valery Sharifulin, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP)

By Ben Wolfgang – The Washington Times – Monday, October 17, 2022

 バイデン米大統領は「ハルマゲドン」をもたらすと警告した。東欧の政府関係者らは、ロシアのプーチン大統領がそれを試みることさえ「自殺行為」だと考える一方、北大西洋条約機構(NATO)の指導者たちは、人類の未来に甚大な影響を及ぼす「極めて重要な一線」を越えることになると述べている。

 ロシア軍がウクライナで「戦術核兵器」を使用する可能性は、答えよりも疑問を生み出し、安全保障関係者の間で水面下の深刻な論争を引き起こしている。数百万人を簡単に殺害する破滅的な紛争に火を付けることなく米国がどのように報復するかという論争だ。

 戦術核爆弾の使用は、その核心において、完全に理解することも計画することもできない命題だ。人類史上、このような核兵器の使用は一度もない。第2次世界大戦の最終盤に米国が行った日本の広島と長崎に対する2度の原爆投下は、広く「戦略的」攻撃と見なされている。広範かつ決定的な結果を得るための手段として、より大きな損害を与えるように設計されたものだったからだ。その定義によれば、米国の核爆弾の戦略的使用は成功した。これが日本軍の降伏につながった。

 歴史的な基準では、戦術核兵器は一般的に小型で威力が小さく、地上での戦闘結果に影響を与えることを目的とし、引き起こされる死や破壊は小規模だ。机上演習の参加者によれば、プーチン氏のような自暴自棄の指導者にとっては、逆説的だが、影響が小さい分、使用の誘惑に駆られるという。一方、米国とその同盟国にとっては、「適切」なレベルの対応を調整することがより困難になる。

 このような兵器は射程も短い。つまり、ほとんどのシナリオで戦術核爆弾は、例えば数千マイルも離れた敵の首都に向けて発射されることはない。むしろ、ロシア・ウクライナ戦争の最前線で使用される可能性が高い。ウクライナ軍を標的にし、小規模な戦域でロシアに明確な優位をもたらすことになる。

 一部の側近ほど極端ではないものの、プーチン氏のレトリックは、この臆測を助長している。特に戦闘がロシア領に波及した場合のNATOとウクライナへの警告がそうだ。

 プーチン氏は先月、「わが国の領土保全が脅かされた場合、ロシアと国民を守るためにあらゆる手段を講じる」とし、「これはブラフではない」と述べた。

 専門家によれば、現代の用語では、戦略核と戦術核の違いの多くが消えつつある。核爆発に伴う危険な放射線の拡散を除けば、今の戦術核の多くは広島と長崎に投下された原爆よりも強力だ。

 プーチン氏が戦術核兵器を使用した場合、西側世界がどう対応できるか、あるいは対応すべきかというシナリオと同様に、現実世界の「戦術」核兵器の定義ははっきりしない。

 科学者組織「憂慮する科学者同盟」の学者たちは最近の分析で、「戦術核は戦略核より爆発の『出力』が小さい。これは爆発の威力が弱いことを意味する」と書いている。「このため軍事的な有用性が高く、政治的にも反対しにくいことから、使用される可能性が高い。しかし、ロシアや米国の多くの戦術兵器は、広島に投下され、7万人以上を瞬時に殺した原爆よりも出力ははるかに大きい」

 「長距離・中距離核システムは軍備管理条約によって制約を受けたり撤廃されたりしているが、戦術核兵器には検証済みの制約が課されたことはない」と、憂慮する科学者同盟の学者たちは指摘した。

 実際、米議会の専門家らは、軍事技術の進歩により、今日、戦術兵器と戦略兵器を明確に区別することは極めて困難だと主張している。

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