バイデン政権の反化石燃料政策で自然保護基金が危機に
By Valerie Richardson – The Washington Times – Tuesday, November 22, 2022
デンバー-バイデン政権が気候変動との戦いに貢献するとして歓迎した自然保護プログラムが、バイデン大統領自身の石油・ガス掘削のための公有地リースへの締め付けによって危うくなっていると評論家が指摘している。
この50年間で最大の連邦自然保護プログラム「2020グレート・アメリカン・アウトドアズ法」の予算は、公有地での石油と天然ガスの生産によってほぼ完全に賄われている。バイデン氏が大統領に就任して以来、この公有地のリース販売が減少している。
法案を提出した共和党のスティーブ・デインズ上院議員(モンタナ州)は、リース販売の不振によって、この法律の施行が難しくなると警告した。この法律には、国立公園や公有地の管理が行き届かなくなっている問題に対処するために、毎年最大19億㌦が拠出されている。
デインズ氏はワシントン・タイムズに、「バイデン大統領の誤った危険なエネルギー政策によって、米国のエネルギー生産は減少し、ガソリン価格は上昇し、国家安全保障が脅かされているだけでなく、私の超党派のグレート・アメリカン・アウトドアズ法によって確保した米国の公有地の保全のための重要な資金も減少している」と述べた。
西部エネルギー連盟は先週、「この政権の自然保護政策には断絶がある」と指摘する報告書を発表した。
連盟のカスリーン・スガンマ会長は「大統領は、わが国の貴重な公共の場を保護することを望んでいるが、そのための資金のほとんどすべてが、大統領が停止しようとしているエネルギー源によって提供されていることを理解していない。『これ以上掘削しない』という約束が完全に施行されることは、国立公園の保護とインフラのための資金が今後数年で消滅することを意味する」と述べた。
「偉大な米国の自然を守る」と題された報告書によると、2021年、石油と天然ガスが、グレート・アメリカン・アウトドアズ法の資金の94%、26億3000万ドルを占めたという。風力や地熱などの再生可能エネルギーからの収入によるものは、わずか1150万ドルだった。
昨年、石油と天然ガスの陸上生産から得られた44億ドルのうち40億ドル、海上での生産からは37億ドルが提供された。
デブ・ハーランド内務長官はこの法律を高く評価している。この法律のもとで、「土地と水の保護基金」に年間9億ドルの恒久的資金が割り当てられ、公有地の自然が再生されるケースも増えている。
ハーランド氏は内務省のサイトに掲載された声明で「グレート・アメリカン・アウトドアズ法を通じて、われわれは何万人もの雇用を創出し、環境を保護し、国立公園と公有地が気候変動と観光客の増加という課題に対応できるよう重要な投資を行っている」と述べた。
連盟の報告書は、気候変動対策の名目で石油・ガス採掘への土地のリース販売を抑制しようとする政権の動きを考えると、この法律への支持は「盲点」だったと指摘している。
内務省は、議会が四半期ごとのリース販売を義務付けているにもかかわらず、6月に陸上リースを、2021年11月に海上リースを実施した。今夏に期限切れとなった海上リースに代わる5カ年計画もまだ提出していない。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙が9月に発表した分析によると、バイデン政権が発足後最初の19カ月間に陸上および海上の石油・ガス掘削のためにリースした面積は、ケネディ政権以来最も少ない113万エーカー(約4570平方キロ)にとどまっている。
オバマ元大統領は化石燃料を強力に推進し、同期間に725万エーカーをリースした。トランプ前大統領は440万エーカーをリース。他を圧倒したのはレーガン元大統領で、4725万エーカーをリースしている。
報告書は「バイデン大統領は、自分の政策が国立公園の保護と資金調達を一掃しかねないことを認識しているのだろうか」と述べている。
これらの議論に異論を唱えるのは、センター・フォー・ウェスタン・プライオリティーズのアーロン・ワイス副所長で、内務省が今月、2022年度のエネルギー収入210億ドルをさまざまな基金やプロジェクトに支出したと指摘した。1983年以来、2番目に大きな分配額だという。その中には、2月に行われたニューヨーク・バイト洋上風力発電のリース販売による43億7000万ドルという記録的な額も含まれている。
「昨年のエネルギー収入だけで、土地と水の保護基金に必要な資金を20年以上にわたって供給するのに十分な額だ。バイデン政権は、再生可能エネルギーのリースとオークションをさらに進めており、米国が再生可能エネルギー経済に移行する中で、その収入で、石油とガスの収入の減少に対応することができる」と述べた。
ワイス氏は、石油産業が地球の気温を上昇させたと非難。「カスリーン・スガンマ氏の言う通り、米国の公園や公有地には存亡の危機が迫っている。それは気候変動だ」と述べた。
ワイス氏は「掘削業者が突然、自分たちは米国の公有地の救世主だと言い出した。笑止千万だ」と述べた。
スガンマ氏は、自然エネルギーはこの法律に必要なコストをまかなうにはほど遠いと指摘する。土地と水の保護基金は、年間最大19億ドルを受け取ることができ、それは、その年に陸上で生産されたエネルギーの使用料の50%に相当する。
「これは使用料だけで、リース料収入は含まれていない。リース料は計算式に入っていない。年間を通じていつその使用料が入ってくるかによるが、19億ドルの上限に達するまで基金に注ぎこまれることになる」
スガンマ氏は、「自然エネルギーが資金を提供してくれるなら素晴らしいことだが、地熱からの1800万ドル、風力からの500万ドル(太陽光からは使用料を受け取らない)に頼った場合、自然保護にはわずか1150万ドルしか入らなかっただろう」と述べている。
報告書は、バイデン氏の政策の影響はすぐには出ないだろうと指摘している。
「突然、起きることはない。今後数年のうちに既存のリース在庫がなくなるにつれて、生産は減速し、最終的には消滅するだろう。その後、使用料は減少し、自然保護のために利用可能な収入にギャップが生じる」
議会で超党派の支持を得た後、トランプ氏が署名し、成立したグレート・アメリカン・アウトドアズ法は、全米の有名な国立公園の整備に貢献している。
同法は、ブルーリッジ・パークウェイの橋の交換、修理、浸食対策に2億1900万ドル、イエローストーン国立公園の歴史的建造物と道路の修理に2億400万ドル、ヨセミテ国立公園のキャンプ場、給水システム、駐車場、浸食対策に1億4500万ドルを提供するよう指示している。
今年、国立公園局は未処理の繰り延べメンテナンスを218億ドルと見積もっており、2020年の見積もりである130億ドルを大きく上回った。下院共和党はこれについて説明を求めている。
デインズ氏は「バイデン氏と民主党の反米エネルギー政策は、モンタナの生活様式を直接的に攻撃するものだ。軌道修正しなければならない」と述べた。