中国は米技術を基に核戦力増強 窃取、開発協力で情報入手

(2023年1月17日)

中国のCCTVが運営するビデオ映像から撮影した画像で、中国の不特定の場所から発射されたもの(2022年8月4日木曜日)。中国によると、この地域の緊張を過去数十年で最高レベルにまで高めている軍事演習の一環として、木曜日に台湾海峡で「精密ミサイル攻撃」を実施した。(CCTV via AP)

By Bill Gertz – The Washington Times – Sunday, January 8, 2023

 中国は核戦力の増強を加速しているが、それは米国から盗み出したり、1990年代の米中間の宇宙・核開発協力で入手したりした核・ミサイル技術を基にしている。米中の資料、技術文書などから明らかになった。

 米国防総省は昨年12月、中国の戦略核弾頭は、数年前の200発、現在の400発から、2035年までに少なくとも1500発になるという予測を発表した。

 リチャード前戦略軍司令官も昨年12月、議会で、中国の核戦力の規模について、核弾頭、長距離ミサイル、発射台のうちのどれか一つで初めて米国を超えたと証言し、中国の核増強について警告した。

 コンサルティング会社、ジオストラテジック・アナリシスのピーター・ヒューシー社長は、中国の核増強は驚くべき速度で進んでおり、そのほとんどが過去10年間に合法、違法な手段で入手した米国の技術を基にしていると指摘した。

 1993年のホワイトハウスの資料は、30年前の時点で比較的精度の低い単弾頭のICBMを7発を保有し、2000年までに米国に到達可能なICBMを24~28発保有し、「一部は(複数の弾頭で別々の目標を攻撃できる)MIRV化される可能性がある」と指摘していた。

 だが、中国は米国の先進技術を標的とした二つの計画で、核戦力の増強を大幅に加速した。

 まず、大規模なスパイ活動で核弾頭の極秘情報を盗み出した。中央情報局(CIA)は、複数弾頭ミサイルに使用できるすべての米国の核弾頭の情報を入手していると結論付けている。

 第2は、クリントン政権時の米中宇宙開発協力。緩い国家安全保障輸出規制が原因だ。これによって、米モトローラと中国の長城工業集団が1993年に、中国のロケットを使った通信衛星イリジウムの打ち上げで合意した。

 この合意の下で中国は、モトローラの仕様に合わせて「スマートディスペンサー」を製造した。これによって2基の衛星を1発のロケットから放出可能になった。

 96年の国家航空宇宙情報センターの報告によると、スマートディスペンサーは、中国のICBM「東風5」に使用可能だという。

 この報告は、スマートディスペンサーは少し手直しすれば、「(ICBMの)複数の大気圏再突入体を展開可能」と結論付けている。国防総省の報告も2015年までに、単弾頭の東風5に、複数弾頭搭載可能な改良型が存在するようになると主張していた。

 中国人の核専門家、李彬氏はカーネギー財団の19年の報告で、「1発のミサイルに搭載する弾頭を増やせば、核攻撃能力は間違いなく高まる」と、中国が核戦力強化の一環として複数弾頭化を重視していることを明らかにしている。

 米セキュリティー・情報企業、ストライダー・テクノロジーズが9月に公表した報告によると、1987~2021年にロスアラモス国立研究所から帰国し、中国国内でさまざまな研究開発に携わっている中国人科学者は162人に上る。ロスアラモスでは核兵器の開発が行われており、米国の技術流出は明白だ。

 また、議会調査局の2001年の報告によると、スペース・システムズ・ローラル、ヒューズ・エレクトロニクスの米2社が中国のミサイル開発を支援した。報告によると、国防総省の国防技術安全保障局が1997年に作成した極秘資料で、ローラルとヒューズ2社が中国に技術を移転し、「核弾道ミサイルの誘導・制御システムを大幅に強化」し、「米国の安全保障の脅威になっている」と指摘している。

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